「個々の単語の意味はわかるけど、全体で何を言いたいのかわからない!」
その違和感の原因は、もしかするとイディオムを知らないからなのかもしれません。
英語にも日本語と同じように慣用句がたくさん存在します。これらはidioms(イディオム)と呼ばれ、単語からは類推しにくい独自の意味を持ちます。中学や高校の英語教育で慣用句を教える事はあまりありませんよね。
日本のことわざや四字熟語と同じように、英語の慣用句も生き生きとしたメタファーにあふれています。受験に出ることはありませんが、さらっと言えたり意味がわかったりすると楽しいですし、かっこよく聞こえますよ!
この記事では、日常からビジネス、恋愛などさまざまなシーンごとによく使われる、英語慣用句を40厳選して一覧にしました。英語慣用句辞典として使ってみてください。
1. 日常会話で使える英語の慣用句8選
1-1. a piece of cake
英語:a piece of cake
意味:楽勝、簡単
例文:That test was a piece of cake!(あのテストはとても簡単だった!)
日常でもよく使われる表現で、直訳すると「一切れのケーキ」という意味。同じ意味の表現にeasy as pie(パイのように簡単)もありますね!日本語で言う「朝飯前だよ」というニュアンスがあります。
1-2. Easy come, easy go.
意味:あぶく銭は身につかない。
簡単に手に入るものは、簡単になくなってしまうという意味。同じ単語が入っているので語呂もよくおしゃれですね。easygoing「気楽な」という表現もあります。
1-3. Time flies.
英語:Time flies.
意味:時間が経つのは早い!
直訳で「時間が飛ぶ」となりますが、時間が飛んでいくように早く感じるという意味から生まれた慣用句です。日本語だと、「光陰矢の如し」が直訳ですね!
手紙やメールの文章では、「Where did the time go?」と表現することも可能です。
1-4. It’s killing me!
英語:It’s killing me!
意味:耐えられない!
身体的にきついときや精神的につらいときに使われる慣用句。英訳が「それは私を殺している」となりますが、これは誇張した表現です。日本語の若者言葉でも似たようなものがありますね。
1-5. No, I’m cool.
英語:No, I’m cool.
意味:結構です。
レストランで提案を断りたいときに役立つフレーズです。カジュアルな表現ですので、フォーマルなシチュエーションでは「I’m fine.」を使うのがベストです。海外旅行の際に使ってみてくださいね。
1-6. cry over spilt milk
英語:cry over spilt milk
意味:覆水盆に返らず。
例文:Don’t cry over spilt milk. It can’t be helped.(覆水盆に返らず。どうしようもないよ。)
日本語のことわざに似た慣用句です。直訳すると「こぼれたミルクに対して泣く」という意味。「Don’t cry over spilt milk.」と言うことで「終わったことにクヨクヨするな」と表現することができます。
1-7. Better late than never.
英語:Better late than never.
意味:遅れたとしてもやらないよりはいい。
待ち合わせに遅れたときや仕事の納期が遅れたときに使われる慣用句です。「しないよりはマシだよね」というニュアンスで使うことができます。
同じような文構造で、better safe than sorry(転ばぬ先の杖=後悔するよりも慎重であったほうがいい)という慣用句もあります!
1-8. beat around the bush
2. ビジネスで使える英語の慣用句8選
仕事でも使うことができる慣用句はたくさんあります!
2-1. plan B
英語:plan B
意味:代替案
こちらは日本でも馴染みのあるフレーズですよね。もともと考えていた計画が「プランA」という前提です。計画が上手くいかなかったとき、代替案という意味で使ってみてください。
2-2. ballpark figure
英語:ballpark figure
意味:大体の計算、概算
ビジネスシーンで大体の予算を尋ねるときや報告するときに使える慣用句です。ちなみに「ballpark figure」は直訳すると「野球場の数字」という意味。「野球場のように広い範囲の数字」=「大体の見積もり」となったようです。
日本語だと「鯖を読む」の語源がエピソード的には近いですね!
2-3. frankly
英語:frankly
意味:はっきり言うと
例文:Frankly speaking, I think this idea won’t work well.(率直に言うと、この案はうまくいかないと思う。)
ビジネスシーンでよく使われる慣用句。「遠慮せずに言うと」「率直に言うと」というニュアンスです。ビジネスだけでなく政治の場でも用いられる表現です。カタカナでも「フランクに」などと使われることもありますね。
2-4. learn the ropes
英語:learn the ropes
意味:コツを覚える
例文:It’s hard to learn the ropes.(コツを覚えるのは大変だよ。)
直訳すると「ロープを学ぶ」となります。これは新人の船乗りがロープの結び方を学ぶことが語源となっています。転じて、仕事のやり方を覚える、という意味になりました。
2-5. go-getter
英語:go-getter
意味:どんどん物事を進める人
例文:He’s a go-getter.(彼は積極的な人なんだ。)
「ガツガツ行動してどんどん成果を得る」というニュアンスのフレーズです。英語圏では行動力がある人が評価されるので、ポジティブな意味で使われます。
2-6. behind the scenes
英語:behind the scenes
意味:陰で
例文:They were working hard behind the scenes.(彼らは陰でとても頑張っていた。)
こちらはいい意味と悪い意味の両方で使われる表現。裏取引や水面下での動きといったネガティブなシーンで使われるほか、「陰の努力」のようにポジティブな表現でも用いられます。
2-7. stop and smell the roses
意味:息抜きをする
例文:Why don’t you stop and smell the roses?(少しゆっくりしてみたら?)
根をつめて頑張っている同僚や部下に、ちょっと息抜きしたら? と伝えたいときに使えます。薔薇の香りをかぐなんてロマンチックです。
2-8. call it a day
英語:call it a day
意味:終わりにする
例文:Let’s call it a day and go out for a drink!(今日はもうここまでにして、飲みにいこうよ!)
仕事を切り上げるときに使います。もともとは19世紀の労働者が使っていたcall it half a dayという表現に由来します。なぜhalf「半分」なのかというと、19世紀の労働者たちが午前の仕事を切り上げて帰宅して昼食を食べるという習慣があったからのようです!
3. 恋愛で使える英語の慣用句8選
3-1. I’m drawn to you.
英語:I’m drawn to you.
意味:あなたに心惹かれています。
片思いをしている相手に使える表現です。「drawn」は「引き寄せられた」という意味があるので、「あなたに引き寄せられている」=「心惹かれている」というおしゃれな表現になります。
3-2. She is the world to me.
英語:She is the world to me.
意味:彼女は僕の全てだ。
直訳すると「彼女は私にとって世界だ」となります。少し大げさな表現ですが、大きな愛情を伝えるときに、素敵な印象を与えることができるイディオムです。
3-3. stick with you
英語:stick with you
意味:離れないよ
例文:I will stick with you.(そばにいるよ。)
「stick」は「くっつく」という意味があるので、あなたにくっついて離れないというニュアンスを持たせることができます。主に女性が男性に向かって使うことが多いようです。
3-4. get fooled
英語:get fooled
意味:騙された
例文:I got fooled by him.(彼に騙されたの。)
相手に騙されたときに使うフレーズです。「fooled」は「騙された」という意味の形容詞。浮気をされた、詐欺にあったなどネガティブなシーンで使われます。
3-5. I have a crush on you.
英語:I have a crush on you.
意味:私はあなたに夢中です。
「crush」は「ベタ惚れ」「片思い」という意味があります。「I love you.」よりも可愛らしさがあり、「愛おしい!」といったニュアンスを含めることができます。
3-6. We have good chemistry.
英語:We have good chemistry.
意味:私たちは相性がいい。
日本人にとっては違和感のある表現ですが、「chemistry」には「人と人の相性」という意味があります。なので恋人同士で「私たち相性がいいよね」という意味で使うことができます。
3-7. starry-eyed
意味:根拠のない楽観主義であること
例文:He was starry-eyed about the new girl he was dating.(彼は最近付き合い始めた女の子にぞっこんだった。)
もし恋をして暴走してしまったら、こういう状態かもしれません。例えるなら少女漫画の目に星が浮かんでいる状態そのものでしょうか。
3-8. the last straw
英語:the last straw
意味:限界であること
例文:It was the last straw. I’m done with him.(もう限界。彼とは別れる。)
嫌なことが重なって、もう我慢できない!というときに使います。語源は、It is the last straw that breaks the camel’s back.「荷を運ぶラクダの背骨を折るのは最後の葦1本である」から。
「塵も積もれば山となる」と「堪忍袋の緒が切れる」を合わせたような表現ですね。
4. 英語独特のイディオム8選
4-1. when pigs fly
英語:when pigs fly
意味:あり得ない
例文:I’ll probably do it when pigs fly.(やらないと思うけどね。)
直訳で「ブタが飛ぶとき」という意味です。ブタが飛ぶことはあり得ないので、このフレーズは「現実に起こるはずがない」と伝えたいときに使います。英語の慣用句でも動物が出てくる事がよくあります。めったにないけどたまにある、というときはonce in a blue moon(月が青い晩に)という表現もあります。
4-2. drink like a fish
意味:大酒飲み
例文:He drinks like a fish.(彼は大酒のみだ。)
魚が水を飲むように、つまりとめどなく酒を飲み続けるさまを表しています。お酒が大好きでも、ほどほどに。
4-3. party pooper
英語:party pooper
意味:空気が読めない人
例文:She was a real party pooper that night.(あの夜、彼女は本当に空気が読めてなかった。)
「pooper」は幼児語で「うんちをする人」という意味ですが、このフレーズはトイレとは関係ありません。パーティを台無しにする人という表現が、空気を読まないヤツという意味で使われるようになりました。「場の空気を汚す人」というふうに覚えましょう。
4-4. cut corners
英語:cut corners
意味:手を抜く、節約する
例文:We have to cut corners to make ends meet.(本当に節約しないと、採算があわないよ。)
道の角を土地を横切ってショートカットすることから生まれたこの慣用句。仕事やスポーツで手を抜いたり、お金を出し惜しみしたりすることに対して使います。「四角な座敷を丸く掃く」ということわざに通ずるものがあります。
4-5. speak of the devil
英語:speak of the devil
意味:噂をすれば影がさす
例文:Speak of the devil! Here she comes.(噂をすれば、彼女が来たよ。)
「人の噂話をしていたときに当人が現れてしまう」という意味の慣用句です。Speak of the devil, and he is bound to appear.(悪魔の名前を呼ぶと、必ず現れる。)のand以下を省略した慣用句です。
4-6. long face
英語:long face
日本語:泣き顔
例文:Why the long face?(なんでそんなに悲しい顔をしているの?)
英語圏では「長い顔」と言うことで「泣き顔」を意味する言葉になります。落ち込んでいるときに「浮かない顔をしているね」と言いたいときにも使われます。
4-7. bring home the bacon
意味:生活費を稼ぐ
例文:Who brings home the bacon?(誰が生活費を稼いでいるの?)
「ベーコンを持って帰る」、なんていかにも欧米な感じがしませんか? 日本語だったら「米を持って帰る」、でしょうか。
4-8. grin from ear to ear
意味:満面の笑み
例文:He grinned from ear to ear.(彼は満面の笑みを浮かべた。)
grinは「歯を見せて笑う」ですが、「耳から耳まで口になっているような笑顔」というので嬉しさが抑えきれないことが伝わってきます。
5. 英語の名言・格言8選
5-1. Well begun is half done.
英語:Well begun is half done.
意味:最初がよければ、半分終わったも同然。
「スタートが良ければ半分できたようなものだ」という意味ですが、「始めが肝心」という忠告の意味でも使われます。
5-2. Actions speak louder than words.
英語:Actions speak louder than words.
意味:行動は言葉よりも雄弁だ。
「口だけでなく、行動が大事だ」というかっこいい慣用句。英文でも「行動が話す」のような擬人法を使うことがよくあります。
5-3. Don’t count your chickens before they’re hatched.
英語:Don’t count your chickens before they’re hatched.
意味:起きるか分からない事を期待して、あれこれ考えるな。
直訳で「卵がかえる前からひな鳥を数えるな」となります。日本語のことわざ「捕らぬ狸の皮算用」と同じ意味です。
5-4. The early bird catches the worm.
意味:早起きは三文の得。
最初に行動した者が成功をつかむ、といった意味も含んでいます。直訳だと「早起きした鳥が虫を捕まえる」となります。動物のエピソードになぞらえているのが面白いですね。
5-5. Faith will move mountains.
英語:Faith will move mountains.
意味:信念は山を動かす。
信じていれば必ず達成できる、という慣用句です。日本語にも同じ意味で「一念岩をも通す」ということわざがありますよね。信念の強さは世界共通で重要視されているようです。
5-6. Nothing seek, nothing find.
英語:Nothing seek, nothing find.
意味:求めなければ、何も見つからない。
非常にシンプルな表現。「行動しなければ成果はない」という強いメッセージ性のあるフレーズですね。英語の慣用句にはこのように対になった表現を並べたものが多くあります。
5-7. Every cloud has a silver lining.
英語:Every cloud has a silver lining.
意味:悪いことでも良い面がある。
直訳すると「全ての雲には銀の縁取りがある」という意味になります。曇り空でも、その向こうには太陽が隠れているだけなんですよね。
日本語で言うなら「人生万事塞翁が馬」といったところでしょうか。
5-8. give a man a fish
英語:Give a man a fish and you feed him for a day; show him how to catch fish and you feed him for a lifetime.
意味:やってあげるより、やり方を教えたほうが良い。
略して使ったりします。もともとは長い文ですが、ストーリーが思い描けるようです。「魚を一匹与えればその人の飢えを一時的にいやすことができるが、釣りのやり方を教えてあげればその人は一生飢えることはない」という訓戒を込めた慣用句です。
6. まとめ
いかがだったでしょうか? 今回は英語の慣用句40選を一覧にして紹介しました。私たち日本人には耳慣れない表現がたくさんありますが、英語にも日本語と同じように、面白い慣用句がたくさんあります。
慣用句の学習は、動画や例文に音声が付いているテキストなど、発音がわかる教材で勉強するのがおすすめ。表現の幅を広げるために、英語の慣用句に触れてみるのも良いのではないでしょうか。