オリンピックや万博など国際的イベントが日本で開催されることもあり、外国人とのコミュニケーションへの注目は高まりつつあります。
その中で、英語教育の見直しも進み、小学校から英語科目が必修となるなど、改めて英語学習に時間を割く重要性が認知されていることを体感します。今後子供たちが英語を勉強する時間はますます増えていくでしょう。
また、外資系企業でなくとも、採用基準のひとつとしてTOEICスコアを設定する企業が増えてきており、あらゆる場面でTOEICの点数が英語力の指標として求められるようになりました。
実際にTOEIC受験を検討すると気になるのが、「どのくらいの時間勉強すべきなのか」。
そこで今回は、TOEIC対策に必要な勉強時間の目安と効果的な勉強法のコツをご紹介します。
Contents
1.TOEICというテストを「知る」ことが最初の一歩
TOEIC対策勉強を効率的に進めて、効果を上げるために必要なこと。
それは、高価な対策講座を受講することではありません。TOEICというテストを正しく「知る」ことができれば、独学でも上級者になれます。
英語検定試験には、TOEICだけではなく、英検やTOEFL・IELTSなどさまざまあります。その中で、TOEICが持っている特徴を知っておくことが、点数の向上につながります。
ここでは、TOEICというテストそのものについて改めて確認しておきましょう。
1-1. 英語でのコミュニケーション能力を測定する試験・TOEIC
TOEICの正式名称は、国際コミュニケーション英語能力テスト(Test of English for International Communication)です。名称からもわかるように、英語でのコミュニケーション能力を測定する試験ということ。
リスニングとリーディングのみの試験ではありますが、TOEICで高得点を取れる人は英会話や英作文の勉強を始めた際の上達が早い傾向がありますので、コミュニケーション能力の基礎となる力を測る試験といえます。
また他の英語検定試験とは異なり、TOEICではビジネスシーンでの英語能力を問うという特徴があることが、企業などが採用基準として設定する理由です。
TOEICには、最も受験者数が多く一般的な認知度の高い、リスニングとリーディングスキルを問う「TOEIC Listening & Reading Test」、スピーキングとライティングスキルを直接問う「TOEIC Speaking & Writing Tests」、初級者向けの「TOEIC Bridge Test」、そして団体受験制度「TOEIC IP」の4種類があります。
全てのテストは、合否を判断する制度ではなく、スコアで評価されます。
今回は、「TOEIC Listening & Reading Test」対策に絞ってお話していきます。
1-2.目標スコアに合わせた学習プランがスコアアップの鍵
TOEICは、非常にゲーム性が高いテストだと言われています。これは、TOEICで出題される問題には、明確な傾向があり、攻略のコツがあるからです。
例えば、語彙や文法にも、TOEICに出やすいものと出にくいものがあり、傾向を把握してTOEICに特化した学習をすることが第一となります。
そして、合否ではなくスコアで結果が出るからこそ、まず「目標スコア」を設定して、自分の現状のレベルからどのような学習が必要なのかを特定して、学習プランを立てていくことがスコアアップの鍵になります。
TOEIC対策勉強をすることで、同時に英語のアウトプットに必要な基礎力アップも見込めるので、ぜひ目標スコア達成を目指して、学習を進めていきましょう。
2.初心者はここから!TOEIC700点を目指すための勉強時間の目安と勉強法
初めてTOEICを受験するという人にとっては、「TOEIC700点」というのがどの程度の難易度なのかも見当つかないですよね。
一般的に「TOEIC700点」は英検でいうと2級〜準1級程度のレベルといわれており、TOEIC受験者全体の上位3割に該当することから、就職・転職などでも幅広い場面で有利になるスコアと考えると良いでしょう。
初心者が目指す点数としては高く感じるかもしれませんが、高い目標を目指すことで上達も早くなるはずです。
では、初心者がTOEIC700点を目指すための勉強時間の目安と勉強法の基本について確認しましょう。
2-1.「スコア100点アップ=勉強時間最低200時間」が基本
TOEICの勉強時間の目安として一般的に「100点アップに必要な勉強時間は200〜300時間」といわれています。
例えば、TOEIC開発に携わった三枝幸夫氏が発表した論文のデータでは、例えば現状が350点レベルであれば、750点を目標にする(400点のスコアアップを目指す)場合950時間の勉強が必要とされています。
2-2.まずは現状の実力をチェックする
2-3.定期的なレベルチェックと学習プランの調整を繰り返す
「もう少し長文読解のPart7の練習問題をする時間を増やそう」や、「予定よりも早く英語力が伸びているから、目標スコアを上げてみようかな」といった調整をしていくことが大切です。
3. TOEIC対策勉強で効率良く効果を出すためのコツ
TOEICはしっかり時間を費やして対策勉強をすれば、確実に成果を出せる試験です。
短い期間ですぐに点数が伸びるわけではありませんが、効率を意識して攻略ポイントをおさえて、いかにモチベーションを維持して勉強を続けられるかが大切です。
毎日の授業がある大学生や、日々の仕事に忙しい社会人でも、どのレベルの人でも、やはりTOEICは「コツをおさえた学習」が最強の攻略法といえます。
ここでは、効率良く効果を出すためのコツを確認していきましょう。
3-1. 日頃からタイムマネジメントを意識する
TOEICの攻略法のひとつとしてまず挙げられるのが、タイムマネジメントです。特にリーディングセクションで時間内に全問解答できない、という人が多く、かなりスピードを意識しておく必要があります。
定期的にレベルチェックを兼ねて、模試形式の問題を解いてみるなどして、どのパートにどれくらい時間がかかっているのかを、正誤率と同じくチェックしましょう。
また、日頃の練習問題を解く時も、「1問に何分かかっているのか」そして「1分でどれくらい解けるか」を体感しておくクセ付けが大きなポイントになります。
タイムマネジメントを意識することで、本番でも効率的な時間の使い方ができるので、普段から「時間に対する感度」をしっかり上げていきましょう。
3-2. 無理なく継続できる仕掛けを作る
先述の通り、スコア100点アップのために、最低でも200時間の学習が必要といわれています。毎日3時間勉強しても、最低3カ月弱かかるということで、決して短い期間ではありません。
ここで取り組みたいのが、「継続できる仕掛け」作りです。
日々の生活に、3時間の勉強時間を確実にとっていくのは、現実的にはかなり難しいですよね。だからこそ、まずは毎日の生活スケジュールに、無理のない範囲でTOEIC学習を組み込む工夫が必要になるのです。
例えば、平日の通勤・通学時間往復の間30分を単語学習、夕食後に30分英文読解対策をして1日1時間を確保。
週末はもう少し時間を増やして、模試でレベルチェックしたり苦手な分野を補強したり、というように、できるだけ具体的に生活のリズムに合わせていくことをおすすめします。
3-3.パートごとの攻略方法を身に付ける
TOEICは、出題傾向が明確なテストです。リスニング・リーディングともに、それぞれのパートの問題形式は定まっていて、解く上でのコツもあるので、パートごとの「解き方」を身に付けると、限られた試験時間を効率よく使うことができるようになります。
対策本などを参考にしながら、パートごとの練習問題に取り組むことで、そのパートの対策がしっかりできます。
例えば、リーディングの難関ポイントといわれているPart7攻略としては、ボリュームのある英文を短時間で要点をおさえる読み方を身に付けることが重要です。
一文一文を精読してじっくり理解する必要はなく、問題に答えるための情報を効率よく英文から探し出す読み方ができればいいということ。
このように、各パートで求められることを理解して、時間配分を意識しながら解答するテクニックを身に付けることを意識しましょう。
4. 最初の対策におすすめ!TOEIC対策教材厳選3選
TOEIC対策教材として、さまざまなオンラインコンテンツや書籍・アプリなどを活用することができます。その種類があまりにも多く、どれを使えばいいのかわからない、と悩む人も多いはず。
そこで、「TOEIC対策をするならまずはこれ」という、おすすめの必携教材をご紹介します。
4-1.『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(朝日新聞出版)
引用:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18732
TOEIC対策本として、絶大な人気を誇る単語帳。TOEICを毎回受験して、実体験として知り尽くした著者がまとめたデータに基づくことで、「本番によく出る単語」だけを集めたとても効率のよい1冊です。
無料音声もついているので、リスニング対策としても活用することができます。また、目標スコア別にまとめられているので、個々のレベルに合わせた学習を進められるようになっています。
通勤・通学中に音声学習、家でしっかり単語・フレーズをチェックするなど、しっかりこの1冊を使い込むことをおすすめします。
4-2. 『TOEIC(R) L&Rテスト 至高の模試600問』(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7017040/
解説の詳しさに定評のある大人気模試です。しっかりした解説のおかげで復習をしやすく、何度も繰り返し解いて内容を吸収するのに最適です。
また、点数アップにダイレクトに役立つ受験テクニックについてのコラムも充実。TOEICの解き方を徹底的に身に付けるためには、ぜひとも取り組んでおきたい模試。
4-3. 『公式 TOEIC Listening & Reading 問題集』(国際ビジネスコミュニケーション協会)
引用:https://www.iibc-global.org/toeic/support/prep/lr_ud_06/pr.html
本番のTOEICに最も近い問題集は、やはり公式問題集です。TOEICの問題作成をしているETSが制作した問題集だからこそ、実際の出題傾向を体得することができます。
実際のリスニングセクションと同じ公式スピーカーの音声CDが付いているので、音声に関しても本番さながらの実践練習ができるというのは、公式ならではの強みでしょう。
定期的に新しいバージョンが出版されます。当然ながら新しいものの方が最新の出題傾向に即しているので、国際ビジネスコミュニケーション協会の公式サイトで、最新版を確認してから購入することをおすすめします。
まとめ
TOEICで700点以上のスコアを取得できれば、就活や転職で有利になるのはもちろん、実際の英語力としても「使える英語」の基礎があるという証明になります。
初心者の方には難しいスコアかもしれませんが、決して不可能なスコアというわけでもありません。少しずつレベルアップしていけばよいので、ぜひ目標点数のひとつとして考えてみてください。
決して楽に短期間で高スコアに到達できるものではありませんが、日々の継続した学習を積み重ねることで確実に目標を達成することができます。
しっかりプランを立てて効率的に学習できれば、勉強時間を重ねていくことに「達成感」を感じることができますよ。楽しみながらTOEICを攻略しましょう。