TOEICのPart2は、リスニングの中では一番点数を上げやすく、リーディングのPart5と並んで「最初に対策すべきパート」と言えます。
理由としては、覚えておくと正解につながりやすいテクニックが充実していることと、それでいてTOEICのリスニング100問中25問と問題数が多いことの2つが挙げられます。
ただし、2019年頃から、Part2は難化傾向にあります。リスニングの中で最初に対策しておきたいパートであることには変わりありませんが、どのような点が難しいのかを把握しておかないと、効率的に攻略することはできません。
この記事では、TOEIC Part2の特徴や最近の傾向を踏まえつつ、覚えておきたいコツやテクニックをご紹介します。TOEIC対策教材を長年制作してきたメディアビーコンだからこそお伝えできる内容です。ぜひリスニング対策に役立ててください!
Contents
1. TOEIC Part2はどんなパート?
まず短い疑問文が読み上げられ、次に(A), (B), (C)の3つの応答が流れます。会話として自然な流れになるように、最も適切な応答を選びます。
頻度は少ないですが(1回の試験で3問程度)、最初の文章が質問文ではなく、ひとり言のようになっているもの(平叙文)も出題されます。疑問文よりも発言の意図が掴みづらく、どのような応答が正解になるかもわかりづらいので、難易度が高いパターンです。
1-1. Part2の特徴&近年の難化傾向について
空港での手荷物紛失、レストランの予約変更など、しっかりしたストーリーがあったり、問題を先読みしたりできるPart3,4と違って、Part2では文脈が把握できない状態で正しい会話を完成させる必要があるので、音声を細部まで聞き取れていないと難しく感じるでしょう。
しかし、試験全体で、Part2のみ4択ではなく3択で答える問題になっているのは、解答する側にとって有利な特徴です。選択肢が少ないおかげで、後ほどお伝えするテクニックを使って、消去法で解きやすくなっています。
注意すべきこととして、最近のPart2は難化傾向にあります。具体的には、「あまり発音がクリアではなく、速度も速い音声」の登場が目立つようになりました。ネイティブが日常で話しているような自然な音を意識したものだと考えられます。
通常の読み上げ速度の問題の中に混じって、突然このタイプの音声が混ざってくるようになったので、慣れていないとパニックになりがち。
初心者の方は、こうした問題が出た際は、無理に解答しようとしてペースを崩されないよう、思い切ってどれかに素早くマークしてしまい次の問題に備えるのがおすすめ。中・上級者の方は、消去法を使って食らいつきましょう。
1-2. Part2の全体的なコツ
・正解が微妙なこともあるため、消去法を使って解く
Part2の問題の中には、「正解の応答だけど、単体で見ると少し怪しく感じる」というものもあります。例えば次のようなやり取りです。
A: Isn’t the client visit this week?
B: Thanks for reminding me.
A: クライアントの訪問は今週じゃないですか?
B: リマインドしてくれてありがとうございます。
Aが「今週じゃないですか?」と確認を取っているにもかかわらず、Bはそれに直接答えてはいません。「はい、今週の木曜日です」や「いいえ、来週です」といった答え方の方が自然じゃないの? と感じる人もいるかもしれません。しかし、Bの応答を次の3つの中から選ぶとすればどうでしょうか。
(A) No, it’s in the cabinet.
(B) Thanks for reminding me.
(C) I don’t have his phone number.
(A) いいえ、それは棚に入っています。
(B) リマインドしてくれてありがとうございます。
(C) 私は彼の電話番号を知りません。
(A)と(C)が応答として明らかに的外れなので、この中で一番ふさわしいのは(B)だと納得していただけるはずです。
こうした問題を正解できるようにするには、「最初の文章の内容をしっかり覚えておく」→「選択肢1つ1つと照らし合わせる」→「間違いを2つ消す」という消去法を使うのがおすすめです。
簡単な問題ではもっと直接的な応答が答えになりますが、難しめの問題では消去法が求められるのでぜひ練習しておきましょう。
・わからなくても悩まずサッと答える ― 次の問題の聞き逃しを防ぐ
Part2は短い時間で25問の問題を解いていくパート。たとえ迷う問題があったとしても、悩んでいる間にすぐに次の問題が始まり、音声を聞き逃してしまいます。集中すれば解けたかもしれない問題を聞き逃しで落とすのは非常にもったいないです。
「迷ったらすぐ(A)を選ぶ」というように自分の中でルールを作っておき、次の問題に支障が出ないように素早く解答しましょう。
2. テクニック集
ここでは、正解率向上にさらに直結したテクニックをお伝えします。
ぜひスコアアップに役立ててください。
・最初の文は、疑問詞に注意して聞く!
最初の文章は大半が疑問文です。疑問文の冒頭がWhenなら時間に関する質問、Whereなら場所に関する質問、というように、最初の1語の疑問詞を聞き取れるだけでも、ある程度質問の内容を絞り込むことができます。
どこに注意して聞けばよいかわからないという方は、最初の1語に全神経を集中させて聞きましょう。
・最初の文に使われている単語と似た発音の単語は不正解の可能性大!
不正解の選択肢には、部分的にしか聞き取れなかった人をひっかけるための「罠」が仕掛けられていることが多いです。例を見てみましょう。
How long will it take to fix the copy machine?
(A) About half an hour.
(B) Sure, if my boss agrees.
(C) A cup of coffee, please.
コピー機を直すのにどれくらいの時間がかかりますか。
(A) 約30分です。
(B) もちろんです、上司が同意すれば。
(C) コーヒー1杯ください。
正解は(A)ですが、(C)に注目してください。最初の文で使われているcopy machine「コピー機」のcopyと似た発音のcoffee「コーヒー」が使われています。
これは、最初の文をよく理解できなかった人が、「さっきcoffeeと似た音があったし、きっと(C)は同じようなことを言っているはず」と勘違いすることを狙って作られた誤答です。
もちろん似た音があるからといって絶対に間違いとは限りませんが、迷ったときの判断材料として押さえておきましょう。
・「関連してそうな単語」もひっかけ率高め!
最初の文章に含まれる単語と関連してそうな単語が含まれている選択肢も、同様の「罠」です。具体例を見てみましょう。
When is the digital marketing meeting?
(A) It’s Wednesday morning.
(B) A social media.
(C) In Building D.
デジタルマーケティング会議はいつですか。
(A) 水曜日の朝です。
(B) ソーシャルメディアです。
(C) B棟の中です。
正解は(A)ですが、(B)に注目です。最初の文でmarketing「マーケティング」と言っているのに対し、(B)ではsocial media 「ソーシャルメディア」が登場しています。
これは、「最初の文でマーケティングと言っていたし、関係ありそうなソーシャルメディアの話をしている(B)がきっと正解だろう」と当てずっぽうで推測してしまった人への罠です。誤答のひっかけにはこうしたタイプもあることを念頭に置いておきましょう。
・「わかりません」タイプは正解の可能性が高め
I’m not sure.「わかりません」という答え方は、どんな質問にも使える応答なので、Part2で登場した場合正解になることが多いです。
同様のものに、X should know.「Xさんが知っているはずです」やIt hasn’t been decided yet.「それはまだ未定です」といった答え方もあります。また、A or Bの形で尋ねる質問では、Neither of them.「どちらでもありません」という返しもよく使われます。
このように明言を避けた形での答え方は、とりあえず選んでおくと正解になる可能性が高いので、なるべく覚えておきたい表現です。
・付加疑問文や否定疑問文も、答え方は普通の疑問文と同じ!
付加疑問文とは、The client visit is this week, isn’t it?「クライアントの訪問は今週ですよね?」のように、念押しや確認の意図を込めて文末に否定(もしくは肯定)の表現が使われている文のこと。否定疑問文は、Didn’t you see Mr. Johnson yesterday?「昨日Johnsonさんに会いませんでしたか?」のように否定形から入る疑問文のことです。
普通の疑問文と形が違うため、答え方がとっさにわからないという方も多いですが、実は答え方は一緒。Is the client visit this week?や、Did you see Mr. Johnson yesterday?と尋ねられている場合と同様、「肯定するならYes」「否定するならNo」とシンプルに答えられます。
・疑問詞の質問にYes/Noでは答えられない!
疑問詞とは、5W1HにWhich「どちらを」を加えた(Who, When, Where, Why, What, Which, How)の7語のことです。こうした単語で始まる質問にYes/Noで答えることはできないので、もし選択肢に含まれていればすぐに間違いと判断できます。
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3. おすすめ問題集
せっかくテクニックを覚えても、使う練習をしなければ本番でうまく活用できません。たくさんの問題を解く練習をして、スムーズに解答できるようにしておきましょう!
引用:https://www.ask-books.com/978-4-86639-142-7/
Part2の練習におすすめなのは『TOEIC L&Rテスト Part 2 応答問題 でる600問』(アスク出版)。
問題タイプ別に分かれた練習問題378問と模試10回分250問、合計628問という大ボリュームで、Part2の様々な出題パターンを隅々まで網羅できます。この本をこなせば、Part2に関してはもはや敵なしです。
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4. まとめ
今回は、TOEICのPart2の特徴と攻略法について解説しました。難化傾向が続いているとはいえ、しっかり攻略法を身に付ければ得点源にしやすいパートです。
この記事を参考に練習を積み重ねて、ハイスコアを目指しましょう!