英語を勉強し始めたばかりの初心者にとって、TOEIC Listening
& Reading Test(以下TOEIC)はかなりレベルが高く感じるもの。どんな方法で対策すればいいのかは悩みどころです。
「就活のために資格としてTOEICスコアが欲しいけど、攻略法がわからない…」という大学生の方なども多いはず。
TOEICでは、どのレベルの人も同じ問題を解くので、覚えるべき単語やフレーズの範囲が膨大です。また、リスニングもリーディングも出題される中で、長文読解力、単語力など様々なスキルが求められるので、初心者は何から手をつけていいのか悩みがちです。
おすすめしたいのは、TOEICの少し前からTOEIC対策法を学びつつ、より長期的な英語力アップの方法としての学習を普段から行うことの2つです。
後者はTOEIC受験に限らず、「海外旅行中、英語で会話ができるようになりたい」とか「ビジネス英語を上達させたい」とか、少し先の目標を意識した学習です。
それによって培った英語力を、直近のTOEICを意識した短期的な勉強によって試験での得点力に繋げるのです。
こうすると、結果的に得点につながりつつも、TOEIC対策に偏りすぎない、使える英語を身に付けることができますよ。
Contents
1. TOEICの得点につながる、短期の対策と長期の対策を
効率よくTOEICの得点を上げたいなら、ひたすらリスニングや文法・長文問題集を解いて、単語集を丸暗記すればいいのでは? と考えている人が意外と少なくありません。
特に英語の学び直しを始めた30代以上の社会人は、高校受験、大学受験のイメージでTOEIC対策や英語学習を捉えてそのように考えがちかもしれません。
この方法は、短期的にTOEICの対策をするなら悪くない方法です。
しかし、この方法だけではそのうち、「頑張って勉強しているのに点数が上がらない!」という壁にぶつかります。
1-1. 短期の対策だけでは不十分
TOEICが試験対策や受験テクニックによって点数を稼ぎやすい試験であることは確かです。
とはいえ、TOEICが英語の試験である以上、「TOEICスコア=英語力×試験対策」というのは絶対的な事実です。
つまり、英語力そのものを高めるための勉強をせずにTOEICに特化した学習ばかりしていても、逆にTOEICと関係のない英語学習ばかりをしていても、TOEICのスコアは伸び悩むということです。
長期的な視点で英語力を育てるための、直接TOEICとは関係ない英語学習もバランスよく取り込みましょう。
1-2. TOEICの先を見据える
TOEIC Listening & Reading Testは、その名の通り、リスニングとリーディングのみの試験です。試験対策に特化した勉強しかしなければ、スピーキングやライティングがおろそかになってしまいますね。
しかし、実際に英語を使う場面では、「聞く・話す・読む・書く」の4つは複雑に絡み合っていることがほとんど。
TOEICは多くの企業、団体で就職や昇進の際の基準として活用されていますが、それは、実際のビジネスシーンで使える英語力のある人材が欲しいから。
TOEICが高いからと採用されたのに、ライティングやスピーキングができず期待を裏切ってしまった、といったことになるのは避けたいですよね。
リスニングとリーディングだけの、TOEICのための勉強ももちろんスコアのためには必要ではありますが、学習のバランスはやはり大切です。
英語力全般を高めることを目標にしましょう。
ここからは、TOEIC直前の試験対策と、普段の英語学習それぞれにおすすめな方法を紹介していきます。
2. TOEIC1か月前~2週間前、短期での勉強法
TOEICの直前対策は最短でいつから始めれば間に合うか不安、という方がいるかもしれません。
しかし、個人の英語のレベルや過去のTOEIC受験経験によって必要な準備期間は異なるといえます。
早めに対策を始めるに越したことはないのですが、目安として、過去の受験回数が5回未満であれば、どれだけ遅くても1か月前には勉強を開始しましょう。
TOEICは試験慣れの重要性が大きいです。何度も受けているとだんだんコツが分かってくる反面、慣れるまでの間はよりたくさん対策が必要とも言えます。
2-1. 問題構成と出題傾向に慣れる
まずは、TOEICの問題の構成を知っておきましょう。
リスニングは45分で100問、リーディングは75分で100問解くような構成になっています。
どんな形式の問題なのかは、試験中に音声で読み上げられたり冊子に載っていたりしますが、それを確認する時間はハッキリ言ってもったいないです。試験形式を事前に把握しておけば、その時間は、問題の具体的な内容の確認に充てられるからです。
どのパートにどのような問題が出題されるか、事前に十分理解しておくことが必須です。
TOEICの公式ホームページにサンプル問題が公開されていますので、まずはPart1からPart7まで、全Partのサンプル問題を一通り解いて形式を掴んでおきましょう。
とはいえ、これはサンプル問題なので、あまり量はありません。次は、実際の試験がどのようなものか知るために模試を解きましょう。
そこで、おすすめしたいのは『公式 TOEIC® Listening & Reading 問題集』シリーズです。
本番と同じ形式で受験できるテスト2回分が入っていて、音声は公式スピーカーによるものなので、発音も確認しながら勉強できます。また、本番のテストを制作する機関が作った問題ですから、出題傾向や難易度も本番そっくりです。
特にTOEICの受験回数が少ない人には、実際の試験に慣れるために手に入れてほしい教材です。
1か月前にまず1つ分模試を解き、2週間前にもう1つを解いてみて、成長を確かめながら解説をしっかり読んで復習するという学習がおすすめです。
TOEICのリーディングはかなり問題数が多いので、初心者には時間内にすべての問題に手を付けることをそれほどおすすめしません。
もちろん受験回数を重ねていくうち、時間内にすべて解き切ることを意識してほしいのですが、最初は、ものすごく時間がかかりそうな難しい問題はあきらめて飛ばし、ある程度時間をかければ正解できそうな問題に時間を残すということを意識してみてください。
そのためにもパートごとの内容、問題構成を知り、単語、熟語、用法をより多くマスターしておくことが大切です。
2-2. 頻出語彙、表現をマスターする
いくら出題傾向がわかったとしても、単語や英語がまったくわからなければ、正解を導くことはできません。
ひたすら単語帳と向き合って丸暗記する、というような学習法はおすすめしませんが、英単語やその用法を身に付けずして、得点アップは望めないということは明らかです。
では、単語や表現をどのように覚えればいいのでしょうか。
おすすめしたいのは「①正しい音声を聞きながら、②声に出して、③書きながら、④例文とセットで覚える」こと。
音声を聞き、用法や意味を確認。いったん音声を止めて、例文を何度か音読、スムーズに言えるようになったらノートに書くというやり方がもっとも定着しやすいと感じています。
単語帳を見て覚えるやり方と比べて、例文とセットで音声を確認しながら書いたり話したりするので、1単語あたりにかける時間は多いですが、その分記憶に残りやすいので、トータルでは効率のよい方法ではないでしょうか。
もちろん人によって向いている記憶法は違いますから、直前の追い込みに使う方法を普段から探しておきましょう。
単語帳としておすすめしたいのは『TOEIC® Listening & Reading 公式ボキャブラリーブック』です。TOEICで過去に出題された例文とともに単語を覚えられるようになっていて、もちろん音声付き。
ビジネスシーンを想定したTOEICですが、使われている単語は日常英会話でもよく使うものが多く含まれています。TOEIC対策だけでなく英語を学ぶすべての人に役立ちますよ。
3. 毎日少しずつ長く続けたい勉強法
TOEIC対策は毎日やるに越したことはありません。でも、TOEICの得点だけを目標にモチベーションを維持するのはちょっと大変。問題集を毎日解くのも疲れますよね。
そこで、試験直前以外は、TOEICの勉強だけでなく、より広く英語力を身に付けるような意識で、毎日の暮らしに英語を取り入れてみてはいかがでしょうか。
3-1. 英会話学習はTOEIC対策にも役立つ
日常英会話の学習なら、扱うテーマやシチュエーションが自分の日常体験と重なってより身近に感じられ、声に出して練習する時もイメージがわきやすいですよね。
日常英会話とTOEICが無関係かというとそうではありません。先に紹介したように、TOEICによく出る単語やフレーズは日常生活でもよく使います。
日常英会話の教材はたくさんありますが、毎日少しずつ続けるにはNHKのラジオ講座をおすすめします。一日たった15分のレッスンで完結するから取り組みやすいです。
『基礎英語1~3』は中学生レベルの表現を使って英会話力を身に付けられる内容になっていますので、初心者でも安心して使うことができます。
また、NHKゴガクのホームページでは、学習に役立つオンラインコンテンツが多数あります。ラジオ講座を聞き逃しても、1週間いつでもホームページで聞くことができるサービスもあります。
また、英会話学習には、AIと英会話できるアプリ『AI英会話Speak Buddy』もおすすめです。
AIが会話の相手役となり、学習者の発音の正確さを判定してくれます。対人での会話は苦手…という方でも取り組みやすいですよ。
月額1,950円と少々高めですが、英会話スクールに通うことを思えば断然安く、好きな時間に好きなだけ英会話の練習をすることができます。
このように独学でも会話の機会をつくれる機能がついているので、学習のメインツールとして取り入れることもおすすめできます。
実際の会話をイメージしながらトレーニングできますし、日常英会話からビジネス英会話まで幅広く練習できます。
3-2. 英字新聞やニュースサイトから生きた英語表現を学ぶ
もう一つ、生きた英語表現を身近な話題とともに学べるのがニュースサイト。
NHKワールドの公式サイトやアプリでは、国内外のニュースを英語で読むことができます。動画が公開されているニュースもあるので、リスニング力アップにも役立ちます。無料でいくらでも利用できます。
また、Japan Timesのサイトでは、やや長めの記事が多いですが、日本語で普段見聞きしている話題の記事や写真付きの記事が多め。背景知識があれば、ある程度内容を推測して読むことができて読みやすいです。毎日の学習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
初心者におすすめしたいTOEICの勉強法は、短期的な対策と、TOEIC以外の長期的な目標も意識した学習を両方進めること。
受験直前は、TOEICの傾向や出題形式に慣れ、一つでも多くの語彙を身に付けるようにしましょう。
それ以外の時期は、日々の学習として、TOEIC対策に限らず日常英会話の学習や英語の記事を活用した学習がおすすめ。AIによる英会話アプリや英字新聞のWebサイトも独学の強い味方になります。
せっかく英語を勉強するなら、単にTOEIC対策だけをやるのではなく、その先実際に英語を使う場面を見据えた学習がおすすめです。