「海外旅行先で自分の英語がまったく通じなかった!」「仕事で外国人の英語は聞き取れるのに、自分の言っていることが相手に通じない……。」
英語が得意だという人でも、英語のスピーキングは苦手と感じる人は多いようです。その原因のひとつとして考えらえるのが、英語の発音がうまくできないことです。
「大事なのは、話す内容! だから、多少発音が下手でも大丈夫!」そう開き直って堂々と話すことも、時には大切です。でも、仕事で英語を使ったり、英語圏で生活したりする場合は、発音を上達させる努力も必要でしょう。いつまで経ってもカタコトでは、まわりの人とのコミュニケーションに支障があるだけでなく、対等に扱ってもらえないかもしれませんよ。
この記事では、英語の発音の学習方法についてご紹介します。
Contents
1. 英語のつづりと音のルールを知る
英単語を読むときにローマ字読みしてしまう、あるいは、読み方をカタカナで覚えしまっている 。そういう人の英語の発音はなかなか上達することはありません。
では、どうすればよいのでしょう?「英語を英語として発音する」ためには、英語のつづりと音のルールを知ることから始めるのが近道です。
とにかく楽しく取り組みたい人にはフォニックスを、本を見ながら頭の中で体系立てて学習したい人にはIPAを学習することをおすすめします!
1-1. 楽しく学べるフォニックス
英語を母語としない人たちが英語圏で英語を学ぶ際、ESL(English as a Second Language;第二言語としての英語)というクラスで英語を学習することがよくあります。親の海外転勤についていった子どもたちは、現地校に転入すると、英語の習得と現地の文化に親しむ目的でESLのお世話になります。留学生や移民などの大人向けの語学学校などでもESLが設けられています。
ESLでよく行われているのが、フォニックス(Phonics)とよばれる方法です。フォニックスでは、英語のつづりと音にあるルールを学びます。その基本となるのが、アルファベットの文字1つ1つの発音を正しく言えるようになることです。
代表的なのが、文字ごとの発音とその発音で読む単語をリズムにのって復唱できるようにした歌(チャンツ)です。たとえば、このような歌詞のものが多くみられます。
B, B, B, B is for book.
C, C, C, C is for cat.
インターネットで“phonics”や「フォニックス」と検索すると、子どもを対象とした歌やチャンツの動画がたくさんヒットします。大人を対象としたフォニックスのレッスン動画もあるので、自分の気に入る動画を見つけたら視聴して、繰り返し練習してみましょう。
1-2. 効率よく学習できるIPA
IPAとは、International Phonetic Alphabet(国際音声記号)の略で、つまりは教科書や辞書に載っている発音記号のことです。そう聞くと、苦手意識をもっている人も多いかもしれませんね。
でも、発音記号ごとに正しい発音ができるように練習して、発音と文字をリンクさせてトレーニングすることで、非常に効率よく英語の発音を上達させることができるんです。
たとえば、hatとhutとhotを読み分けるときには、IPAを知っていれば、口の開け方や舌の位置や動きなどのちがい、つまり[æ]と[ʌ]と[ɔ’]の区別だとわかります。
IPAを扱った無料動画もありますが、おすすめはCD付きの英語学習本です。日本語にはない英語の母音の発音や、日本人が苦手とする子音の発音の仕方など、ポイントを押さえてまとめてあるので、ぜひ活用してみてください。
2. 単語のアクセントを意識して読む
英語のつづりと音のルールを知るだけでも、発音は上達します。でも、それだけでは足りません。なぜならば、英語には決まったリズムがあるからです。
英語のリズムを構成している要素のひとつが、単語ごとのアクセントです。受験英語でも、発音とアクセントの問題は必ずありましたよね?
アクセントを間違えると、いくら音を正しく発していても、どこかカタコトな印象を与えてしまいます。
そこで、単語を辞書で調べるときに、オンラインの辞書やアプリを使ってみましょう。発音記号が読めればアクセントも確認できますが、おすすめは「読み上げ機能」です。
・Collins English Dictionary(https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/)
・オンライン版ロングマン現代英英辞典(https://www.ldoceonline.com/jp/)
これら2つの辞書のように代表的な英英辞典で単語を調べると、イギリス英語とアメリカ英語それぞれの読み方で読み上げる機能がついています(無料)。
試しに、resourceという単語を調べてみると、イギリス英語とアメリカ英語で、発音もアクセントの位置も違うことがわかります。
また、ぜひ活用したいのが、英語の発音チェックができるスマートフォンのアプリです。単語レベルで発音チェックできるものを使えば、アクセントの位置もあわせて確認できるので一石二鳥ですよ。こういったアプリはゲーム感覚で取り組めるのがいいですね。
3. フレーズや文を真似て読む:シャドーイング
単語を個別に正しく読めるようになるだけでは、英語が上手に話せるようにはなりません。英語はフレーズや文になると、音がつながったり消えたり、音調(イントネーション)が上昇したり下降したりするからです。
そこで、単語レベルでの発音・アクセントの学習と並行して行いたいのが、フレーズや英文のシャドーイングです。シャドーイングとは、大まかに言うと、耳で聞いた文章を少し遅れて復唱する練習方法です。リスニング力もかなり鍛えられますよ。
シャドーイングに必要なのは、自分の英語力に合った音声教材を選ぶことです。意味のわからない単語や表現だらけの英語をいくら真似てみようとしても、なかなか難しく、英語力の向上にはつながりにくいでしょう。
初心者向けには、シャドーイング用として売られている音声CD付き教材やアプリがおすすめです。中級者以上になったら、英語字幕の出る動画や自分が好きな海外ドラマを教材に使ってもいいかもしれません。カラオケが好きな人は、英語の歌を教材に使うことを試してみてもいいですね。
恥ずかしがらずに、とにかく真似ることを繰り返し行いましょう。平坦な日本語を話すのに慣れた口が、リズミカルな英語を話すことに慣れていくはずですよ。
4. 英語発音をチェックする機会をもつ
英語の発音を上達させるための学習やトレーニングをしたら、どれだけ上達しているのか、チェックする機会を積極的に設けるようにしましょう。
もちろん、スマートフォンアプリを使えば、自分で英語の発音チェックを簡単にすることができますが、いちばんよいのは、ネイティブスピーカーと会話をすることです。
英語の発音をよくするのは、あくまでもスピーキング力を向上させるためなのです。ネイティブとの会話の中で、「このフレーズが発音しにくかった!」「あれ、この単語が通じなかったぞ?」という気づきがあるはずです。
そういった気づきを次の発音のトレーニングへとつなげていきましょう。
5. 終わりに
いかがでしたか? 英語圏で長く暮らした経験のある日本人でも、日本に帰国してしばらく英語を話さないでいると、日本語の口になって英語が話しにくくなっていると感じることがあると言います。
英語の発音がうまくできるようになるための学習は、実は地道なトレーニングです。でも、自分にあった教材やツール、トレーニング方法を見つけて、コツコツと続けていけば、上達していきます。
ぜひ続けてみてくださいね。