「TOEICで600点を超えたら次は700点台!」といった目標を持っている人も多いはずです。TOEIC関連の参考書でも730点を次のステップとしているものは多く、英語中級者がまず目指すべきスコアであるといえます。
「そもそも730点てどのくらいのレベルなの?」
「TOEICで730点を取って就活や転職に活かしたい!」
そんなあなたのために、今回はTOEIC730点を目指す人が知っておくべき情報やおすすめの勉強法・参考書をご紹介していきます!
Contents
1. TOEIC730点の評価
まずはTOEICで730点を取るメリットについて考えてみましょう。TOEIC730点は一般的にどのように評価されているのか、どんな将来や職業を目指す場合に有利になるのかを知っておくことはとても大切です。
1-1. 会社での評価
まずはTOEICスコアを就職や転職で活かしたい人の場合です。以下の表は、実際に国内企業が公表している社員に求めるTOEICスコアを一覧にしたものです。
企業名 |
要求されるスコア | 対象 |
住友商事 | 730~800点 | 中途採用 |
日産自動車 | 730点 | 新卒採用(あくまで目安) |
双日株式会社 | 730点 | 海外赴任 |
トヨタ自動車 | 600点 | 係長昇格 |
サンスター株式会社 | 600点 | 研究開発職 |
(出典:TOEIC公式「企業・団体の事例」を基に作成)
こちらのデータから、有名企業においてもTOEICがいかに高い知名度を誇っているかが分かります。TOEIC730点を保有していれば就職、転職、昇進と様々な場面でアピールすることが可能なのです。
特に、以下の職業を目指す場合にはTOEICで高スコアを保有していると有利になる場合が多いです。
【TOEICが有利にはたらく職業・業種】
・外資系企業
・商社
・海外拠点を持つ企業
将来的に海外勤務も視野に入れたい、グローバルな企業で活躍したいという人にとっては欠かせない資格がTOEICなのです。特に、就活を控える大学生のうちに高スコアを獲得していれば就活を有利に進めることができます。
なお、就活や転職で目標となるTOEICスコアは異なる可能性もあります。各企業の採用情報については常に求人サイトなどで最新情報をチェックすると良いでしょう!
1-2. 大学入試での評価
次に大学入試におけるTOEICスコアの活用についてです。近年では入試における出願条件として各種の英語試験を導入している大学も多く存在します。
以下の表では、大学入試におけるTOEICスコアの活用事例をまとめてあります。
大学 | 学部 | 入試形態 | 要求されるスコア |
青山学院大学 | 文学部 英米文学科 | 自己推薦 |
TOEIC L&R 730 (TOEIC SWもあり) |
成蹊大学 | 文学部 英語英米文学科 | AOマルデス入試 | TOEIC L&R 560 |
専修大学 | 経済学部 国際経済学科 | AO(英語資格型) | TOEIC L&R 550 |
明治大学 | 文学部 文学科 | 自己推薦特別入試 | TOEIC L&R 530 |
(出典:TOEIC® Program 大学の入学試験における活用状況)
いかがでしょうか?大学入試で求められるTOEICスコアは都内の有名大学でも500~700点台前半が大半を占めていることが分かります。
TOEIC730点を保有していれば相当英語のできる学生として認知してもらえるでしょう。
・大学入試で求められるTOEICスコアは600点台までが多い
・730点なら有名大学の推薦も受験できるレベル
1-3. 英語教員の評価
次に、英語を教えるプロである英語教員の場合です。目安として、文部科学省では英語教員に要求される英語力を以下のように定めています。
・英検準1級
・TOEFL iBT80点以上
・TOEIC 730点以上
これらは全てCEFRのB2と呼ばれるカテゴリーに相当する難易度です。また、令和元年度実施の最新データ「英語教育実施状況調査」によると、各学校における資格取得状況は以下のようになります。
【公立学校における英語教員のB2以上資格取得状況】
学校 | 人数 | 割合 |
小学校 | 4,390人 | 1.3% |
中学校 | 11,273人 | 38.1% |
高校 | 15,956人 | 72% |
以上のことから、TOEIC730点は英語の先生になるために必要な英語力を満たす難易度の資格であるといえます。英語教育関係の仕事につきたい人であればぜひ目指してほしいスコアということになりますね!
2. TOEIC730点のレベル
続いて、TOEIC730点が具体的にどのくらいのレベルに相当するのかを確認していきましょう。目指すスコアの難易度を正確に知ることは対策や勉強方法を考える上でも大切なポイントとなります!
2-1. 公式サイトが公開しているレベル
TOEICを日本で運営している「国際ビジネスコミュニケーション協会」の公式サイトによると、TOEIC730点は「Bレベル」とされています。これは全5段階のうち上から2番目に相当するレベルです。
レベル | スコア |
評価 |
A | 860~ | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 |
B | 730~860 | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
C | 470~730 | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 |
D | 220~470 | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
E | ~220 | コミュニケーションができるまでには至っていない。 |
(出典:TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)
評価の部分に書かれているように、730点以上あればどんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地があるのです。
より具体的に説明としては、以下のように定義されています。
通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。話題が特定分野にわたっても、対応できる力を持っている。業務上も大きな支障はない。正確さと流暢さに個人差があり、文法・構文上の誤りが見受けられる場合もあるが、意思疎通を妨げるほどではない。
(出典:TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)
以上の表と引用から、TOEIC730点については以下のようにまとめることができます。
・充分なコミュニケーション力がある中級レベル
・たまに誤りもあるが業務でも支障はない
2-2. 他の資格試験との比較
続いて、TOEIC730点は他の英語系資格だとどの程度に相当するのかを見ていきます。以下の表は文部科学省の公式HPを参考にした各資格のレベル相対表です。
CEFR |
TOEICスコア |
その他英語資格 |
必要な単語数 |
B2 |
730点 |
・英検準1級 ・TOEFL iBT 72-94 ・IELTS 5.5-6.5 |
約8,000語 |
(出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」)
上記の資格は全てCEFRのB2というランクに相当しています。ちなみにCEFRとは、外国語学習の目安としてヨーロッパを中心に幅広く採用されている国際的な基準のことです。
B2というランクについては以下のような規定が定められています。
CEFR |
できること・能力 |
B2 |
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。 |
(出典:ブリティッシュカウンシル公式HP)
資格や検定の種類により問題形式などが異なるため、一概に比較することは難しい部分もあります。
例えば英検準1級は面接などもあるので、一般的にはTOEIC730点よりも難しい印象があります。しかし、「TOEIC730点はだいたいこのくらい!」と覚えておくための指標として参考にすることは可能です。
【他の資格試験とTOEIC730点のレベル】
・英検準1級やTOEFL iBT 72-94に相当(CEFR B2)
・英会話や具体的な話題でも困らないレベル
3. TOEIC730点の攻略法
続いてTOEIC730点の攻略法についてです。やみくもに学習を始めても大きな効果は期待できません。
効率よく学習を進めるために、TOEIC730点を獲得に必要な下記の項目を確認しておきましょう。
①必要な勉強時間
②必要な語彙数
③リスニングとリーディングの目標点
3-1. 必要な勉強時間
まずは学習スケジュールを立てるのに欠かせない勉強時間についてです。個人差はありますが、一般的にTOEICでスコアを100点アップさせるには200~300時間ほどの勉強が必要だといわれています。
これは現在の英語力によっても差が出ますし、より上のスコアを目指す場合にはプラスの勉強が必要となってきます。
例えば、730点から860点を目指すには300~400時間ほどが必要であるといわれています。以下はTOEIC730点を目指す場合の勉強時間の一例です。
【現在のTOEICスコア】600点前後
【必要な勉強時間】300時間
【必要な期間】300時間÷3時間(1日あたり)=90日(3ヵ月)
中には「毎日3時間も勉強する時間がない!」と困ってしまう人もいると思いますが、その場合には週末などにまとめて学習を進めれば問題ありません。
ただし、以下の項目については習得までに時間がかかるので、短時間でも毎日学習することをおすすめします!
・単語の暗記
・リスニングの練習
3-2. 必要な語彙数
TOEIC730点を達成するにはおよそ8,000語の英単語を覚える必要があるといわれています。
【必要な単語数の比較】
TOEIC730点 |
約8,000語 |
大学受験(センター試験) |
約4,000~5,000語 |
難関大学 |
約6,000~7,000語 |
英検準1級 |
約7,500~9,000語 |
上記の表からも分かるように、TOEIC730点で必要な単語数はセンター試験などと比べても多く、難関校を受験する場合と同等かそれ以上の語彙力が要求されることとなります。
【ここがポイント!】
・TOEIC730点には8,000語が必要
・センター試験以上、英検準1級未満が目安
3-3. リスニングとリーディングの目標点
TOEICで730点を獲得する場合には、リスニングとリーディングの両方で安定して得点を取る必要があります。参考までに、以下は最新のTOEICテストにおける受験者の平均スコアです。
【第247回 TOEIC L&Rテスト受験者平均点】
受験者数 |
リスニング |
リーディング |
総平均スコア |
111,093人 |
320.6点 |
260.6点 |
581.2点 |
(出典:TOEIC公式HP「平均スコア・スコア分布 詳細 (第247回)」)
このことから、730点を突破するには平均点よりプラスで150点ほど必要であることが分かります。
では具体的に必要な正答数はどのくらいなのでしょうか?以下がセクションごとの正解数の目安です。
【TOEIC730点に必要な正答数】
|
正解数 |
換算点(目安) |
リスニング |
78問 |
380点前後 |
リーディング |
66問 |
350点前後 |
以上のデータから、おおよその目安としてリスニングセクションで8割、リーディングセクションで7割の正答率を目指せば730点の壁が突破できるといえます!
【ここがポイント!】
・TOEIC730点=平均点より150点高い
・TOEIC730を取るには、リスニング8割、リーディング7割を目指す
目標スコアごとの正解数について詳しく知りたい人はこちら↓
4. TOEIC730点を取るための勉強法
ここからいよいよ、TOEICで730点を達成するための勉強法をご紹介していきます。単語・リスニング・リーディングごとの勉強法を説明しますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
4-1. 単語の勉強法
上記でもご紹介した通り、TOEIC730点に必要な単語数はおよそ8,000語でしたね。一見多く思える数ですが、ここには中学レベルなどの基本的な単語も含まれています。
730点レベルの語彙力を効率よく獲得するには、スキマ時間を上手に活用して学習を進められるかがポイントです。
・スキマ時間を活用する
・くり返し学習し記憶に定着させる
スキマ時間は通学や通勤の時間を使うくらいで構いません。金フレなどTOEIC用の単語帳を常に持ち歩き、いつでも見られる状態にしておきましょう。また、就寝前などにルーティンとして取り入れるのもおすすめです。
「単語帳は重いしかさばる…」とお悩みの方には英単語学習アプリがおすすめです。アプリであればいつでもどこでも学習できますし、音声で発音を確認するのも簡単です!
4-2. リーディングの勉強法
730点を目指すのであれば、まずはPart 5を確実に解けるようにする必要があります。
TOEICのPart 5は短文穴埋め問題で、文法や語彙などの知識が問われるパートです。まずは単語学習とあわせて基礎文法や単語の品詞を押さえましょう。
・基礎的単語や文法を押さえる
・単語は品詞も覚える
・スピードを測って練習問題を解く
また、リーディング目標スコアの350点を達成するにはPart 6と7の対策も欠かせません。必要なのは速読力と情報処理能力です。Part 6と7では頻出の問題形式や定番のシチュエーションが決まっているので、それらを押さえ問題数をこなすことも大切です。
・長文の速読力
・複数の文章を同時に処理(Part 7のトリプルパッセージなど)
・定番の問題形式・シチュエーションに慣れる(E-mail、広告、記事など)
4-3. リスニングの勉強法
TOEICで730点を目指す場合のリスニングの目標点は380点です。Part 1と2は短文な上比較的簡単な問題ばかりなので、まずはこれらのパートを完璧に聞き取れるようにしましょう。
間違えた問題は聞きなおす、聞き取れない単語はなぜ聞き取れないのか(発音が曖昧、別の単語と勘違いしているなど)を分析し、音声も取り入れた学習を行いましょう。
・短文リスニングが完璧に
・単語の発音や聞き間違いに注意
・日常会話の頻出表現に慣れる
Part 3と4は長文が多いので、普段から長さのある英語リスニングに慣れておきましょう。
アナウンスや電話メッセージ、会議といった頻出のシチュエーションを押さえ、参考書や問題集などで本番と酷似した練習問題を解くことが最も効果的です。その際、音読などより能動的な学習方法も取り入れると良いでしょう!
・長文リスニング力を鍛える
・Part3と4の頻出シチュエーションに慣れる
・学習に音読などを取り入れてみる
5. TOEIC730点を取るためのおすすめアプリ・参考書
ここからは、TOEIC730点を目指すための力強い味方となる参考書をご紹介します。
5-1. 【単語帳】『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(朝日新聞出版)
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』
出版社:朝日新聞出版
著者:TEX 加藤
価格:979円
言わずと知れた、TOEIC学習者の必須単語帳。通称「金フレ」として親しまれており、小さめのカバンにも入るコンパクトサイズながらTOEICに必要な単語がレベル別に1000以上載っています。
600, 730, 860, 990点の目標スコア別に分類されており、長く使える一冊です。
5-2. 【単語アプリ】『英単語アプリ mikan』
引用:https://apps.apple.com/jp/app/%E8%8B%B1%E5%8D%98%E8%AA%9E%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA-mikan/id920856839
「英単語アプリ mikan」
アプリ開発:mikan Co.,Ltd.
価格:無料(アプリ内課金あり)
東大生が開発した無料アプリで、TOEIC単語関連では圧倒的な人気を誇っています。
目標スコアに合わせた単語学習を4択クイズ形式で行えます。間違えた問題はくり返し学習することが可能なので、苦手を克服しながらゲーム感覚で語彙力をアップさせるのに最適です!
・iPhone/iPad(※App Store)
(https://apps.apple.com/jp/app/英単語アプリ-mikan/id920856839)
・Android(※Google Play)
(https://play.google.com/store/apps/details?id=link.mikan.mikanandroid&hl=ja)
5-3. 【総合対策】『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』(旺文社)
『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』
出版社:旺文社
著者:古澤弘美
価格:2,530円
旺文社から出版されている人気のTOEIC教材シリーズの730点版。470点から860点までの全4段階から、自分の目標レベルに合わせて教材を選ぶことができます。
各パートの解答ポイントや重要語句、練習問題などが分かりやすくまとめられています。
「730点獲得には基礎が大切」というコンセプトなので、基礎的な語彙や文法に不安がある人でも使いやすい参考書です! 最後のハーフ模試で実力チェックもできますよ!
5-4. 【直前対策】『2カ月で攻略TOEIC(C)L&Rテスト730点!』(アルク)
【CD-ROM・音声DL付】2カ月で攻略TOEIC(C)L&Rテスト730点! (残り日数逆算シリーズ)
出版社:アルク
著者:横本 勝也、早川 幸治
価格:2,530円
2ヵ月という短期間で730点を達成したい人にはこちらがおすすめです。1日20~30分の学習で、無理なくスコアアップを目指すためのヒントが凝縮されています。
各パート理想の時間配分や攻略法、目標正答数が分かりやすくまとめられているのも嬉しいポイントです。
6. まとめ
今回の記事ではTOEIC730点を目指す人が知っておくべき情報や参考書についてご紹介しました。以下が本記事のまとめです。
✅TOEIC730点の評価・レベル
→有名企業でも活用されており、英検準1級、CEFR B2ランクに相当
✅TOEIC730点の攻略法
→8,000語をマスターし、リスニングセクションで8割、リーディングセクションで7割を目標に!
✅TOEIC730点の勉強法
→単語帳は厳選してスキマ時間にくり返し学習を!
→Part 1,2,5を完璧にしつつ、長文の頻出問題やシチュエーションに慣れる
730点を難しいスコアだと考えている人も多いですが、実際には基礎力+少しの対策で達成できるスコアです。TOEIC730点を持っていると将来の選択肢や可能性を広げることができるので、600点を達成した人はぜひ目指してみて下さい!
さらに高いスコアを目指したい方は、こちらも合わせてご覧ください!