文法とうまく付き合いながら英会話力を伸ばす方法

「留学に行くために英会話を身につけたい!」
「取引先の外国人ともっとスムーズに会話をしたい!」
「外国人とカッコよく挨拶して、カフェでおしゃべりしたい!」


こんな風に、英会話を始めようと思い立ち、英会話教室に通ったり、英会話のドリルを何周もやってみたりしたけれども、「一向に会話ができるようにならない」なんて悩んでいる方は多くいらっしゃいます。


実は、英会話の上達に伸び悩む人には2種類のパターンがあるんです。

 

その2パターンとは「文法を重視しすぎる人」「文法を軽視しすぎる人」

 

何が言いたいかと言うと、「英会話習得にはバランスが命」という事。 文法が完璧にならなくてもどんどん会話の練習をするべきですし、反対に中学英文法もままならないのに会話の練習ばかりしていても、簡単な子供レベルの内容しか話せるようにはなりません。


本記事では、20年間英語教材制作に携わってきたメディアビーコン編集部が、英会話習得のために必要な文法知識と英会話上達法を徹底解説いたします。


それではまず、英会話における文法の重要性についてみていきましょう。

 

 

1. 英会話に文法学習は必要?

文法

 

「英語は体育のような実技科目と同じで、机でカリカリ勉強するのではなく、話しながら身につけるべきだ! 学校の英語の授業は間違っている!」という主張は至る所で目にします。

この主張は確かに正しい側面もあります 。ただ、これだけを盲信してしまい「机の上での勉強なんて意味がない!」と言い切ってしまうことは非常に危険です。確かに英語は体育のような実技科目に近いですが、体育も最初にルールや決まり事の確認はみんなで行いますよね。ルールを決めずにスポーツをすれば、なんでもありのラフプレーが連発するかもしれません。

そして、英語という科目の中では英文法がルールとなるのです。

つまり、何が言いたいかと言うと、文法をないがしろにしていては、英語はできるようにはならないということです。日本語と英語のルールは大きく異なります 。英文法学習は英会話習得に必須だという事です。

しかし、文法学習が必須だと聞いても、身構えすぎる必要は全くありません。

日常の英会話で使用する文法知識は、中学レベルの基礎文法ばかりです。高校で登場する、倒置のような難解な知識も、覚えるだけで大変な、複雑な慣用表現も、一般的な会話ではほとんど必要ありません。こういったものは英文に触れる中で慣れながら自然に身につければ問題ないのです。

つまり、英文法が完璧になるまで会話の練習はしないという考え方は間違いということになります。(もちろんビジネスの場などで正確な情報のやり取りが必要な会話や、自分の感情をなるべく正確に伝えたいときの会話などは、正確な文法知識が必要です。)

英会話学習はバランスが命です。英文法を重視しすぎず、軽視しすぎないで、適切なバランス感覚での学習が必要です。

バランス感覚を保った学習をするために、本記事では以下のような学習ステップを推奨しています。

 

文法知識を利用して、英会話を上達させていく3ステップ

①語順の違いを知る(文型を押さえる)

②大量のインプットで語順の違いに慣れる

③間違いを恐れないでアウトプットしてみる

 

以下追って説明していきます。

 

 

2.【英語の基礎・基本】語順の違いを知る(文型を押さえる)

英語の語順

 

見出し1で述べたように文法の基礎を固めることは超重要なのですが、その中でも特に重視したいものが、語順です。

語順は日本語と英語のルールの違いの典型です。英文法学習の基礎中の基礎です。これを知らなければスムーズに英語の意味を理解することはできません。

そしてこの語順を簡単に5パターンに分けたものが5文型です。

SV主語動詞
My mother works in City Hall.
「私の母は市役所で働いています。」
※多くの場合は修飾語句を伴ってSVM(主語+動詞+副詞)となります。ここでの副詞は動詞の意味を修飾する語句なので、動詞と一体の語句と考えることができます。

S+V+C主語動詞+補語
They are elementary school students.

「彼らは小学校の生徒たちです。」
※S=Cの関係が成り立ちます

SVO主語+動詞目的語
I don’t like spiders.

「私はクモが好きではありません。」
※S≠Oです

SVOO主語動詞間接目的語+直接目的語
She sent me a beautiful gift.
「彼女は私にすてきな贈り物をくれました。」

 

SVOC主語動詞目的語補語
They named the dog Bailey.

「彼らはその犬をベイリーと名付けました。」
※O=Cが成り立ちます


英語学習の基本方針は、この5つの文型を、全ての英文に対して、どの型に当てはまるかを瞬時に判断できるようになることです。これを瞬時に判断できると、意味の取り間違えが圧倒的に少なくなります。

「5文型はリーディングで役立つ知識で、英会話ではあまり重要じゃないんじゃない?」と思うかもしれませんが、自分が話す時にも語順感覚がつかめていれば、言葉に詰まる回数は大きく減ります。ネイティブと同じように会話をするための、必須の基礎文法、それが5文型なのです。

ただ、その他にも中学レベルの基本英文法で押さえておきたい基礎事項は多くあるので、ここでおすすめの英文法本を紹介いたします。

 

 

おすすめの英文法の参考書

『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』(学研プラス)

引用:https://hon.gakken.jp/book/1130339300


基礎英語を大人がもう一度やり直しするために作られた一冊。監修の山田暢彦先生による解説授業動画を公式サイトから無料で見ることができます。また、付属のCD、無料リスニングアプリを利用すれば、練習問題の英文を吹き込んだ音声を聞くことができます。中学三年間で習う文法項目を1冊でマスターできる仕様になっていおり、「中学の英語に関して何も覚えていない!」というレベルの方でも、中学校1年生レベルの基礎中の基礎の文法から学びなおしが可能です。サイズもコンパクトで、初心者の方でも非常に取り組みやすい1冊となっております。 

 

『一億人の英文法』(東進ブックス)

引用:http://www.toshin.com/books/archives/2013/03/post_210.html


中学校レベルの英語をマスターし基礎を押さえたらおすすめなのが「一億人の英文法」です。「話すためにつくられた文法書」という、まさにこの記事のテーマにぴったりの文法書です。

 

文法書といえば、学校教材で使用される、分厚い文法の辞書のようなものと思われるかもしれませんが、本書は難解な文法用語は極力避け、初学者でもわかりやすい構成となっています。図解も多く、ユニークな例文もいくつか含まれており、ツッコミを入れながら読み進めれば、モチベーション高く勉強を継続できます。高校生にとっても大人にとっても読んで楽しく英文法を学べる教材です。この1冊で、英会話をするうえで不自由ない文法力を手に入れることができますので、ぜひ手に取ってほしい文法本です。

 

また、公式のアプリ内でデータを購入すれば、「一億人の英文法」に登場する940もの例文の並び替え問題に挑戦できるうえ、詳細な文法解説も読むことができます。アプリには、読み上げ音声もついており、発音がわからないといった不安も解消することができます。

 

 

3.【おすすめの教材紹介有り】英語上達の方法は大量のインプットである

インプット

 

見出し2で説明した語順感覚を確固たるものにするために、次に英会話習得に必要なことが大量のインプットです。ここでいうインプットは大量の英文を読み込んだり聞きこんだりすることを指します。

「英会話に必要なスキルを説明してほしいのになぜインプット?」と思うかもしれませんが、実は、英会話上達の基本は大量のインプットと少しのアウトプットなのです。

 

なぜ大量のインプットが必要?

英会話習得にはネイティブ感覚で英語を読む思考回路(瞬時に適切な語順で単語を並べていくスキル)を身に着けることが欠かせません。英会話に必要な英語の思考回路を獲得するためには、大量のインプットが必要になります。

インプットしていく中で、文法の再確認も無意識のうちに行うことができます。(もし読みにくい英文に出会ったらその文法事項が抜けているかもしれません。そういう時は適宜インターネットや文法書で確認を取るようにしましょう。)

英語の思考回路ができていないうちから、英会話に挑戦したとしても、語順感覚が身についていないので暗記した表現でしか話すことができません。自由自在に単語を入れ替えて、自分の言いたいことを表現するためには、大量のインプットで英語の思考回路を養っていくしかないのです。

 

 

教材の選び方

インプットをするのに何を使うべきなのか迷いますよね。注意点はいくつかありますが、まずは自分に合った英語長文教材を見つけるところから始めていきましょう。私のおすすめ教材も紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

 

教材選びの注意点

音声とスクリプト付きの教材を選ぶようにしてください。(スクリプトを確認できない英語ラジオや洋画などはあまりおすすめしません。)

音声が必要な理由は、音声を聞くか聞かないかで、発音の精度が大きく変わるからです。英語において発音の練習は基礎中の基礎です。発音ができなければスラスラ英語を読み上げることはできません。スラスラ読み上げられないのに、英文をスムーズに理解できるはずがありませんよね。

スクリプトが必要な理由は英語以前に勉強する上で当たり前のことを言っています。自分が聞き取れているのか、聞き取れていないのか答え合わせができなければ、自分の課題は判明せず、一向に英語力は向上しませんよね。

また、難易度としては6~7割の理解度があるものを読み進めると、知らない知識も吸収しながらの学習となるため、学習効率が高まります。

 

私のおすすめ教材

【中学生~大学受験生向け】『英語長文レベル別問題集』(東進ブックス)

引用:http://www.toshin.com/books/archives/2007/09/3.html


中学英語~難関私大・難関国公立大、TOEIC200点~800点レベルまでに対応する、6つのレベルに難易度分けされた長文問題集です。自分に合った難易度から始められます。本文すべてに対して構造分析が掲載されているため、本文の文法解釈がわからず読めないという事はまず起こりません。音声CDも付属しているため、リスニング対策にも役立つ教材です

 

【社会人向け】『朝日ウィークリー(Asahi Weekly)』

引用:http://www.asahi.com/english/weekly/

 

英字新聞というと、とてもハードルが高く感じるかもしれませんが、「朝日ウィークリー」は日本語ナビ付で初心者でも気軽に読める英字新聞です。初級・中級・上級とレベル別になっており、自分のレベルに合わせて英語でニュースを知ることができます。日本語全文訳はありませんが、学習者が引っ掛かりやすい語彙に関しては語注で単語、熟語の意味を掲載しています。英文ニュースや英語エッセーなど、一部の記事は音声を聴くことができる他、英文法や入試問題、国内外のニュース、エッセー、エンタメ、クイズ、星占いまで、豊富な話題で学習者を飽きさせることのない構成がなされています。

ここからは、これらの教材を使った学習方法を紹介していきます。

 

具体的な学習手順

①まずは一度、自分1人の力で本文を読んでみましょう。この段階ではまず、自分のわかることとわからないことを仕分ける必要があります。これをすることで、自分の課題が明確になります。 はじめから日本語訳を読もうとしたり、翻訳ソフトや翻訳アプリを使って英文を訳して、理解した気にならないように注意しましょう。

②次に、精読をしていきます。精読は、見出し2で紹介した5文型を全ての文にあてはめながら、文章の構造を分析していくことです。この際に単語の意味なども確認して、英文の理解度をなるべく100%に上げていきましょう。
※最初から精読が掲載されている問題集(英語長文レベル別問題集等)を使用する場合は、そのページをしっかり読んで、理解度を100%にしましょう。

③英文を読んだら終了ではなく、内容を理解したうえでCDを聞きながら何度も音読して、語順感覚を体にしみこませるための作業をおこないましょう。 目安としては1つの長文を10回は音読しましょう 。もっと確実に英語を定着させるのであれば20回の音読です。そのくらいの学習を毎日やれば、しっかりと英語の語順感覚が体に染みついてきます。

やってはいけないことは、音声を聞いた後、英語を正しく聞き取れているかスクリプトの確認ができない教材を、初心者のうちに始めることです。洋楽や洋画、洋ドラマ、NHKの英語ラジオでも、ただの音声の聞き流しは、まだ正しく英語を聞き取れない間は、雑音を聞いている状態と変わらないのでやめましょう。

 

4.【初心者におすすめの独学練習法】間違いを恐れないでアウトプットしてみる

アウトプット

 

最後にアウトプットの方法を解説していきます。

※ここでは「自分の言いたいことを英語でいう」という行為をアウトプットと定義付けます。音読などの声を出す学習はアウトプットしているように感じるかもしれませんが、厳密には0から自分で情報を考え出しているわけではないので、インプットと位置付けて考えます。

 

完璧主義を捨てよう

「完璧な文法で話さなければ伝わらない」「間違った英語を話して馬鹿にされるかもしれない」そう思ってなかなかアウトプットの機会を作らない人は多くいます。

ではいつになったら、アウトプットできるレベルにまで上達するのでしょうか。

どれだけ上級者でも三単現のsをつけ忘れることはよくあります。中学1年生で習う文法知識だからといって誰でも完璧に使いこなせるわけではありません。

勇気をだしてどんどん英会話に挑戦してみましょう。

 

アウトプットの機会は1人でも作れる

ただ、「英会話に行って自分の英語が伝わらなかったらどうしよう」その気持ちも非常に良くわかります。

そんなときは、まずは1人でアウトプットする習慣を作るといいでしょう。

一番簡単な方法は、英語で独り言を言ってみることです。

 

おすすめのアウトプット方法①独り言

1番最初は自分の状況(していること)を英語でどのように言うか 考えてみるようにします。
I’m waiting for a train at Shibuya station.

「渋谷駅で電車を待っています。」

次に他人や周りがどんな状況なのかを英語で考えてみましょう。
The train is delayed by 20 minutes.

「電車が20分遅れています。」
More people are on the platform than usual.

「いつもよりホームに多くの人がいます。」

次に自分がどんな感情を抱いているのかを考えてみましょう。
I am irritated by the delay.

「遅延にイライラしています。」

最後に自分がどうするのか、これから何をするのかを考えます。
I will take the subway instead of the Yamanote Line.

「山手線の代わりに地下鉄線を使おうと思います。」

 

このようにして独り言を4種類に区別しながら英語で考えるようにすれば、多くの表現をアウトプットするチャンスを得ることができます。

また、最近は多くのスマートフォンに音声認識機能が搭載されているかと思います。メモ用のアプリなどを開いて音声認識機能に向かって英語を話して、独り言を記録するようすれば、後々の振り返りに非常に役立ちますし、わざわざ手入力する煩わしさが無く、長く続けられます。もちろん発音の練習にもつながります。

そして気になった語彙や文法は毎回インターネットで調べてみましょう。自分の知らない言い換え表現や、自然な表現を知れる良い機会になります。

これを毎日習慣化するだけでも英会話上達に向けて、非常に大きな進歩に繋がりますよ。
 
次にすすめたい方法が英語で日記を書いてみることです。

 

おすすめのアウトプット方法②英語で日記を書いてみる

ライティングのスキルがスピーキングに直結してくることは、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。読めなければ聞き取れないことと同様に、英文を書くことができなければ話すことはできませんよね。リーディング、リスニングの基礎があって始めてスピーキング、ライティングのスキルが身に着くのです。

具体的な方法としては1日の出来事を毎日30分程度時間を使って英語で書き出してみましょう。わからない表現や文法事項は逐一検索して調べます。また、①で紹介した独り言を言うトレーニングに使えそうな表現を見つけたらメモしておきましょう。

こうすることで、地道にアウトプットをして使える英語表現の幅を広げていきましょう。

 

 

5.【まとめ】「文法・単語・長文でインプット」と「独り言でアウトプット」で英会話上達

英会話のコツ

 

英会話習得に大切なことは「バランス感覚」です。初心者の方はこのバランス感覚を失いがちです。

文法に肩入れしすぎると、会話力はついていきません。文法の問題集や参考書を解いている時間は、実は脳は楽をしています。なぜかというと文法の勉強をしている時間は、英語を読んでいる時間よりも、日本語の解説を読んでいる時間の方が長いからです。日本語ばかり読んでいては、英会話が身に着くはずがありませんよね。

反対に文法の勉強を軽視しすぎてもいけません。文法の勉強は、スポーツでいうルールの確認です。そこから、単語の勉強や長文読解などで準備運動や練習をみっちりして、ようやく会話という試合を始めるレベルになるのです。まずは語順という大前提のルールの基礎基本をきっちり固めましょう。

語順という基礎の基礎を押さえたら、あとはインプットアウトプットの中で、英文法知識を自然に吸収していけば問題ありません。大量のインプットと少量のアウトプットを意識して、英語に慣れながら、文法を身に着けていきましょう。

そうすれば、あなたの英語力はメキメキ上がり、海外のビジネスシーンで活躍したり、学校の成績が上がったり、留学先でネイティブとの会話を楽しんだりすることも夢ではないかもしれません。

 

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