英語教材編集者が答える:【目標スコア別】TOEICリーディングセクションを75分で解き終えるための攻略法

「リーディングが75分で解き終わらない」
「Part5~7はそれぞれどれくらいのペースで解けばいいの?」
「全部解き終わるためのおすすめの勉強法は?」

 

模試などでリーディングセクションを解いていると、このような悩みをもつ方も多いのではないでしょうか。

 

TOEICのリーディングセクションを制限時間内に解き終えたい方のために、今回はTOEIC教材を20年にわたり制作してきたメディアビーコンの編集者(990点満点取得)が、目標スコア別の対策法をお答えします!

 

 

はじめに:リーディングセクションの解答の時間配分

時間内に解き終えるための対策を説明する前に、まずはパートごとの解答時間の目安を確認しておきましょう。

 

Part 5(30問):10分
Part 6(16問):8分

Part 7(54問):54分

試験時間は75分なので、このペースだと3分余ります。見直しに使ったり、難しい問題のための予備時間にしましょう。

 

リーディングセクションを上記の時間配分で解くために、目標スコアにあった対策を以下で紹介します。

 

 

600点を目指している方

今600点を目指している方のほとんどが、時間内に最後まで解き終わらないかと思います。以下のポイントを対策するとよいでしょう。

①基礎的な単語・文法力を身につける
②問題タイプ別の解き方を知る
③「今の実力で解ける問題」をすべて解答する

それぞれのポイントについて解説していきます。

 

①まずは基礎的な単語・文法力を身につけよう

英文を読む速度が上がらない方は、TOEICの英文を読むための基礎的な単語・文法力が足りていないことが原因としてあげられます。

 

「時間内に解くためには、とにかく早く読む練習をしないといけない!」と考える人は多いですが、基本的な単語や文法を知らなければ、いくら早く読んでも英文が頭に入ってこず、結果理解しながら読むことができません

 

初心者の方は特に、速読の前に1文をしっかり理解できることが大切です。

 

以下に、基礎的な単語力を身につけるのにおすすめの単語帳・文法対策本・文法書を紹介します。

 

単語帳

■『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(朝日出版社)

引用:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18732

 

この本は通称『金フレ』とよばれる単語帳で、TOEICに頻出の単語を目標レベル別に収録しています。

 

600点目標、730点目標、860点目標、990点目標に分かれているので、まずは600点レベルの単語(400語)を覚えるようにしましょう

 

単語を覚えるときは、単語を見て考えずにすぐに意味が出てくるようになるまで定着させることが大切です。

 

金フレ600点レベルの単語のなかにはすでに知っている単語もいくつか含まれていると思います。もし600点レベルの単語をぱらっと見たときに「知っている単語がほとんどない!」という方は、それよりもやさしめの単語の知識が抜けている可能性があります。

 

その場合は、金フレよりもやさしいレベルの単語を収録している『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ』(朝日出版社)を先に使って勉強することをおすすめします。

 

 

文法対策本

■『TOEICテスト英文法をひとつひとつわかりやすく。』(学研出版)

https://hon.gakken.jp/book/1130464900

 

TOEICで出題される英文法を、基本からやさしく説明している参考書です。イラストをたくさん使って説明しているので、英文法が苦手な人でも取り組みやすいです。

 

「解説を読む→問題を解く」のステップで、基礎的な文法力を身につけることができます。わからない箇所があれば、文法書などを並行して使うのがおすすめです。

 

 

文法書

■『ブレイクスルー総合英語〈改訂二版〉』(美誠社)

引用:https://www.biseisha.co.jp/product/detail/3289

 

高校レベルの文法を網羅した文法書です。

 

同じ種類の文法書として『Forest』などがありますが、他の文法書と違って文法関連のコラムがかなり充実しています

 

引用:https://www.biseisha.co.jp/product/detail/3289

 

コラムでは、「英語を始めたての初心者」や「英語が苦手な人」がつまずきやすい点を、わかりやすく解説しています。まずは自分が苦手な文法項目のコラムを読んでみるとよいでしょう。

 

 

②問題タイプ別の解き方を知ろう

「Part 7で頻出の設問の種類にはどんなものがあるか?」と尋ねられたら、どれくらいの数を答えることができますか?

 

TOEICには各パートでよく出る設問の種類があり、例えばPart 7では

 

・詳細を問う問題(「5月20日に何が行われるか」「商品の特徴の1つは何か」など)
・概要を問う問題(「文書の目的は何か」「記事の主題は何か」など)
・意図問題(文中の1文に含まれる書き手の意図を問う問題)
・文位置選択問題(1文を適切な位置に入れる問題)
・NOT問題(設問に”NOT”がある問題)
・同義語問題(文中の語句と言い換えられる選択肢を選ぶ問題)

 

などの設問タイプがあります。

 

そして、各問題タイプには、それぞれ効果的な解き方があります。問題をやみくもに解くのではなく、問題タイプの種類を知り、そしてその解き方を知っておくことで、効率よく解答でき、時間短縮することができます

 

問題タイプごとの解き方を身につけるためには、問題タイプ別の解き方を説明している参考書などで勉強する必要があります。「どの本を選べばよいかわからない」という方には、こちらの『はじめてのTOEIC L&Rテスト 全パート総合対策』(アスク出版)がおすすめです。

 

■『はじめてのTOEIC L&Rテスト 全パート総合対策』(アスク出版)

引用:https://www.ask-books.com/978-4-86639-078-9/

 

Part 1~7の全パートの「攻略ポイント」が、図解などを使ってわかりやすく解説されているので、TOEICが初めての方でも学習しやすい構成になっています。

 

この本を参考にして、Part7の問題タイプごとの解き方を身につけるようにしましょう。

 

解き方を身につけると、次で説明する「解ける問題だけを解く」ことができるようになります。

 

 

③「解ける問題」を確実に解いていこう

スコアアップするには、できるだけ多くの問題に解答して正解することが必須です。

 

ですが、実は600点を目指すなら、リーディング100問をすべて解こうとする必要はありません「自分が解ける問題を時間内にできるだけ多く解く」ことが、スコアアップのカギになります。

 

TOEICの問題の中には「正解を見つけるのに時間がかかる問題」が含まれています。

 

そういった問題には「文挿入問題(Part6)」「NOT問題(Part7)」「文位置選択問題(Part7)」などがありますが、これらの問題と「簡単に解ける問題」とでは、得点は変わりません

 

「時間がかかる問題」まですべて解こうとすると、最後の100問目までたどり着かずに時間切れになってしまい、本来なら自分の実力なら解けるはずだった問題が答えられなくなってしまいます。

 

600点を目指すのであれば、「文挿入問題」「NOT問題」「文位置選択問題」などは飛ばして解答を進め、「200問目までたどり着く」ことを目標にしましょう

 

 

730点を目指している方

730点を目指す方は、身につけた単語・文法力を読解力に変換することがポイントになります。この点について、以下で解説していきます。

 

①文書タイプの展開パターンを把握しよう

Part 7を読んでいるときに

「文は読めているけど内容が頭に入ってこない」
「最後まで読んだけど、何が言いたいのかよくわからない」
「解答の根拠がどこにあるかパッと判断できない」

 

と感じる方は、あらかじめ文書の展開パターンを知ることや文書のタイトルを把握しておくことで、読解スピードを向上させることができます。

 

ここで、いきなりですが以下の文章を読んでみてください。「何についての文章」か、わかりますか?

 

 

その手順はとても簡単である。はじめに,ものをいくつかの山に分ける。もちろんその全体量によっては,一山でもよい。次のステップに必要な設備がないためどこか他の場所へ移動する場合を除いては,準備完了である。一度にたくさんしすぎないことが肝心である。多すぎるより,少なすぎる方がましだ。すぐにはこのことの大切さがわからないかもしれないが,めんどうなことになりかねない。そうしなければ,高くつくことにもなる。最初はこうした手順は複雑に思えるだろう。でも,それはすぐに生活の一部になってしまう。近い将来,この作業の必要性がなくなると予言できる人はいないだろう。その手順が終わったら,再び材料をいくつかの山に分ける。そして,それぞれ適切な場所に置く。それらはもう一度使用され,またこのすべてのサイクルが繰り返される。ともあれ,それは生活の一部である。

(Bransford & Johnson,1972)

 

何についての文章かわかりましたか?

 

日本語の単語や表現自体は簡単なのに、何を言っているのかわからず、読むのに時間がかかったのではないでしょうか。

 

ここで、もし文章のタイトルが「洗濯」と知ったうえで、もう一度読んでみてください。そうすると、1文1文の意味がわかったはずです。

 

このように、TOEICのリーディングでも、あらかじめ話のトピックや展開を把握しておくことで、英文の読解スピードを上げることができます。

 

たとえば、求人広告の文書では「①職種・業務内容 → ②求める技術 →③応募方法」の順で英文が構成されていることがあります。

 

こうした情報をあらかじめ知っておくことで、「これから読む英文にはどんな情報が書かれていそうか」を予測できるので、素早く読み進めることができるようになります

 

他にも、記事ではまずタイトルをチェックすることで、これから読む内容がある程度できることがあります。

 

文書の種類・展開パターンを学べる教材としては、『TOEICテストPart7を1問1分で解けるようになる本』(小学館)があります。「チャット」問題など、2016年5月から出題されることになった文書タイプは紹介されていませんが、よく出題される文書の展開パターンや頻出表現について詳しく説明しているのでおすすめです。

 

■『TOEICテストPart7を1問1分で解けるようになる本』(小学館)

引用:https://www.amazon.co.jp/dp/4095110074

 

 

②返り読みせず前から読み進められるようになろう

読むスピードがなかなか上がらない人の中には、返り読みをしてしまっている人も多いです。

 

リーディングのスピードを上げるためには、英文を日本語の語順で訳さずに、「英語の語順のまま読む」ことに慣れる必要があります。しかし、これまで訳しながら読んできた人がいきなり英語の語順のまま読み進めるのは難しいです。

 

そんな人には、英語を前から理解するために役立つトレーニングである「スラッシュ・リーディング」がおすすめです。これは、英文を読み進めながら数語のかたまりごとに斜線(スラッシュ)を入れて区切り、その区切り単位で意味を理解していくというもの。

 

例えば、

 

I would like to have a discussion with you on February 5.

 

という英文であれば、

 

I / would like to have a discussion / with you / on February 5.

 

のように意味の区切れ目にスラッシュを入れて、「私は /話し合いをしたい / あなたと / 2月5日に」と前から意味を理解していきます。最初は短く区切って読むようにして、慣れてきたら区切る単位を長くしていくと、早く読めるようになってきます。

 

かたまりごとに意味を理解することで、英語の語順のまま読みやすくするのが狙いです。

 

区切る基準としては

・主語と動詞の間
・前置詞の前
・接続詞の前

 

などがありますが、最初は自分が意味を理解しやすいカタマリで区切り、徐々に区切りを少なくしていくよとよいでしょう。

 

 

900点を目指している方

900点をとるには、正答率を維持しながら、時間制限以内に最後の200問目まで解き終えることが重要です。

 

以下で、時間内に解き終える方法について解説します。

 

 

①全問解答のスピード感覚を体に染みこませよう

900点をとるには、最後まで解くためのスピード感を身につけて、そのスピードで問題を解いていく練習を積む必要があります。

 

「リーディングの最後まで解き切る読解スピード」を体感する方法として、一度解いた問題を精読してしっかり理解した上で、何度も読む練習をおすすめします。

 

初見の問題で早く読もうとすると、英文の意味が頭に入ってこないことが多く、これでは速読の効果はありません。まずはきちんと理解した英文を使って速読することで、「900点レベルの人が読む読解スピード」を一度体感することが重要です。

 

速読する前の精読の方法については、以下の記事でくわしく説明していますので、ぜひチェックしてみてください!

 

 

②簡単な問題は自信をもって即答しよう

Part5の文法問題やPart7のシングルパッセージの最初の方などは引っ掛けも少なく、このレベルの人ならパッと正解が選べることも多いと思います。

 

もしすべての問題で誤答の根拠まで探しているなら、即答できない問題でのみ行うようにすると時間短縮になります。

 

普段から問題演習をしていると、「即答できる問題」があるかと思います。

 

そういった問題は自分が得意な問題タイプであり、そこには「時間をかけて誤答の根拠を探しても探さなくても正答率は変わらない」問題が含まれているはずです。

 

すぐに正解の選択肢が判断できた問題は、自信を持って即解答しましょう。そうすることで、時間がかなり短縮できます。

 

もし

「誤答まで根拠を確認しないと正解が選べないことが多い」
「誤答の根拠を確認せずに解答すると、正答率がすごく落ちてしまう」

 

という方は、解答の根拠が正確につかめていない(=消去法で解く傾向にある)可能性があります。その場合は、素早く解く前に、まずは正解の根拠を1問1問しっかり見つけてから解答する練習をしましょう

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?今回はTOEICのリーディングセクションが時間制限内に解き終わらないと悩む方への対策についてお答えしました。

 

同じような悩みを抱えていた方のモヤモヤが少しでも解消されたのなら幸いです!

 

 

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株式会社メディアビーコン プロフィール

1999年創業。語学教材に特化した教材制作会社。TOEIC、英検、TOEFLをはじめとする英語の資格試験から、子供英語、中学英語、高校英語、英会話、ビジネス英語まで、英語教材全般の制作を幅広く行う。特にTOEICの教材制作には定評があり、『TOEIC®テスト新公式問題集Vol. 5』の編集制作ほか、TOEIC関連企画だけでも130冊以上担当している。出版物としての教材制作のみならず、TOEIC® L&Rテストのスコアアップを目指す方のためのコーチングも行っている。

著書に『寝る前5分暗記ブック TOEICテスト単語&フレーズ』、『寝る前5分暗記ブック TOEICテスト英文法』(以上、学研プラス)、『TOEIC L&R TEST 990点獲得 最強Part 7模試』(ベレ出版)などがある。

  
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