「英語の長文読解が苦手…」
「TOEICのリーディングセクションが伸び悩んでいる…」
そんな悩みを解決してくれるのが「精読」です。
精読をすれば、英語を「正確に」「速く」読めるようになり、多くの人が苦手とするTOEICのリーディングセクションでも大幅なスコアアップが狙えます。
また、精読は長文読解だけだけでなく、リスニングやライティングなどにも効果があり、根本的な英語力を高めてくれる最強の勉強法です。
ただ、地味なトレーニングであり、気軽にできるものではないので精読をやってこなかった人も多いかもしれません。
もっと手軽にできる「速読」や「多読」などはやったことはあるけど、「精読」は避けてきたという人もいるでしょう。
そこで今回は、「精読」という勉強法の効果、具体的なやり方と注意点、そして厳選したおすすめ教材をまとめてご紹介していきます。
この記事を読んで「精読」について理解し、リーディングの伸び悩みを解決しましょう!!
1. 精読が英語長文にもたらす効果
「精読」とは、「細かいところまで注意して読むこと」です。
英語学習において、この精読を取り入れることによって、明確な効果を実感することができます。
特に、英語でのコミュニケーション能力を測定する検定試験TOEICでは、リスニングに比べて対策の効果を出しづらく、スコアが伸び悩む要因になるリーディングで精読の成果が明確に出ます。
ここでは、精読がもたらす具体的な効果を確認してみましょう。
1-1. 正確に読めるようになる|TOEIC Part5の正答率が上がる
精読の最大のポイントは、リーディングの「精度」が上がることです。
ふだん長文を読んでモヤモヤとしていた人も、精読をすることで英文の内容が鮮明に頭に入ってくるようになります。
また、精読をすると単語力や文法力がかなり身に付くので、TOEIC Part5での正答率アップにつながります。
Part5は、短文の中で単語や文法の知識を問う問題形式であり、リーディング100問中30問を占めているので、リーディング全体のスコアアップも狙えます。
1-2. 速く読めるようになる|TOEIC Part7で時間切れにならない
精読をすると、速読もできるようになります。
この2つは矛盾することのように思えますが、実は正しいのです。
「速読」と言うと、多くの人は雑に読んだり読み飛ばしたりしますが、結局理解が追いつかずに何度も読み返すことになり、読むのが遅くなってしまいます。
一方で、「精読」の練習をすると正確に意味をとることできるようになり、読み返す回数が減ります。
つまり、精読をすると「返り読み」を減らすことができ、結果的に速く読めるようになるのです。
また、精読によって身に付く速読スピードは、TOEIC Part7で大きく役に立ちます。
Part7は、最後のパートということで時間切れになりやすく、多くの人が解き終わらず塗り絵をしてしまいますが、精読力を身に付ければ攻略することも十分に可能です。
1-3. 英語力全体がアップする
精読は、リーディングにだけ有効な勉強方法ではありません。
むしろ、英語の仕組みを細かく理解することで、リスニング・ライティング・スピーキングといった英語力全体のスキルを伸ばすことができます。
リスニング力だけを強化したいから、英語の音声を聴き続ければいいわけではなく、英語そのものの仕組みのベースにある基本文法や単語の知識は絶対に必要です。
英語の基礎力を確実に身に付けることができるというのは、精読がもたらす最大の効果といえるでしょう。
2. 精読の方法と注意点
ここでは精読の方法と注意点について詳しく紹介します。
精読と言ってもやみくもに取り組むだけでは効果も半減してしまいます。最大限に効果を出すために、正しい方法と注意点を確認しましょう。
精読トレーニングは次の3つのステップで行います。
↓
②文構造をチェック【木を見る】
↓
③文章の論理構造をチェック【森を見る】
「枝」→「木」→「森」のように、細かい部分から徐々に全体を見ていくようにします。
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
2-1. 語彙をチェック【枝を見る】
長文を理解できない最大の原因の一つは、知らない語彙があることです。
もちろん英文中で推測できるときもありますが、事前に知っておけば長文の理解度は一気に高まります。
このステップでは、英文に出てくる「単語」「熟語」「慣用表現」などが全てわかる状態にしていきましょう。
ここで注意したいのが、単語の意味だけでなく品詞・語法・発音など細かいところまでチェックすることです。
品詞・語法まで確認することで、その表現がどんな使われ方をしても対応できるようになりますし、発音まで確認しておけばリスニングやスピーキングにも役に立ちます。
2-2. 文構造をチェック【木を見る】
単語がわかったとしても、文の構造がつかめなければ正しく意味をつかむことができません。
このステップでは文構造を丁寧に確認し、文法的に正しく英文を読めるようになりましょう。
文構造をチェックするときは、次の3つのステップで行います。
ステップ2:意味のかたまりを確認
ステップ3:修飾関係を確認
例文を使って、それぞれを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:主語と動詞を確認
まずは必ず主語と動詞を確認しましょう。
主語と動詞をつかむことで、英文の全体の流れがつかめるからです。
例文で確認しましょう。
この文の主語と動詞は
述語:went(行った)
となりますね。
ステップ2:意味のかたまりを確認
次に英文の意味のかたまりを確認しましょう。
意味のかたまりをつかむ際には、英文にスラッシュを書き込むと良いです。
この学習法は「スラッシュリーディング」と呼ばれ、文構造をつかむのに効果的です。
先ほどの例文で確認してみましょう。
この例文は
・I went(私は行った)
・to the book shop(本屋さんに)
・that opened last week(昨日開いた)
の3つのかたまりで読むことができます。
かたまりで捉えることで一気に読みやすくなりますよね。
参考までに、代表的なかたまりを以下に挙げておきます。
・前置詞のかたまり(例:in Tokyo)
・接続詞のかたまり(例:when I bought it)
・関係詞のかたまり(例:who wears a red skirt)
・不定詞のかたまり(例:to study English)
・動名詞のかたまり(例:studying English)
・分詞のかたまり(例:studying English / written in English)
この例文では、主語と述語のかたまり以外に、前置詞のかたまり(to the book shop)と関係詞のかたまり(that opened last week)があることがわかります。
「スラッシュリーディング」の詳しい勉強法については以下の記事で紹介しています。
スラッシュリーディングについて詳しく知りたい方はこちら↓↓
ステップ3:修飾関係を確認
英文のかたまりを捉えることができたら、修飾関係を確認しましょう。
先ほどの例文では、このような修飾関係になっています。
・to the book shop(本屋さんに)がwent(行った)を修飾
・that opened last week(昨日開いた)がthe book shop(本屋さん)を修飾
今回はそこまで複雑な文ではありませんが、長い文になると修飾関係を整理しながら読んでいくことが大切になります。
このように、英文の構造を整理しながら読むことで、文の語順そのままで理解できるようになります。
2-3. 文章の論理構造をチェック【森を見る】
最後に文章の論理構造をチェックしましょう。
長文が苦手な人の中には、こんな人がいます。
「1文1文は正確に読めるけど、長文になると何を言っているのかわからない」
それは文と文のつながりを意識して読めていないからです。
前後の文のつながりを意識して文章の流れを追っていくことで、英文を正確に読むことができます。
具体的には、文章中の次のような関係性を確認していきます。
・抽象/具体:抽象的に説明した後に具体的に説明する
・原因/結果:因果関係を説明する
・対比/逆接:対比や逆接を使って説明する
・列挙/追加:情報を列挙・追加して説明する
例文で確認してみましょう。
この2文は、「原因/結果」の関係でつながっています。Then(それで)があるのでわかりやすいですね。
このように文のつながりを表す語を「ディスコースマーカー」といいます。
参考までに、代表的なディスコースマーカーを以下の挙げておきます。
・抽象/具体:for example, in other words
・原因/結果:thus, therefore, so
・対比/逆接:however, but
・列挙/追加:also, first, second, finally
ここまで確認できたら長文の内容はほぼ理解できているはずです。
理解度を確認するために、長文の内容を要約まですると完璧です。
精読トレーニングはここまででも十分ですが、その後に追加のトレーニングをすることでもっと効果を発揮することができます。
「精読後にやること」については、次の章で見ていきましょう。
3. 精読後にやること
精読を総合的な英語力アップに結びつけるために取り組みたいこととして、次の3つのトレーニングをおすすめします。
2. 音読をする
3. オーバーラッピング・シャドーイングをする
ここでは、それぞれについて詳しく解説していきます。
3-1. 繰り返し読む
精読で完璧に理解した英文をそのままにしたらもったいないです。
繰り返し読んで、精読で理解した単語の意味や文構造を体にしみこませましょう。
特に文構造を意識して読む練習をすることで、返り読みすることなくスラスラと読み進めることができるようになります。
一度理解した英文を繰り返し読むことで、初見の英文を読むスピードも自然と上がっていきますよ。
3-2. 音読をする
黙読で英文をスラスラ読めるようになったら、次は音読を実践してみましょう。
音読は黙読と違って返り読みができないので、意味のかたまりをより意識することができます。
また、声に出すことで発音やリズムを体で覚えることができるようになるので、よりリズミカルに速く読めるようになります。
3-3. オーバーラッピング・シャドーイングをする
音読よりもさらにレベルの高いトレーニングが「オーバーラッピング」と「シャドーイング」です。
どちらも音声を活用した音読トレーニングです。音声を活用することで、ネイティブの発音・リズム・読むスピードに慣れることができます。
オーバーラッピングは、「英文を見ながら、手本となる音声と同時に音読する」ことを意味します。
一方、シャドーイングは、「手本となる音声を追いかけるようにマネをする」ことを意味します。
聞こえた英文を影のように追いかけていくので、初心者には少し難しい方法ですが、オーバラッピングと同様、英語特有のリズムや抑揚に慣れることができます。
オーバーラッピングについて詳しく知りたい方はこちら↓↓
シャドーイングについて詳しく知りたい方はこちら↓↓
4. 精読におすすめの教材3選
ここでは、初めて精読に挑戦する人にも使いやすい教材を厳選してご紹介します。まずは専用のテキストを使って精読に慣れて、その後に英字新聞や洋書など自分の好きな教材に挑戦すると良いでしょう。
4-1. 『構文把握のプラチカ―英文解釈』(河合出版)
高校生用の参考書シリーズとして人気のプラチカ シリーズの「英文解釈」版です。
特に、構文把握に重点を置いているので、文の構造と文の関係性を理解するための基礎力を身につけることができます。
問題集方式なので、精読を学びつつ実践するために最適な1冊といえます。
中学英語レベルで、基本からやり直したいという人にもおすすめです。
4-2. 『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)
大学受験用参考書でありながら、大人の学び直しの1冊としても人気のある精読の入門書にもなる良書です。
英語の構造を理解するためのプロセスを解説しており、今回ご紹介した精読のステップを実践することができます。
本書で、英文をどのように整理していけばいいのかというコツを身につければ、複雑な構造の英文でも問題なく読み進める精読スキルを手に入れることができるでしょう。
4-3. 『イチから鍛える英語長文500』(学研プラス)
本書の最大の特徴は、精読のあとの音読に役立つ音声CD付属という点です。
英文の読み方を学び、そこから音声CDを使ってオーバーラッピングやシャドーイングのトレーニングをすることができます。
難易度の高低も幅広く、レベルアップのための学習がしやすい構成になっています。
英語への苦手意識がある人にも、挑戦しやすい1冊です。
5. まとめ
今回ご紹介した精読の効果を理解して、正しい方法で実践すれば、あっという間に英文読解のコツをつかめるようになります。
・精読後は繰り返し読み、音読・オーバーラッピング・シャドーイングまですることで、英語力全般を向上させる
精読でリーディングの伸び悩みを解決し、英語力全体も伸ばしていきましょう。