あなたはTOEIC Listening & Reading(以下、TOEIC)の公式問題集を上手に活用できていますか?
「公式問題集は、他のTOEIC問題集と比べると高いから買っていない」という方はいませんか?
確かに公式問題集は、2回分の模試を掲載して約3000円なので、他の模試問題集と比較すると少し高く感じるかもしれません。しかし、公式問題集はTOEIC本番の試験を作っているETSが作成したテストが掲載されているため、限りなく本番のテストに近い問題集になっています。
つまり、「公式問題集はあなたの使い方次第で値段以上に価値のある1冊へと変身する」ということです。
そこで、今回はスコアアップに役立つ公式問題集の活用方法をお教えします。
長年、TOEIC問題集の製作に携わってきたメディアビーコン編集部だからこそわかる情報満載です。
それでは早速見ていきましょう。
Contents
1. TOEIC公式問題集を解き始める前に
TOEICの公式問題集を使ってTOEICの勉強を始める前に確認しておきたいのが、あなたの基礎英語力です。
もし仮に、あなたが中学レベルの英語力も怪しければ、TOEIC公式問題集を解いても問題文の意味が理解できず、何をすればいいのかわからないという事態に陥ってしまうでしょう。
公式問題集を解き始めるレベルとしては、少なくとも中学修了~高校基礎レベルの英文法と英単語を覚えているという状態である必要があります。
具体的な点数でいうと、公式問題集を解いて学習の効果が出るのは、TOEIC500点以上を取る実力のある人といえるでしょう。それ以下の点数の人が公式問題集をいきなり解き始めると、わかる問題が少なすぎてやる気を無くしてしまう可能性が高いので注意が必要です。
500点未満の実力の人は、まずは、高校基礎レベルの文法問題集や単語帳に取り組むとよいでしょう。
現状の自分のレベルがわからないという人は、TOEICを運営するIIBCの公式サイトでサンプル問題を無料で見ることができるので、それを解いてみてTOEICの問題がどのくらい解けそうか判断するとよいでしょう。
他にも、インターネット上で無料で公開されている実力診断を受けてみるという手もあります。
こういった実力診断サイトの中には、公式サイト以外にもTOEICと同じ形式の問題を解いて実力を測定できるサービスもあるので、ぜひ受けてみることをおすすめします。
例えば「アルク」の公式サイトにある無料診断テストを受ければ、自分のTOEICの目安となる得点を診断してくれるので、明確に実力を調べることができます。
これらのことを踏まえたうえで、TOEIC公式問題集を解き始めるようにしましょう。
※公式問題集は新形式対応のものを使うようにしてください。2016年5月にTOEICに新形式問題が導入されてから、TOEICに新しく追加された問題パターンがあるので、旧形式の問題集では効果的な対策がしにくくなっています。
また、新形式の公式問題集の中でも少しづつ出題傾向は変化しているので、なるべく最新刊を選ぶ方が今の試験に近く、おすすめです。
2. まずはTOEICテスト本番を意識して同じ環境で解いてみよう
TOEIC公式問題集を解き始めるのであれば、最初はTOEIC本番の試験と同じ形式、同じ環境、同じ制限時間で解くことから始めてみましょう。
模試を解くことの目的の1つはTOEIC本番の試験の練習をして、TOEICの形式に対して慣れることにあります。
もちろん、本番の会場と全く同じ環境にすることは難しいと思いますが、リスニングを解く際はイヤホンを使わずにCDプレーヤを使う、時間の管理はスマホではなく腕時計でするなど、なるべく本番と同じ条件で模試に取り組むようにしてください。
そうすることで、いざ本番を迎えたときに落ち着いて問題に取り組むことができるようになります。
3. 間違えた問題を分析しよう
一度公式問題集を解き終えたら、公式問題集に付いているスコア範囲換算表を使って、あなたの目安となるTOEICの得点を確認しましょう。自分の実力を把握し、その後の学習に役立てましょう。
そして、大切なのはここからです。
公式問題集は、「解答を見て丸付けをして終わり」ではほとんど効果が上がりません。
大切なことは、間違えた問題を分析して、原因を特定することです。
例えばリスニング問題であれば、「単純に単語がわからなかったから」、「ネイティブ英語特有の、音の連結や消失を正しく聞き取れなかったから」などが間違えた原因として挙げられるでしょう。
単語がわからなかったのであれば、単語帳などで語彙力を底上げする必要がありますし、発音がわからなかったのであれば、TOEICのリスニング音声を何度も聞いて、TOEICのナレーターの発音に慣れる必要があります。
このように公式問題集を一度解いたら、間違えた原因を特定してそこを重点的に対策することがTOEIC攻略に繋がります。
また、公式問題集を何度も解いていると、苦手な設問パターンが見つかるはずです。苦手な設問パターンを見つけたら、その問題の正解の根拠を蛍光ペンなどで可視化するようにしましょう。
TOEICの問題は同じパターンの文書(Eメールや記事、広告等)が毎回出題されるため、文章の流れも似たようなものになることが多いです。
正解の根拠を可視化することによって、本番で同じパターンの問題が出たときに、大体の内容を予想しながら本文を読むことができるようになります。
4. 全文聞き直し・読み直し&わからなかった語彙や文法事項をノートにまとめよう
間違えた問題の分析が終わったら、問題の正解不正解に関わらず文章すべての聞き直し・読み直しを行いましょう。TOEICというテストには、正解の根拠にはならなかった本文の中や、誤答の選択肢の中にも、重要な語句が数多く含まれています。
「問題を正しく解けたか、解けなかったか」という視点だけで復習すると、本文や、誤答の選択肢の中に出てくる重要な語句を学ぶチャンスを捨ててしまうことになるので非常にもったいないです。
例えばPart 1の写真の内容を適切に描写した英文を選ぶ問題では、巧妙な音のひっかけで、受検者の不正解を誘う問題がたくさん出てきます。誤答の選択肢までしっかり聞き取れるようになって、初めて点数が安定するようになるので、TOEICは出題される英文すべてが重要だといえるのです。
具体的な復習の手順は
基本的な復習の手順としては、リスニング音声を聞く、もしくはリーディングの文章をすべて読み、意味の理解できないものは日本語訳を見て確認するという作業をしていきます。
意味のわからなかった英文に関しては単語をノートにメモしたり、文法事項の解説をノートに書き写したりするようにしましょう。単語をノートにメモする際は
②その単語の意味
③その単語が登場した文章
の3つをメモするようにすると、ノートを見直したときに、問題を解いたときの記憶も一緒に覚えることができ、その単語を強く印象付けることができるのでおすすめです。
また、大事なこととして意識してほしいことは、単語をノートにまとめっぱなしにしないということです。定期的に見直すようにして記憶にとどめるための工夫をしてください。
5. オーバーラッピングとシャドーイングを繰り返す
間違えた設問の分析をして、全文読み直し&わからない語彙の確認を行ったら、最後は英文のオーバーラッピング&シャドーイングをしていきます。
オーバーラッピングは音声を聞いて、聞こえてきた音と同時にスクリプトを読み上げるトレーニングです。シャドーイングはスクリプトを見ずに、聞こえてきた音をほぼ同時に口頭で再現するトレーニングです。
「自分が発音できない音は聞き取ることができない」という話を聞いたことはありますか? 実際、英語を声に出して発音を真似することによって、聞き取れる音がどんどん増えていき、リスニング力を上げることができます。
またその他にも、このトレーニングはリーディングのスコアアップにも大きく役立ちます。Part 7の長文は文章量が非常に多く、時間内に解き終わることができないという人がたくさんいますよね。
そんな方にもオーバーラッピング&シャドーイングは効果的なトレーニングです。
2019年6月に発売されたTOEIC公式問題集5と、現在の最新刊である公式問題集6は、リーディング本文の音声が公式サイトからダウンロード可能になったため、リーディング本文のオーバーラッピング、シャドーイングも可能になりました。
オーバーラッピングとシャドーイングをすることによって、英語を処理する速度が格段に速くなるため、Part 7を解くスピードもどんどん上がっていきます。
オーバーラッピングとシャドーイングを行う回数としては、1つの文章に対してそれぞれ10回は行うようにしましょう。根気のいる作業ではありますが、これをやれば確実にTOEICスコアを上げることができると断言できます。
オーバーラッピングとシャドーイングにはそれだけの力があります。本気で英語力、TOEICスコアを上げたいのであれば取り組むべきトレーニングです。
6.【まとめ】TOEICテスト対策は公式問題集で仕上げよう
いかがでしたか? ここまで解説してきたことを簡単に4つにまとめると以下の通り。
①本番と同じ形式、環境、制限時間で問題を解いて、TOEICに慣れましょう。
②間違えた問題の原因を分析して、苦手な問題の対策を重点的にしましょう。
③全文を聞き直し・読み直して意味を確認しながら、わからない単語や文法をノートにまとめましょう。
④最後は英文すべてのオーバーラッピング&シャドーイングを繰り返しTOEICの英文を頭の中に染み込ませましょう。
この手順に従うことで、公式問題集はどんな問題集やTOEIC講座よりも、TOEICテストのスコアアップ対策に力を発揮します。ぜひこの方法で学習を進めてみてください。