グローバル化により、ビジネス英語が話せる能力が求められる現在、英語資格を取得して実力を示すことで、就職・転職、キャリアアップを有利に進めることができます。
しかし今や英語資格も多種多様。それぞれのテストで測る能力が異なるので、自分の目的や進みたい分野に合ったものを取得するのが重要です。
今回は、英語資格の中でもビジネス英語に関連したものを、4つのカテゴリーに分けてご紹介します。あなたのキャリア形成にぴったりなビジネス英語資格が見つかりますよ。
Contents
1. 就職・転職に役立つ英語資格4選【国内編】
まずは国内ビジネスシーンで特に力を発揮する資格4つをご紹介します。「英語資格といえばこれ!」という定番もここに含まれており、国内企業への就職・転職、昇進・昇給などのキャリアアップに役立ちますよ。
1-1. TOEIC Listening & Reading Test
国内で最も認知度が高く、多くの企業が採用や昇進の要件・参考にしているのがTOEIC L&Rテスト。国内企業の就職・転職のために取得しておいて損はありません。
認知度が高い分、スコアから英語力の高さが伝わりやすいのが最大のメリット。合否判定ではなく990点満点の「スコア制」なので、初心者~上級者問わず受験でき、また試験対策教材・メソッドも豊富なので、比較的取り組みやすい資格です。
注意点としては、TOEIC L&R Testはリスニングとリーディングのスキルだけの試験なので、書く・話す(アウトプット)スキルが伸びにくいこと。また、TOEICは日本と韓国では人気が高いですが、それ以外の地域ではそれほど知られていません。海外で働きたい場合は、もっと国際的な知名度のある資格の方が強いです。また、どちらかといえば日常英会話寄りの試験内容なので、特定分野の専門英語の知識が必要な場合は、別途学習する必要があるでしょう。
受験料:6,490円(2020年4月~)開催頻度:年10回(2、8月以外)
※2020年度は例年と異なる日程で実施予定です。詳しくは公式サイトのスケジュールをご確認ください。
会場:全国約80都市
試験形式:マークシート
1-2. TOEIC Speaking & Writing Tests(S&W)
TOEIC S&Wテストは英語の「話す・書く」能力を測る試験。各セクション200点満点ずつのスコア形式。コミュニケーションツールとしての実用的な英語力がより求められる現在、注目度が高まっています。
L&Rテストでは測れなかったスピーキング・ライティングの実力をスコアで示せるのが最大のメリット。試験対策を通して、ビジネスの現場で使える実用的な英語力を高めることもできます。
注意点は、認知度がまだ高くないため、スコアから実力が伝わりにくい場合があること。また、ハイスコアを取るにはリスニング・リーディングスキルも含めた総合的な英語力が必要であり、学習に時間がかかります。
とはいえ、英語のアウトプットスキルは今後ますます重要になることが予想されますので、L&Rテストと合わせて取得しておけば間違いなく強みになります。
受験料:10,450円
開催頻度:年24回(日曜の午前・午後1回ずつ)
会場:全国16都市
試験形式:PCとヘッドセットで回答(音声・キーボード入力)
1-3. 実用英語技能検定(英検)
日本での知名度が最も高い英語資格が英検です。5~1級の7等級に試験が分かれており、TOEICと違って「合否判定式」なのが特徴。
ライティング・スピーキングを含む4技能を1試験でテストできるのがメリット。歴史の長さと文部科学省後援もあり信頼性が高く、入試優遇・単位認定・留学時の語学力証明など、特に学業分野を中心に強みを発揮する資格です。
現在のビジネスシーンにおいてはTOEICの方が企業の認知度・使用率は高いですが、英検は準1級以上になると合格率が20%を切る難関資格になるため、英語力に加えて学習能力の高さもアピールできるでしょう。
注意点としては日本国内向けの試験なので、海外ではほとんど認知されていないということ。留学や海外就職を考えるなら、海外で認知度の高い資格を狙いましょう。
検定料:1級10,300円 / 準1級 8,400円 / 2級 7,400円 / 準2級 6,900円 / 3級 5,900円 / 4級 3,600円 / 5級 3,000円
開催頻度:年3回
会場:全国約230都市
試験形式:リーディング&リスニング:選択問題式
ライティング:記述式(3級以上)
スピーキング:3級以上は二次試験で面接、4・5級はウェブ受験
1-4. 日商ビジネス英語検定
日本商工会議所が主催する英語検定で、主にビジネスで使う英語のライティングスキルを測る資格となっています。
企画書、報告書、メールなどのビジネス文書を英語で作成する能力や、海外との商取引の知識・スキルを測る試験内容。貿易や商社など、実務で英語文書を使って働く分野への就職・転職には大きな強みになります。
1~3級の3段階のレベル分けがされた合否判定タイプの試験で、特に2、3級は試験回数が多く結果もネットですぐに分かるため、とても受験しやすいのが特徴。知名度はそこまで高くありませんが、TOEICや英検で基礎英語力、日商ビジネス英語検定で実務的なビジネスライティング力を示せれば、就職・転職で強力な武器になるでしょう。
受験料:1級 7,330円 / 2級 5,240円 / 3級 4,200円
開催頻度:1級は年2回、2、3級は会場毎に随時開催
会場:全国の商工会議所のネット試験施行機関
試験形式:選択式&記述式
2. 就職・転職に役立つ英語資格2選【国際編】
次は、より国際的なビジネスシーンで活躍したい、海外でも通用する英語スキルを取得したい方におすすめの資格を2つご紹介します。
2-1. 国連英検
国連英検(国際連合公用語英語検定試験)は、外務省後援・日本国際連合協会主催の英語資格で、英語力+世界情勢や時事問題に関する知識を問われます。国際公務員や外交官などの国際機関への就職や、警察官採用試験の一部でも使われている試験です。
試験はE~特A級の6段階。英語力に加えて国際教養が求められ、A級以上は2次試験の面接で時事問題に関してネイティブスピーカーと英語の討論があります。特A級は数ある英語資格の中でも最難関と言われています。
あくまで日本国内向けの試験で国際的に認知度が高いわけではありませんが、難易度に見合った権威ある資格となっています。国際的に活躍する人材を目指すならぜひ挑戦したい試験です。
受験料:特A級 12,500円 / A級 10,000円 / B級 7,500円 / C級 4,500円 / D級 4,000円 / E級 3,000円
開催頻度:年2回
会場:全国主要都市
試験形式:筆記(マークシート)
・B級以上は作文あり
・A級以上は2次試験で面接あり
2-2. Linguaskill Business
欧州、東南アジア、中国など世界中のビジネスシーンで使われている英語能力評価試験で、ビジネスに特化した総合的な英語スキルを測ります。
日本だけでなく、世界的に通用するグローバルな評価指標でスコアを算出してくれるのが最大の魅力。4技能全ての試験がオンラインで完結し、判定結果が3営業日以内にわかるというスマートな試験です。
公式会場での個人受験の他、企業・団体での申し込みも可能。その場合は自社施設内での受験、日程の自由設定、必要機材を借りることも可能。社員の国際的な英語力を高めたい企業にとって最適なテストです。
受験料(個人受験):Reading & Listening Test 2,900円
Speaking Test 6,900円
Writing Test 3,900円 (※各テストの組み合わせによって割引あり)
開催頻度:公式サイトに随時掲載(公開会場での個人受験)
公開会場:東京・大阪
試験形式:PCとヘッドセットでの音声解答・タイピング入力・選択問題
3. 通訳・翻訳のスキルを習得する英語資格3選
通訳や翻訳の仕事には専門的な英語スキルが必要。プロフェッショナルとして活動するなら、実力を証明する資格があると有利です。ここでは、通訳・翻訳の仕事をしたい方におすすめの資格をご紹介します。
3-1. ビジネス通訳検定(TOBIS)
企業・団体内での通訳業務に必要なスキルを判定する試験。一般的な会話からビジネス現場までを想定した試験内容で、成績に応じて1~4級の級数あるいは不合格の判定が下されます。
「逐次通訳試験」と「同時通訳試験」の2つがあり、1級の取得には両方の受験、合格が必要です。逐次通訳試験はこれから通訳者を目指す方や、ある程度の通訳業務経験者向け。同時通訳試験は同時通訳実務経験2年以上か、同時通訳専門訓練を修了した方向けのハイレベルな試験です。
通訳スキル+ビジネス知識を示せるので、取得することで通訳者としての就業機会につながります。また、試験の判定内容についてフィードバックが得られるのも嬉しいポイントです。
受験料:逐次通訳試験12,000円
同時通訳試験15,000円
両方受験25,000円
開催頻度:HPで随時募集
会場:東京・大阪
試験形式:録音形式
3-2. ほんやく検定(JTF)
日本翻訳連盟(JTF)が実施する実務翻訳のスキルを判定する試験。基礎レベルと実用レベルの2つの試験があり、実用レベルは翻訳の完成度に応じて3~1級か不合格の判定がされます。
取得した級数は公的な資格として履歴書に書ける他、2級以上は一部の翻訳会社のトライアル免除や機関誌にプロフィールを掲載できるなど、翻訳家としての就業につながります。プロの翻訳家を目指す方はぜひ取得を検討しましょう。
受験料(JTF・NIPTA会員):基礎レベル5級 4,400円 / 4級 5,280円 / 併願 8,800円
実用レベル英日翻訳 8,800円 / 日英翻訳 8,800円 / 併願13,200円
開催頻度:年2回(原則1月・7月の第4土曜日)
会場:オンラインで在宅受験
試験形式:特定分野の文章の翻訳(試験中はネット検索、辞書、翻訳ツールが使用可能)
3-4. JTA公認 翻訳専門職資格試験
一般社団法人 日本翻訳協会(JTA)による「公認翻訳専門職」の認定試験。以下の4科目で構成されています。
・翻訳文法技能試験
・翻訳IT技能試験
・翻訳マネジメント技能試験
・翻訳専門技能試験:「JTA公認 出版翻訳能力検定試験」または「JTA公認 ビジネス翻訳能力検定試験」から1分野の受験
上記4科目全てに合格(2級以上)し、2次審査(翻訳経験2年以上の実績審査)にも合格することで、JTA公認翻訳専門職として認定されます。翻訳家としてレベルアップ・キャリアアップを目指すなら取得を検討したい資格です。
受験料(一般受験):1科目 5,500円 / 2科目 11,000円 / 3科目 16,500円
翻訳専門技能試験 7,700円
開催頻度:随時開催
会場・試験形式:オンラインでの在宅受験
4. 専門分野で活躍する英語資格3選
最後は特定ジャンルに特化した英語スキルを測る資格試験の中でも、ビジネスに役立つものを3つをご紹介します。
4-1. 観光英語検定
グローバル化で需要が高まる旅行・観光・ホテル・レストランなどの産業における、接客・案内などの業務に必要な「観光英語」のスキルを1~3級の3段階で測る検定試験。
日本国内の外国人観光客のガイドや、海外旅行をする日本人の引率・通訳など、特有の英語表現や知識への理解を示せるので、観光分野への就職・転職に役立ちます。
ビジネス実用レベルの観光英語を身につけるなら1級を目指したいところです。また、自分で海外旅行をする際の旅行英語としても役立つので、英語で個人旅行したいなら2、3級を取得しておくと良いでしょう。
受験料:3級 3,800円 / 2級 4,800円 / 1級 10,000円
開催頻度:年2回(6月・10月)
会場:全国主要都市
試験形式:筆記・リスニング(1級はネイティブとの面接あり)
4-2. 貿易実務検定
国際化で需要が高まるのが貿易に関する人材です。貿易実務検定は、英語力も含めた貿易の実践的スキルを測る試験となっています。
A・B・Cの3等級に分かれており、商業英語はもちろん貿易実務知識やマーケティングの知識など、英語力だけではない貿易に関するさまざまなスキルが問われます。
貿易関連の検定では受験者数が多く知名度が高いので、取得することで武器になります。貿易・通関関連業務への就職・転職、個人輸入をしている方、貿易実務に興味がある・勉強中の方はぜひ検討したい検定です。
受験料:A級 12,760円 / B級 7,480円 / C級 6,270円
A・B級併願 20,240円 / B・C級併願 13,750円
開催頻度:年3~5回程度(等級による)
会場:全国主要都市
試験形式:選択式 / 記述式
4-3. BATIC
東京商工会議所が手がけるBATIC(国際会計検定)は、国際基準での会計・簿記知識とそれに関する英語力を測る検定試験。企業の海外展開や、国際市場との関わりにおいて必須スキルである国際会計+英語力を身につけるのに最適です。
海外部門を持つ企業や外資系企業への就職・転職には特に有利に働くでしょう。国際会計スキルの需要は今後も高まることが予想され、意欲的なビジネスパーソンなら取得して損はありません。
英語簿記400点+国際会計理論600点の1,000点満点のスコア式。出題は全て英語です。ハイスコアを取得できれば国際的人材としてのポテンシャルをアピールできます。
受験料:10,340円
開催頻度:年2回
会場:全国主要都市
試験形式:マークシート式・記述式
5. まとめ
国内での就職・転職、国際的なビジネスシーンを問わず、今や英語力は社会人の重要なスキル、評価基準のひとつになっています。高いビジネス英語力を資格で示すことができれば、今後幅広いキャリア形式の可能性が広がります。
また、今はさまざまな特定分野の英語力を測る資格・検定が豊富にあります。今後進みたい道が決まっているなら、これらの取得を目指すことでスキルが身につき、就職・転職時に強いアピールポイントになります。
今回ご紹介した内容を参考に、あなたに合う英語資格にチャレンジしてみてください。