英語の重要な4つのスキルのうちのひとつがリーディング力。
洋書や海外サイトで情報収集するには欠かせない能力であるほか、TOEICなどの資格試験でも大きなウェイトを占めていることが多く、どのように勉強すればよいかわからないと悩む人もいると思います。
中高の英語教育ではリーディングが一番重視されていますが、その教育を6年受けてもあまり英文が読めるようにならなかった……という方は、「独学で英語が読めるようになるの?」と思うかもしれません。
しかし心配する必要はありません。
今回は、リーディングスキルを効率的に高める勉強法と、おすすめのアプリ・教材をご紹介します。
この記事を参考に、英語をスラスラ読めるようになりましょう。
Contents
1. リーディング力を高める5つの英語トレーニング
「試験でリーディングのスコアがなかなか上がらない」
「長文読解に苦手意識がある」
など、英文を読む能力をなんとかして上げようとする学習者は多いです。
しかし、ただ漠然とたくさん読むだけではリーディングは上達しません。まずは、リーディング力を高めるための効果的なトレーニング方法を知りましょう。
1-1. 精読
「精読」とは、わからない単語・文法・構文を調べながら、文章を一文一文しっかり意味を理解して読む方法です。特に英語学習初心者や、まだTOEICのスコアが低い人はここから始めるべきです。
リーディング練習としていきなり「多読」をすすめる意見を見かけますが、それは辞書なしでも読める文章を用意できることと、ある程度の基礎英語力があることが条件です。基礎的な語彙力・文法力がついていない学習初期は、まず精読を通してわからない部分をしっかり潰していくのが重要になります。
1-2. 多読
「多読」は文字通り、英語の文章をたくさん読む学習法です。読む素材を選ぶときや実際に読むときに押さえるべきポイントがいくつかあります。
・わからない単語/文法/構文が少なく、辞書がなくても意味を推測して読めるレベルの文章を使う
・たくさん読んでもストレスなく楽しめる、興味のある分野の文章を使う
・英語の語順のまま「英語で」読むことを意識する(日本語の語順での和訳をしない)
多読ではスラスラ読める英文をたくさん読むのがポイント。知らない語彙や表現は文章全体の2~3%程度が理想です。多読で英語で読むことに慣れ、速度と理解度を上げることを意識して学習しましょう。
1-3. スラッシュ・リーディング
リーディングのスピードを上げるためには、英文を日本語の語順で訳さずに、「英語の語順のまま読む」ことに慣れる必要があります。しかし、これまで訳しながら読んできた人がいきなり英語の語順のまま読み進めるのは難しいです。
そんな人には、英語を前から理解するために役立つトレーニングである「スラッシュ・リーディング」がおすすめです。これは、英文を読み進めながら数語のかたまりごとに斜線(スラッシュ)を入れて区切り、その区切り単位で意味を理解していくというもの。
例えば、
I would like to have a discussion with you on February 5.
という英文であれば、
I / would like to / have a discussion / with you / on February 5.
のように意味の区切れ目にスラッシュを入れて、「私は / したい / 話し合いを / あなたと / 2月5日に」と前から意味を理解していきます。最初は短く区切って読むようにして、慣れてきたら区切る単位を長くしていくと、早く読めるようになってきます。
かたまりごとに意味を理解することで、英語の語順のまま読みやすくするのが狙いです。
自分でスラッシュを入れていくのが手間だったり、どこにスラッシュを入れていいか迷う方は、スラッシュリーディング専用の教材を使ってみましょう。
1-4. 音読
文章を声に出して読み上げる音読トレーニングは、英会話・スピーキング・リスニングなど、さまざまな英語力の向上に効果があります。もちろん、リーディングにも効果あり。
音読する際は、音声のある文章を使うようにしましょう。音声を真似することで、リーディング力に加えて正確な発音やイントネーションも身につきます。
また、音読で使用する英文は、書かれた単語の意味や発音を理解できているものを選ぶことも大切です。
1-5. 要約
読んだ文章を短い英文に要約するのも良いトレーニングです。内容を理解できているか、どこがわからなかったのか明確になりますし、要約を書き出せばライティング、声に出せばスピーキングの練習にもなります。
2. リーディング上達の4つのコツ
リーディングがなかなか上達しない人に多いのが、「やみくもに多読しようとしている」「教材にしている英文が合っていない」ことです。ここでは、リーディング学習の効果を上げるための4つのコツをご紹介します。
2-1. 自分に関係ある・興味あるジャンルを教材にする
リーディングは英語の文章をたくさん読む必要があるため、内容に入り込んで楽しめないとなかなか学習が捗りません。ですので、自分の好きなジャンルや、仕事などで実際に使う分野の英文に絞りましょう。
また、ジャンルごとによく使われる単語・表現や特有の語彙もあるので、最初は特定の分野に絞ってその知識を深める方が、早く上達を感じやすいのでおすすめです。
2-2. 辞書なし&読み飛ばしても読めるレベルの文章を使う
リーディングの多読トレーニングでは以下の2つがとても重要です。
・辞書なしでどんどん読み進める
・知らない単語や文法は調べず、前後関係から意味を予測する
そのためには、現在のレベルでは難しい文章や、哲学などそもそも表現が抽象的で難しいジャンルは避けるべきです。簡単な英文からで良いので、読む量をどんどん増やしていきましょう。
2-3. 「英語で」読むことを意識する
英語と日本語では文章の作り方が大きく違います。代表的なのは以下の2点です。
・英語は結論が文章の最初にくることが多いが、日本語は起承転結で文章を組み立てる
・英語では「誰が何をした」が文の最初にくることが多いが、日本語は文末に来る
文章全体を日本語に訳すと、どうしても文末から文頭へと「戻り訳」が必要になるため、リーディングのスピードが上がりません。そのため、「英語を語順通りに読んで理解する」割合を増やす意識が重要です。
具体的には以下の点に気を付けましょう。
・日本語に訳さなくても理解できる部分が多い、簡単な文章から始める
・英語の語順のまま意味を理解しながら読む
・スラッシュ・リーディングを活用する
・辞書は使わず、わからない単語は意味を推測しながら読む
2-4. 基礎文法&単語力は必要
基礎的な中学~高校レベルの文法や、2,000語レベル程度の単語力がない場合は、リーディングの前に基礎英語力をまず鍛えましょう。
目安としては、TOEIC500点未満であれば、まず基礎学習から始めるのがおすすめです。最低限の文法・単語力がないと、簡単な文章を辞書なしでスピーディにたくさん読む「多読」の練習に入れません。
3. リーディング力を鍛えるおすすめアプリ3選
忙しい社会人が英語力をアップするには、すきま時間の活用が不可欠。ここでは、場所を問わずにいつでもリーディング力をアップできる、おすすめのスマホアプリを3つご紹介します。
3-1. POLYGLOTS
引用:https://www.polyglots.net/
さまざまなジャンルの英語記事を使ってリーディング練習ができる人気アプリが「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」です。ニュース記事だけでなく、お気に入りの洋楽の歌詞を使った学習もできます。
設定した好みのジャンルと診断テストの結果から、アプリがあなたにおすすめの記事を表示してくれます。テキスト中の知らない単語を「ワンタップ辞書」で簡単に調べられ、調べた単語だけで単語帳を自動で生成する優れた機能を搭載。
また、TOEICやTOEFL対策の単語テストコースも入っているので、このアプリだけでリーディング練習から単語力アップまでいろいろできます。
3-2. Kindle
引用:https://apps.apple.com/jp/app/kindle/id302584613
Amazonの電子書籍リーダーアプリのKindleは、洋書を使った多読練習に最適です。月額980円の定額読み放題サービスの「Kindle Unlimited」は、洋書のラインナップも充実しています。
また、著作権切れの古い本が一部無料で配信されていますので、Amazon電子書籍+Kindleの組み合わせでかなり多くの洋書を教材として使うことができます。Kindleには辞書機能もあるので、わからない単語をすぐに検索して調べられるのもおすすめポイント。
3-3. Smart News
引用:https://apps.apple.com/jp/app/id579581125
ニュースキュレーションアプリの定番「Smart News」は、設定の「各国版」の項目を「アメリカ合衆国」に切り替えることで、英語の記事を読めるようになります。
さまざまなジャンルの英語記事を無料で読めて、お気に入りの媒体はトップ画面に追加して並べ替えられるので、英語多読トレーニングに最適です。
また、日本語モードでも見られる「英語学習」チャンネルがあり、英語学習に関するコラムが配信されています。
4. 多読練習に最適なリーディング教材2選
多読トレーニングを成功させるには、自分のレベルに合った文章を選ぶことが不可欠。ここでは、レベル分けが明確にされた英語書籍が手に入る、おすすめの洋書シリーズを2つご紹介します。
4-1. ラダーシリーズ
IBCパブリッシング株式会社が刊行する「ラダーシリーズ」は、5段階のレベルごとに使用語彙数を制限し、多数の小説・ノンフィクションの名著を簡単な英文で書き改めた多読教材シリーズ。
巻末にはワードリストが付属しています。多読ではなるべく単語を調べないのが望ましいですが、どうしても気になる単語があった際に、わざわざ辞書を引かなくても巻末のワードリストで手軽に調べられて便利です。
海外の物語だけでなく、日本の小説の英訳版や、本田宗一郎、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグなど、さまざまな分野で活躍した人物の伝記も豊富で、ラインナップが幅広いのが魅力です。
4-2. ピアソンリーダーズ
「Pearson English Readers」は、Easystartsからレベル6までの7段階のグレード分けがされた洋書シリーズ。人気映画のノベライズ、小説の名著、ノンフィクションなど幅広いランナップで、純粋に英語の読み物としても楽しめます。
巻末には内容理解を深めるための演習問題付き。重要単語を解説する例文も収録されていて、英語学習者をしっかりサポートする多読教材です。
5. おすすめ英字新聞・ニュースサイト3選
日常生活に取り入れやすいリーディング特化の学習方法が「英語の新聞・ニュース」です。ここでは、おすすめの英字新聞・ニュースサイトを3つご紹介します。
5-1. The Japan Times
日本で刊行されている英字新聞でおすすめなのが「The Japan Times」です。特に英語学習者・英字新聞初心者におすすめしたいのが、「The Japan Times ST」という同社の英語学習ニュースサイト。
英語学習者向けのやさしい英語表現でニュースが読めるだけでなく、ニュース音声再生、全文日本語訳掲載、語彙解説など至れり尽くせりな内容。海外の英字新聞にも掲載される上級者向けの記事が豊富な「The Japan Times On Sunday」もあり、さまざまなレベルに合った英語記事が見つかります。
5-2. Time For Kids
アメリカのTime誌が、ネイティブの子ども向けにニュースを発信しているWebサイトです。子ども向けとはいえ、ノンネイティブの日本人にとってはしっかりしたリーディング教材になります。
大人向けのニュース記事と比べて内容はやさしめですが、日本語解説はないため、ある程度リーディングに慣れた中級者向けです。
5-3. BBC
イギリスの公共放送局BBCの提供するWebサイトや公式アプリではさまざまなジャンル・トピックのニュースを見ることができます。文字だけでなく、動画付きの記事もあります。イギリス英語で書かれているので、イギリス英語を学びたい方には最適なニュースサイトです。
また「BBC Learning English」という、BBCのニュースを使って英語を学べる公式アプリもリリースされており、こちらもおすすめです。
6. まとめ
リーディングに難しさを感じていたり、上達を感じられず挫折してしまう原因の多くが、非効率な学習方法やレベルに合っていない教材選びにあります。
また、ただたくさん読めばいいというわけではなく、精読・音読などのさまざまなトレーニング方法やそれを支える基礎語彙力など、多角的な学習を行うことで、リーディング力を飛躍的に高めることができます。
今回ご紹介した内容を参考に、リーディングスキルアップに取り組んでみてください。