TOEIC「壁越えトレーニング」著者インタビュー第2回 濵﨑潤之輔先生②: 濵﨑先生に聞く、TOEIC満点の壁・突破の王道

濵﨑先生インタビュー第2弾は、ズバリ「どうやったらTOEICで満点を取れますか?」ということをお聞きしてきました。

 

TOEIC学習者にとっての最高峰の「壁」、990点満点の壁を越えるために、どうすればいいのか?

 

今990点を目標に勉強している方も、そうでない方も、すべてのTOEIC学習者の方必見です!

 

 

第1回「設問タイプ別の学習で壁は越えられる!」はこちら↓

 

 

1.Part 7は一度200問目までゴールしてからの「見直し」が重要

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ESC:ここからは、「壁越えトレーニング」にちなんで、学習者の「壁」を乗り越えるためのアドバイスをいただけたらと思います。

 

TOEICを勉強している人たちにとって、究極の壁は「満点の壁」なのではないかと思います。

 

実は、私もちょうど今、「満点の壁」にぶち当たっているんです。

 

1年半ほど前に、985点まではとれたんですが、そこからあと5点がなかなか伸ばせなくて、受けるたびに950点~985点あたりをいったり来たりしています。

 

リスニングはいつも満点をとれるのですが、リーディングでいつもミスをしているみたいです。じっくり解けば全部理解して解けるはずなのに、本番のテストだと時間に追われて、焦ってミスしてしまう、どうすればTOEIC満点をとれるのだろうと悩んでいます。

 

 

濵﨑:もう、「間に合う」「間に合わない」じゃなくて、試験終了10分くらい前に解き終わる解答スピードをつけたほうがいいんじゃないかなと思いますよ。

 

僕もとにかく、10分から7~8分あまらせて、そのあとの見直しの時間を取るようにしています。それが一番大切だと思っています。

 

 

ESC:「見直し」、ですか。

 

 

濵﨑:はい、まだ満点レベルではない状態だと、すべて解き終わった後に不安な問題が何問か残ると思うんですよね。「たとえば、Part 7の173番、まあ正解は(B)だと思うけど、ちょっと正解の根拠があやしいんだよな」、みたいな。

 

 

ESC:ああ、あります、そういう問題!

 

 

濵﨑:そうしたら、そこで止まらないで、173番はとりあえず (B)にマークしておいて、とにかく先に進む。

 

そして200問目まで解ききってから、最後にもう一回その問題に戻るんですよ。

そのときはわからなかった問題も、時間をおいてからもう一回見ると、「あぁ、やっぱり(B)で大丈夫だったな」とか「違うじゃん、やっぱり(C)が正解だよ」とか気づけます。

 

とにかく200問目までいかなければいけない、というプレッシャーのなかで、立ち止まるのってあんまりよくないんですよね。意外と問題全体を俯瞰できていないことが多い。ただただ焦ってそのあたりだけぐるぐる読んでしまったりしてしまいがちです。 

 

 

ESC:とても心当たりがあります…。

 

 

濵﨑なので、とにかく最初は200問目までゴールすることを優先させて、一度ゴールして、もう時間切れになることはないぞ、という状況になってから、もう一回その問題に戻ると意外と読める。

 

「時間があればできるのに」ということは、逆に考えれば「時間がない状況だから落としてしまう」、ということですよね。だから一度200問目までゴールして、気持ちの余裕を作ってからもう一度見ると、正しく読むことができる、ということはよくあるわけです。

 

だから、200問目までのゴールを早めに設定して、一旦終わらせてから、気になる問題に戻って再チェックするという解き方をするのがおすすめです。

 

 

2.「設問➡本文➡選択肢」の一方通行で解き、戻り読みをしない

ESC:見直しをすることで、「時間があればできる」状態を自分で作るというわけですね。

 

 

濵﨑:そうそう。そのためには、200問目までをより速く終わらせないといけません。

 

読解スピードをあげることはもちろん、無駄をしない、ということが大切です。

 

僕の場合は、Part 7を解くときに、「設問➡本文➡選択肢」の順番で解いています。

 

 

ESC:本文を読んでから選択肢に進んでらっしゃるのですね。

 

 

濵﨑:はい、要は「とにかく設問・本文・選択肢間を常に一方通行で終わらせる」=「戻り読みはしない」ということです。

 

 

濵﨑:例えばシングルパッセージだったら、まず1問目の設問(What is suggested about Mr. Hamiliton ? などの部分)を読んでから、本文を読んで、それから選択肢を読みます。

 

本文を読んだ後に選択肢を読んで、(A) が正解だとわかったら、もうその時点で(B)(C)(D)の選択肢は読む必要がないわけじゃないですか。

そうすることで、(B)(C)(D)を読む時間を、数秒ですけどカットできるんですよね。

 

ここで、(B)(C)(D)を読んでしまうと、「あれ、さっき(C)に関しての言及があったな」と思って、本文をまた読み直したりしてしまうことになります。これもまた時間をロスしてしまう原因になりますよね。

 

設問を先読みするのは当たり前にやっている人は多いと思うんですけど、そこであえて選択肢を読まないようにする。これだけで問題を読んで解く時間を数秒ですがカットできます。

 

戻り読みをしないと決めているので、本文の内容を一度で記憶しておこうというつもりで読んでいきます。

 

「設問・本文・選択肢を常に一方通行で終わらせる」という意識を普段から持って勉強していけば、今お話したようなことができるようになっていきます。

 

もちろん、超絶的な読解スピードがあれば、こんなことをしなくてもいいですが、その練習をやるのと同時に、「無駄な往復をしない」「無駄なところは読まない」という勉強をやっていくといいんじゃないかなと思いますね。

 

 

ESC:なるほど。時間にとてもシビアに考えてらっしゃるのですね。Part 5や6も同じように解かれているんですか?

 

 

濵﨑:Part 5・6は、ここは大里さんと違うところなんですけれど、僕はすごく時間をかけて解いているんですよ。

 

Part 5→6→7と順番に解いている人であれば、Part 5を1問平均20秒、合計10分くらいで終わらせて、Part 6を8分で解く、というのが、上級者の方の平均的な時間配分ですよね。13時45分からはじめたら、14時03分にはPart 6までを終えて、残りの57分をPart7に使うというイメージですね。

 

僕はそれよりも遅くて、Part 5が終わるのが14時くらい。Part 6まで終わるのが14時10分、下手したら12分くらいまでかかってやっているんですよ。

 

なぜ時間がかかるか、というと全部読んでいるからです。

 

例えば、Part 5の品詞問題だったら、1問1秒くらいで解ける問題もあるわけじゃないですか。たとえそういう問題だったとしても、文頭から読んで、文意からも、文法的にも、当てはまるな、というダブルチェックをしてから、選ぶようにしています。

 

だから時間はかかる。だけど「ミスは絶対にしない」という解き方です。

 

 

ESC:なるほど。じゃあPart 7をかなり速く解いていることになりますよね。さきほどもPart 7で戻り読みをしない、無駄な時間を省くというお話がありましたが、ほかにも速く解くコツはありますか?

 

 

濵﨑:そうですね、僕はシングルパッセージだったら、最初に文書をすべて読むのですが、文書のすべての部分を脳内で音読して、ちゃんと読んでます。

 

そうすると読み終えてから、設問を解くときに、ちゃんと記憶に残っているんですよね。そして、記憶に残っているものを頼りに、設問をすべて解いてしまいます。

 

ESC:確認のために、パッセージに戻って読み直したりしないのですか?

 

濵﨑しません。覚えているので。

だから、シングルパッセージだったら、文書を読むのに、仮に1分かかったとしても、解くのは5秒10秒で解けるので、1セットが1分半くらいで終わります。

 

 

ESC:なるほど。そこで時間が圧縮されるわけですね。平均的には、Part 7は1問1分で解くようにと言われていますから、シングルパッセージの3問つきの問題だったら3分かかることになります。それと比べると、かなり速いですね!

 

 

濵﨑:そうなんですよ。別に僕は、英文自体をすごく速く読んでいるわけではないんです。

脳内音読をすることによって、スピードは落ちますが、理解力と脳内の定着率が圧倒的に違うので、もうそこで本文に戻らなくてよくなり時間が短縮される、というわけです。

 

 

ESC:990点を取られる前からそういうやり方をしていたんですか?

 

 

濵﨑:これは今実践しているやり方ですね。

 

以前は、パッセージを分割して読んでいました。

Article(記事)のパッセージが3段落あって、設問が3つだった場合、

 

① 1つ目の設問を読む

② 1段落読む

③ 1つ目の設問の選択肢を読む 

 

というふうに解いていたんですよ。

 

だからやっぱり、今よりも読む速度は遅かったですね。

 

まあでも、脳内で全部音読して読んで、記憶するつもりで読むという点では変わらないですね。一度に読む英文の量が増えた、ということです。

 

 

ESC:それって、マルチプルパッセージ問題も同じ解き方をしているんですか?

 

 

濵﨑:トリプルパッセージだったら、1題で5問ありますが、以下のような順番で解いています。

 

① 1問目の設問を読む

② 1つ目の文書を読み終え、1問目の設問を解答

③ 2つ目の設問を読む。正解がわかればすぐに解答する。

 1つ目の文書の内容だけで解けない問題であれば、2つ目の文書を終わりまで読み終えて、2問目を解答する

④ 3問目の設問を読む

⑤ 3つ目の文書を読み終える

⑥ 4問目と5問目を解答して終了

 

この方法であれば、4問目5問目を解くときには、すべての文書を読み終えているということになりますから、最後の4問目と5問目は基本的にはもう文書に戻らずに、そのまま記憶をもとに解答をしています。

 

しっかりベタ読みして内容を頭に叩き込む。文書をスキャンするようなイメージで英文を読んでいます。

 

そして、その記憶をもとに問題を解いていっています。

 

3問目を解き終えるくらいまでは、たくさん文章を集中して読まないといけないので、すごく大変です。でも4問目5問目までくると、もう全部文書の内容は頭に入っていて、問題を解くだけなのですごく楽に速く終わります。5秒10秒で解けてしまいます。

 

今の自分は、それが1番のやり方かなと思っています。

 

 

ESC:トリプルパッセージでも5分かからないということですか?

 

 

濵﨑:5分はかからないですね。3分半、かかっても4分くらいじゃないかな。

 

ダブル・トリプルについて僕は正直、内容は楽だと思うんですよ。もう最近、ずっと。

 

この間の「#TOEIC公式みんなで模擬受験」もそうですけれど、ただ長いだけで、ちゃんと読みさえすれば、中身はすごく簡単です。だけど、みなさんは読む時間がないから、「ああ難しい、できない」となってしまうんですね。ゆっくり時間をかけて読めば、解けるはずなんです。

 

 

3.TOEIC満点を取ったら、見えていなかったものも見えてくる

 

ESC:前回、『TOEIC L&Rテスト目標スコア奪取の模試』の刊行時にさせていただいたインタビューで、「TOEIC満点の人と、そうでない人では、公開テストのあとで覚えている問題の量も全然違う」というお話をされていました。990点を目指している身としては、そのお話が結構衝撃的でした。

 

 

濵﨑結局、985点のときって、とにかく自分が取れなかったなという問題だけ見えている状態なんですよね。

 

自分がとにかく満点取りたくてやっているんだから、意識はもう自分が倒せなかった強敵のことしか覚えていないわけですよ。

 

「雑魚キャラ」というか、もう自分が解けたと思っている問題は、眼中にないわけですよね。

 

990点を取ったということは、すべての敵を倒したというわけですから、やっぱり心の余裕が違うんでしょうね。

 

 

ESC:なるほど…。確かに、自分が解けなかった問題のことばかり考えてしまいます。

 

 

濵﨑:985点の人と990点の人で、実力の差はないはずなんですよ。だけどやっぱり、気持ちの持ち方が違うのかなと、僕は思いますね。

 

僕も、985点を3連発とか4連発とか取っているときがあったんですけど、やっぱり余裕がないんですよね。「満点を取れてない自分」、みたいなのをすごく意識してしまって。

 

 

ESC:マイナスの部分にフォーカスしすぎているようなイメージでしょうか?

 

 

濵﨑:そうそう。実力はあるはずなんだけど、1つとか2つとか、毎回間違えてしまうので、もうそこをどうにかしようという気持ちしかないから。

 

でも1回取ってしまうと、「ひらける」というか「見える」んですよ。

 

985点の時点でも、同じものが見えているはずなんだけれど、自分で視界を閉じてしまっているんですよね。

 

990点をとると、余裕ができてくるというか、カーテンを開いて外の景色も見てみよう、という余裕ができてくるという感じですかね……。

 

 

 

 

990点をとれたら、ようやく自分が持っている力、蓄えてきたことを、改めて実感できるようになると思います。だから、一回満点取ると、結構2回3回取れるようになるんですよね。

 

もちろんそれは力がついたということもあると思いますが、それ以外の心的要因もあるんじゃないかなと思いますね。

 

 

ESC:990点と985点の違い、というのは気持ちの部分がかなり大きいということですかね?

 

 

濵﨑:その通りだと思います。

 

 

ESC:じゃあもう、自分がすでに990点をとってるつもりで受けてみるっていうのはどうでしょうか?(笑)

 

 

濵﨑:それはなかなか難しいかもしれないですね(笑) でも、こんな経験はしたことがあります。

 

以前、僕も990点を取れていなかったときに、別の先生から「試験前に、気張ってずっとシャドーイングとかしたり、リスニングを1.5倍速で聞いたりとかしていますよね」と聞かれて。僕が「もちろんですよ」と言ったら、「それをやめたらどうですか」って言われたんですよ。

 

「そうやって試験前に気張るから、緊張とかしてしまうので、リラックスして好きなJ-POPとかを聞いたらどうですか」って言われたんですよね。

 

それで、TOEICテストのときに「やれると思ったことは全部やったほうがいい」と思って、思い切って受験前に英語の音声を聞かなかったんですよ。

 

音楽を聴いて、ダメだったら音楽を聴いたせいだ、というふうにしようと思って(笑)

 

そしたら、そのときはじめて990点が取れたんですよね。

 

 

ESC:おおっ…!! リラックスできたからでしょうか?

 

 

濵﨑:もちろん直前に勉強しなかったことだけが理由ではないと思うんですが、「ああ、こういうこともあるんだな」と思いました(笑) 「今日990点取らないとダメだダメだダメだ!」じゃなくて、リラックスして受けるのもアリなんだな、っていうね。

 

 

ESC:確かに、990点を取ろうとしているあまり、力みすぎたり、視野が狭くなったりしていることはありそうですよね。

 

 

濵﨑:「990点以外は、全部いらない!」というような人も多いですからね(笑)

 

 

4.濵﨑先生からのメッセージ

 

ESC:最後に、「壁越えトレーニング」を使ってTOEICの勉強しようとしている方にメッセージをお願いします。

 

濵﨑:はい。やはり今は、コロナの影響で、TOEIC公開テストも8月まで中止となっている状況ですよね。

 

どんなに最近受けた人でも、前回受けたのが今年の1月ですから、もう半年くらい経っているわけです。

 

だから、勉強は続けていても、TOEICの受験という経験・感触を、もうみなさん、僕も含めて忘れてしまっているという状況なんですよね。

 

で、9月に公開テストあって、10月も2回あって、ダブルヘッターでの受験も開始されるわけですけれども、そこで、運よく受けられる方もいるし、まだ次いつ受けられるかわからない人もいるかと思います。 

 

ですけれども、必ずずっと受けられないということはありませんし、

今までやってきた勉強が報われないということもありません。

 

 

だからそう信じて、あと数カ月、これはもう自分の力を蓄えて一気に結果を出すいい期間だと思っていただいて、ぜひ「壁越えトレーニング」を使って勉強して、頑張っていただければと思います!

 

ESC:ありがとうございました!

 

 

5.おわりに

2回にわたっての濵﨑潤之輔先生のインタビュー、いかがだったでしょうか。TOEICの目標点数に向けて学習していく上での、あなたの“壁”を攻略するヒントが盛りだくさんだったのではないかと思います。私も一学習者として、濵﨑先生のストイックに学習を続ける姿勢に刺激を受けまくりました。

 

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「壁越えトレーニング」著者インタビュー 第3回:大里秀介先生のインタビュー記事はこちら↓↓

 

『TOEIC L&Rテスト目標スコア奪取の模試』のインタビュー記事はこちら↓↓

 

 

 

濵﨑潤之輔先生プロフィール

大学・企業研修講師、書籍編集者。これまでにTOEIC L&Rテスト990点(満点)を70回以上取得。現在は、全国の大学で講師を務めるかたわら、大手企業でもTOEIC L&Rテスト対策の研修を行う。著書に、『中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『TOEIC L&Rテスト990点攻略[改訂版]』『TOEIC L&Rテスト470点奪取の方法』『TOEIC L&Rテスト目標スコア奪取の模試』(旺文社)などがある。

 

 

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