「文法」と聞くと中学校や高校での受験勉強を思い出して、できれば避けて通りたい!という人もいるかもしれません。
でも、文法は伝えたいことを正確に伝え合うために、なくてはならないもの。英語の構成とその文法を使う状況をマスターすることで、言いたいことがより正確に伝わるようになるのはもちろん、相手の発言や情報を正確に把握できるようになります。
英語の文法を勉強するときのコツをご紹介します。
Contents
1. 文法の構成(SVOC)をマスターする~英語の基本~
「過去形」「現在完了形」「現在進行形」「SVO」「SVOC」・・・文法と聞いて真っ先にこれらの用語を思い浮かべましたか。
確かに中学校や高校では頻繁に登場した用語で、英語の文法を理解するための一つの手段ではあるのですが、英語を上達させるために、これらの用語自体を覚えておく必要があるかというと、そんなことはありません。用語を忘れてしまっても問題ありません。
もちろん、覚えてはいけないということではありませんが、もっと大切なのは、その文法を用いたときの文の構成と用いる状況を押さえて勉強することです。ここでは、一般的に「過去形」、「現在完了形」と呼ばれている文法のかたちを例に、使う状況と構成を押さえるとはどういうことかご紹介したいと思います。
1-1. 過去形
●過去形を使う状況
過去形は、その名のとおり過去のことを表すかたち。正確には過去時制と呼びます。なぜ過去のかたち必要かというと、話していることが今のことなのか、それとももう終わった出来事なのかを区別するため。そのためには、文に「過去の話」であることを示すラベルを貼る必要があります。
● 過去形の構成
過去の話であることを示すラベルは、基本的には動詞の後ろのedまたはd。特殊なかたちもある。詳細な説明は省きますが、まずは、ざっくりとこのような構造になっていることを押さえるといいですよ。
a. 動詞の後ろにedをつけるもの:
cooked/called/watched/played/jumped/cleaned
b. 動詞の後ろにdをつけるもの:
liked/lived/hatedなど、動詞の原形がeで終わる単語の場合はdのみつければOK
c. 特殊なかたち:
make→made/see→saw/buy→bought/sleep→slept
1-2. 現在完了形
「完了って何?何かが完了しているなら過去形でいいでしょう?この名前を聞くだけでも嫌!という人も多いかもしれません。日本人には少しイメージしにくいかたちだと思いますが、基本はそんなに難しくありません。
●現在完了形を使う状況
中学校・高校では、「たった今までしていたこと」「継続していること」・・・などいくつか現在完了形を使うべき状況を教わったことと思いますが、イマイチ頭に入って来ないのではないでしょうか。
現在完了形で示せることは、ざっくり言ってしまうと一つだけ。「ある出来事が現在ととても強く結びついている」ということです。どういうことか、次で詳しく見ていきましょう。
● 現在完了形の構成
現在完了形はhaveと動詞の過去分詞でつくる。
a. I finished my homework.(過去形)
b. I have finished my homework.(現在完了)
え?この二つの例文、日本語だとどちらも「宿題を終えました」になるけど・・・と思われたかもしれませんが、現在完了形の役割をざっくりとお伝えするのに、わかりやすい例だと思い、あえてこの例文を用いてお話します。
aもbも宿題が終わっているという事実に変わりはありません。でも、「宿題を終えた」ということを話すときの視点が違うのです。
aは、宿題を終えたのも、宿題を終えたという事実を捉える話し手の視点も過去にあります。大げさに訳すと「宿題はとっくに終わった。これからゲームしようかな。あ、友達に電話しようかな」というような感じになります。宿題を終えたことは話し手の現在とは遠く離れたところにあるのです。
一方、bは宿題を終えたのはもちろん過去、でも、その事実を捉える話し手の視点は現在にあります。よく説明に使われるのは、「finished my homework」という事実をhaveしている、という状況です。大げさに訳すと「よし、宿題終わった。今日の宿題は分数の問題が多かったな。一応解けたけど、わからないのが一問あったな。ちょっと塾に持って行って聞いてみるかな」というようなニュアンス。
つまり、宿題を終えたことが、話し手の現在と強く結びついている状況です。この「過去の出来事と今との結びつきの強さ」のニュアンスから、「継続」や「たった今」といった状況で使われることが多いのです。
「過去形」と「現在完了形」を例に、英語の文法を勉強する時のポイントとして、使われる状況と構成を押さえることが大切です。上記では詳細な説明は省きましたが、「過去形」や「現在完了」という用語よりもどんな状況で使うのかというニュアンスを掴み、英語の基本的なかたち、組み立て方をチェックするようにしてください。
2. たくさんの英語にふれよう~文法を意識する~
上で紹介したように、「過去形」や「現在完了形」をどんな状況で使用するか一通り抑えることはそんなに難しいことではありません。
使われる状況や文の構成を学ぶだけなら、中学校や高校のときに使った教科書や参考書でも十分です。ただ、英語を上達させたいと思っている方には、中学校・高校で学んだのはあくまで基礎だということを知っていただきたいのです。
どの言語もたくさんの例外がありますが、まずは一通りのルールをマスターすることはとても大切で、そのために、中学校や高校では一定の枠組みに落とし込んだ説明がなされています。文法の基礎を学んだあとは、英字新聞や映画、アプリで実際に使われている文や会話にたくさんふれることをおすすめします。
教科書や参考書など、英語学習者向けの本、教材などを活用しながら、たくさん実例にふれるようにすれば、「こういうところで現在完了形使うんだ」というような気付きを多く得ることができます。それぞれの文法のもつ英語のニュアンスを肌で感じることができますよ。
2-1. アプリのおすすめ
英語の文法を学ぶと同時に、ゲーム感覚で文法の理解を深められるアプリがあります。インターネットで「grammar app」で検索すると無料のアプリもいくつか紹介されていますので活用してみてください。
2-2. 多読学習が効果的
文法の学習にも英字新聞や本を読むなどリーディングは効果的です。そこにはたくさんの使用例があり、思いがけない気付きが得られるからです。
いきなり英語の本は・・・と自信がない人でも、graded readersと呼ばれる本は海外の小説を英語の習熟度別に単語やボリュームを調整した本で、学習にぴったりです。大学には必ずといっていいほど置いています。ぜひ活用してみてください。
3. まとめ
英語の文法と聞くと「難しそう」「面倒」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、お互いに伝えたいことを正確に伝えあうために必要不可欠なものです。
中学校や高校で覚えた「過去形」「現在完了形」といった用語は必ずしも覚える必要はありません。それよりも、どんな状況で使うのか、どんな構成になるのか、ということを押さえるようにしてください。
この「どんな状況で使うのか」を肌で感じるためには文法を意識して多くの英語にふれることが一番です。アプリや学習者向けの簡単な読み物、新聞などを活用してたくさんの例にふれるようにすれば、参考書の中だけではつかみきれなかったそれぞれの文法の英語のニュアンスがわかるようになるはずです。