キャリアアップや転職を目指すときに有利になるスキルとして、英語力は根強い人気があります。そして、その英語力を証明するものとして重視されるのがTOEICなどの英語資格。
また、近年、日本の社会では「グローバル化」「ダイバーシティ」といったキーワードに対する意識が高まっています。その流れで、英語力への注目度は年々ますます高まっています。
資格としてTOEICのハイスコアを持っておけば、就職・転職の心強い味方になるでしょう。
そこで今回は、英語力を証明する資格のひとつとして、TOEICの概要、取得するメリット、そして効率的な対策勉強のポイントについてまとめてご紹介します。
Contents
1. TOEICの基本を知ろう
ほとんどの方は英語の資格として「TOEIC(トーイック)」という名前を耳にしたことがあると思います。では、このTOEICというテストがどのような英語力を検定する試験か、詳しくご存知でしょうか。
まずはTOEICそのものの基本を明確に理解しましょう。
1-1. 英語によるコミュニケーション能力を検定する試験
TOEICとは、Test of English for International Communicationの頭文字を略した名称で、日本語での正式名称は「国際コミュニケーション英語能力テスト」です。その名称からもわかりますが、TOEICの最大のポイントはコミュニケーション力を検定するものということ。
特にビジネスシーンでのコミュニケーションに重点を置いていることから、難しい英文をじっくり解釈したりするスキルではなく、短時間で英文の要点をおさえるスキルが重視されるのも特徴です。
アメリカのETS(Educational Testing Service/教育試験サービス)が試験の開発・運営・結果の評価を行なっており、世界160カ国で実施されている国際的な英語試験です。
1-2. TOEICの種類
就職・転職サービスなどで企業が「TOEIC 700点以上」などを採用基準として提示していることがあります。
こうした表現からTOEICが単一の試験と考えている方がいるかもしれませんが、実際はTOEICには次の4つの種類が存在します。
1. TOEIC Listening & Reading Test:リスニング・リーディングに特化
2. TOEIC Speaking & Writing Tests:スピーキング・ライティングに特化
3. TOEIC Bridge:初級・中級レベル向け。こちらもListening & ReadingバージョンとSpeaking & Writingバージョンが存在
4. TOEIC IP:企業・団体・学校などが任意で実施する団体受験制度
一般的に「TOEIC」と表現されているのは1の「TOEIC Listening & Reading Test」です。
ただし企業や業種などによっては、スピーキング力・ライティング力を重視して「TOEIC S&W(Speaking & Writing)」のスコア提示を求める場合もありますから、TOEICに種類があることは認識しておいて損はないでしょう。
1-3. ビジネスで高まるTOEICの認知度
英語の資格として国内で最も認知度が高いものとして「英検(実用英語技能検定)」があります。
2018年度の受験者数は約380万人と依然として圧倒的な認知度がある英検ですが、こちらは高校・大学・大学院などへの進学でのメリットが強い資格です。そのため、受験者の多くは学生です。
一方TOEICは、グローバル化が進むビジネスシーンで通用する英語力を判定する資格として、企業やビジネスマンの間で注目を集め続けています。
2018年度の受験者数はTOEIC Listening & Readingだけでも250万人にせまっており、その認知度の高まりをよく表しています。
2. 他の英語資格と比較しても「TOEIC」がメジャーな理由
英語資格には、TOEICだけではなく、さまざまな種類があります。当然それぞれの資格試験に特徴があり、目的に応じて適切なものを受験することが求められます。
ここでは、数ある英語資格の中で、TOEICが圧倒的に認知されメジャーとされている理由を確認しておきましょう。
2-1. グローバルスタンダードとして通用する
TOEICが近年重要視されるようになった最大の理由として、試験の開発・運営・評価をアメリカの団体ETSが行っていることが挙げられます。
受験者分布を確認すると、圧倒的にアジア圏に受験者が集中していますが、それでもある一定の世界的な認知度もあり、グローバルスタンダードとしてTOEICスコアが通用しています。
世界共通のテストで検定される英語力ということで、日系企業だけではなく外資系企業への就職の際にも重視されています。
2-2. ビジネスシーンを想定している
先述のTOEICの開発機関ETSが運営している他の英語資格に「TOEFL」というものがあります。TOEICとTOEFLの違いは、何でしょうか?
それは、TOEICがビジネスシーンを想定した英語でのコミュニケーション能力を判定するものである一方、TOEFLは主に留学生活でのコミュニケーション能力や、大学・大学院での研究のために使う英語スキル(論文を読める・講義が聞ける・ディスカッションができるなど)を判定するものという点です。
企業が人材のスキルをチェックするにあたり、ビジネスシーンを想定したスキルを重視するのは当然のことといえるでしょう。
そのため、TOEICへの社会的関心は高いのです。
2-3.合否ではなくスコア制でレベルを客観視できる
英検もメジャーな英語資格試験ですが、TOEICと違い合否があります。英検はいろいろな階級がありますが、いずれにせよ、合格か不合格かで判定されます。
英検にも最近「CSEスコア」という得点制度が導入され、同じ合格でもギリギリ合格だったのか、余裕の合格だったのかなどを把握できるようにはなりました。
とはいえ、長らく合格/不合格の2段階のみで判定されていたことから、今でも「英検では細かい英語力まではわからない」とマイナスイメージを持っている人もいます。
一方、TOEICはスコアで判定されるテストなので、合否はありません。全員が共通のテストを受験し、990点満点中の何点なのか点数(スコア)が出るので、英語力を客観的に比較しやすいのです。
また、TOEICは総合スコアだけでなく「語彙がわかる」「会話の詳細が把握できる」など項目ごとの達成度も数値で判定されるため、現状の把握や今後の目標設定がしやすく、英語力アップの目安にしやすいのも利点といえるでしょう。
3. 資格としてのTOEICとキャリアアップの深いつながり
注目度が上がり、需要も高まるTOEICのスコアは、実際にどの程度キャリアアップや日頃の仕事に影響をもたらすのでしょうか。
ここでは、TOEICとキャリアアップに焦点をあてて、アピールできるスコアの目安やスコアの活用のポイントについて確認しておきましょう。
3-1. グローバル化に対応するために企業が求めるTOEICスコア
企業の求人サイトでは応募条件にTOEICスコアが設定されていることがあります。
そうでなくても、業務で英語を使う会社ならTOEICスコアは高確率で採用の参考にされています。
では、履歴書に記載してアピールになるスコアは何点からといえるのでしょうか。
最低ラインは、一般的に英検2級レベル相当の難易度といわれるTOEIC600点以上といわれています。
もちろん会社によって違いますが、英語に関係する仕事や外資系では750点以上、通訳などの英語に特化した職種では900点以上がある程度の目安と言えるでしょう。
一部でTOEICのスコアには有効期限があるといわれていますが、実際は有効期限はありません。
取得日がかなり前のスコアであっても、資格として使用することは可能です。ただし、公式認定証の再発行ができる期間は2年とされているので、認定証の提出が必要となる場合には紛失に注意が必要です。
履歴書への書き方としては、「免許・資格」の欄に「○○年××月 TOEIC公開テスト スコア800点取得」としましょう。
3-2. 平均年収との関連性
大手転職サイトの統計によると、TOEICのスコアと年収には明確に関連性があります。
例えば、TOEIC未受験もしくは400点未満の平均年収420万円程度と比較すると、400〜600点台が500万程度、700点を超えると520万〜600万円弱となります。その差は歴然ですね。
TOEIC700点以上と想定すると、400点以下もしくはスコアなしの場合と年収にして100万円以上の差が出ると考えると、いかにキャリアとTOEICスコアが関連しているかがわかります。
4. 効率的なスコアアップにつなげるためのTOEIC対策勉強のコツ
あらゆる点で取得のメリットがあるTOEICですが、効率よく対策勉強をするにはコツを押さえることが重要になります。
TOEICはもちろん英語力を測定する試験ではありますが、英語力を高める以外に、的を絞った試験対策をすることもスコアを伸ばす大切な要素なのです。
ここでは、TOEIC対策勉強を効率的かつ効果的に進めるコツをご紹介します。
4-1. TOEICの傾向をおさえつつ効率的な学習プランをつくる
TOEICは問題の構成が固定されていて、はっきりとした出題傾向があるテストです。
単語・文法・トピック、どの点においても「ビジネスシーンで日常的に使われるもの」に限られているので、TOEICで頻出する問題のクセに慣れていれば高スコアを狙うことができます。
ここで重要になるのが、どれだけTOEICに特化した準備ができるか。
一番のポイントはTOEICを熟知した指導者による講義や教材を使うことです。TOEICに詳しくない人に教わっても、なかなかスコアアップに直結した学習はできません。
また、いつまでに何点取る必要があるのか目標を明確にして、現状の実力と比較して綿密な学習プランを立てることで、TOEIC攻略の効率はさらに高まります。
4-2. TOEICに慣れ、素早い処理を目指す
TOEICは、ビジネススキルとしての英語力を問うという性質上、かなりのボリュームな英文を短時間で処理する必要があるテスト。単純に英語力を高めるだけではなく、TOEICの解答方法のコツを身につけることがスコアアップの鍵になります。
リーディングでは75分間で100問に回答する必要がありますし、音声に沿って進めるリスニングでも、1問終わったあとのわずかな時間を使って次の問題文を先読みしておくといった戦略が重要となります。
こうした解答スピードを身に付けるには、TOEIC攻略のポイントをおさえて、日々の対策勉強でとことん反復してTOEICの問題形式に慣れること。
これを継続することで確実に結果は出ます。
定期的に実力チェックをしながら、学習の効果を体感することで、モチベーションを持続させて対策勉強を楽しめるようなプランを組むことも重要です。
4-3. インプットとアウトプットのバランスを意識する
TOEICに限らず、英語学習で確実に効果を出すために必要なのが、インプットとアウトプットのバランスです。
一般的にはインプット/アウトプットは「読み聞き/書き話し」といった英語技能の種類分けのことですが、TOEIC対策では「日頃の基礎学習/模試を実際に解く」の2つだと言えるでしょう。
TOEIC講座に申し込んで授業を受けたり、ひたすら単語を覚えて文法問題集を解いたり、といった学習法も役には立ちますが、それだけではインプット過多です。
学んだこと、つまりインプットしたことを、手持ちの模試を解くことで実際にアウトプットしましょう。
最終的なゴールは本番で良いスコアを得ることなのですから、いくら基礎学習をしても、アウトプットもしておかなければ本番で力を発揮できません。
そして、模試を解いたら、その結果を参考に「自分は何を勉強すべきなのか?」を割り出してインプットの学習に活かす。この繰り返しがポイントになります。
日頃からインプットとアウトプットのバランスを意識することで、本番のテストという一番のアウトプットで最高のパフォーマンスができるようにしましょう。
まとめ
さまざまな企業で英語力の需要が高まりつつあり、それに伴って、ビジネスでの英語力を示すTOEICも注目されているのはすでにお話しした通りです。
しかも企業によっては、TOEICスコアに資格手当を支給してスキルアップを促進するケースもあるなど、今後引き続きTOEICへの注目度は高く維持されると見込まれています。
まずは今の英語力を知るという意味でも、TOEICに挑戦してみましょう。