英会話に苦手意識を持っている英語初心者のあなた、まずは日常英会話から始めてみませんか?
どんなに英語に苦手意識があっても、日常英会話の基本は誰もが中学校までに一通り学習していますから、初心者の方が英会話の勉強を始めるのにはおすすめです。
なぜ英語を話せないかというと、覚えた表現を使う機会、つまり、アウトプットの機会が足りていないからです。例えば、単語帳のような教材を使って表現を覚えても、そのままではリーディングにしか役立ちません。
ただ、基本的な文法や会話表現の型を思い出しながら、英語を使う機会を増やすことで、日常英会話の基本は十分マスターできます。
今回は、独学で教材を使って学習することを前提に、初心者の方におすすめの教材と選び方のポイントをご紹介します。
なぜ初心者向けに独学をおすすめするのでしょうか。
それは、高校卒業以来、英語にふれていない社会人の方は、表現のアウトプットが不足しているだけで、英語の基礎はある程度身に付いているケースがほとんどだからです。
ただ、アウトプットの経験が不足しているので、英会話教室やオンライン英会話を試してもネイティブスピーカーの講師の話す内容が十分聞き取れなかったり、言いたいことが英語で表現できずに、レッスンの大半が表現の解説を聞く時間になってしまい効率よく学習できないことが多いです。
英会話の超基本の部分は実はもう中高の勉強である程度身に付いています。必要なのは型を思い出して、使える表現の幅を広げる練習だけ。その練習には独学がおすすめなのです。
Contents
1. 使いやすくて身に付く英会話教材の特長
おすすめしたい教材の例は後ほどご紹介しますが、今のレベルや好み、これまでの勉強のやり方などを考えると、全員にとって使いやすく効果のある教材というのは残念ながらありません。
でも、初心者の方にはこういう視点で教材を選んでいただくと学習しやすい、というポイントはあります。
教材次第で、「講師や会話の練習相手がいない」、「自分で計画を立てないといけない」、といった独学のマイナス面を補って、逆に、「いつでも好きなだけ声に出して練習できる」、「何度でも間違えられる」といったプラス面を生かした学習ができるようになりますよ。
1-1. 聞くだけではだめ!4技能をフルに使える教材
やはり、英会話にリスニングは必須です。ネイティブスピーカーの発音を聞いてリスニングの練習をするのは、会話で相手の発言を聞き取るのには欠かせません。
ただし、初心者が陥ってしまいがちなのが「聞くだけ」に偏った勉強法。英会話の習得では、スピーキングはもちろん、4技能バランスよく学ぶのが効果的です。4技能の間には相関関係のようなものがあるからです。
音声を聞くことは必ず行っていただきたいのですが、聞くだけで表現をどんどん覚えることができたり、日常会話が上達したりといったことはありません。
聞くことに重点を置いた教材が悪いというわけではなく、そういった教材を使うのであれば、話す・読む・書くこともトレーニングできる教材をプラスする必要があるということです。
とはいえ、学習を始めたばかりの頃は4冊、5冊と本を買ってバランスよく学ぶのは結構大変です。4技能のトレーニングがバランスよくできるような教材を選びましょう。1~2冊の教材を組み合わせるのがおすすめです。
1-2. 独学でも声に出して練習しやすい工夫
もう一つの教材選びのポイントは声に出して練習しやすいかどうか。
独学では講師がいないので、発音や表現を誤って音読していてもその場で直してもらえるわけではありません。
講師がいない以上は、テキストとその音声が頼りですから、音声が英会話学習に適したものになっていることは重要です。
音声の後にポーズがとってあって、発音を確認してから自分でも話す練習ができるような英会話教材が使いやすいです。
また、独学では会話の状況を想像しにくいので、状況設定が掴みやすいようなイラストや、親しみやすいスト―リーがついていたりすることもポイントです。
状況を想像しながら声に出し、テキストの登場人物になりきって練習するのが上達の秘訣です。
2. 英会話は型とフレーズを使いこなせるかで決まる
日常英会話に必要な文の型、パターンはさほど多くありません。基本の型は大部分が中学校までに習う基礎の範囲でカバーできます。学生時代以来全く英語をやっていないという大人の方でも、基礎の知識ならそれなりには残っているはずです。
英会話の上達には文法を学ぶというよりも、「型を身に付ける」という意識が大切です。文章の型を身に付け、その型に自分の言いたいことを表現するためのフレーズや単語を当てはめて文章を作って話します。
2-1. 英会話は限られた型とたくさんのフレーズ・単語で成り立っている
英会話上達のカギは文章の型と、状況に応じて使えるフレーズをできるだけたくさん身に付けること。
文章の型とは、挨拶、お願いする、質問する、意見を言う、提案するといったときによく使う言い回しのパターンです。
例えば、何かを提案するとき親しい間柄であればWon’t you ~?をよく使います。一般的でもう少し丁寧な表現にはWould you like to ~?もよく使いますね。「~しましょうか」「~しませんか」といったニュアンスです。
ここで「なるほど、提案する時の表現はWon’t you ~?なのか」と覚えるのは入試対策ならよいかもしれませんが、英会話の学習では不十分です。
Won’t you ~?の型を覚えつつ、フレーズや単語を当てはめて、身近な状況での会話表現として声に出していく練習が大切です。
例えば次のような例文はいかがでしょう。
Won’t you come over to my house and have dinner with my family?
(うちに来て家族と一緒に夕食にしない?)
come overは「やってくる」「立ち寄る」といった意味で使われます。have dinnerは「夕食をとる」の意味ですが、夕食に限らず何か食事をするときにはeatよりもhaveのほうがよく使います。
Won’t you ~?の型にcome overなどの表現を当てはめていくわけです。
また、英会話の練習では「対話」を意識することも大切。上の「うちに来て家族と一緒に夕食にしない?」の文では、それを言われた場合に次どう返すかまで想定して一連のやりとりとして練習するともっと効果的です。
「覚える表現が多くなるのでは?」と思うかもしれませんが、会話の文脈のあるもので学ぶ方が、独立した一つの文だけで学ぶよりも記憶にのこりやすく勉強しやすいです。
例えば、先ほどの文にセットで次のような表現を身に付けられると英会話がさらにどんどん上達します。
That sounds great. I’m free tonight.
(いいね。今夜はあいてるよ)
I’ll get off work at five. I can go straight home to pick up some wine or beer and meet you around six.
(5時に仕事が終わるんだ。まっすぐ家に帰ってワインかビールを持って6時頃に会いに行くね)
2つめの返答は英文が長くなり難しく感じるかもしれませんが、get off work at five(5時に仕事を上がる)とか、go straight home(まっすぐ家に帰る)とか、便利な表現がたくさん含まれているので、マスターしてしまえば一部だけでも活用できますよね。
このように、英会話を学ぶには型をマスターしながら、その型にフレーズをあてはめていく練習を繰り返すことです。その際、状況が前後の会話から想像しやすい文章を使うことも上達の鍵です。
3. 初心者におすすめの教材
続いて、具体的に教材をご紹介していきます。選んだポイントは4技能を伸ばしつつ型を自然と身に付けられること、そして、フレーズや単語を無理なく増やせること、この2点です。
書店やAmazonなどのサイトで販売されている紙媒体の教材だけでなく、アプリもご紹介します。
3-1. 話すための「型」が身に付く教材
初心者には、対話形式で声に出して練習しやすいテキストを学習の中心にすることをおすすめします。
市販の英会話の表現集は表現を知る上では役に立ちますが、文脈の乏しい文章を単発で一文ずつ声に出すことになるので、会話のイメージがわきにくく、文の型に関しても解説が不十分なため定着しにくいものが多いので注意が必要です。
では、おすすめの教材をいくつかご紹介します。
NHKラジオ講座 基礎英語3
引用:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000005163052020.html
NHKラジオ講座で使われているテキストの一つです。中学校までの文法を振り返りながらも、それを使って発信することに重きを置いた内容です。対話形式で比較的一文あたりが短く、声に出しやすいです。
一冊で文の型についての解説、単語やフレーズの意味まで掲載されているので、自分で調べる手間がほとんどなく、会話の練習に集中できます。身に付けた表現を書いて、自分で文をつくる練習もありますよ。
ほかにも一週間の中でリーディングをメインに学習する曜日が決まっていて、会話の練習を中心にしながらも、ほかの4技能をバランスよく鍛えられる内容です。
一日たった15分のレッスンなので初心者でも無理なく継続できます。
NHKラジオ講座 ラジオ英会話
引用:https://www.nhk-book.co.jp/detail/text-09137-2020.html
これも同様のラジオ講座のテキストです。文法は苦手、と思っている方も、中学校の英文法なら一通りわかっているはず、と思う方も、目から鱗の解説にきっと英語の見方が変わると思います。
日本語の訳に頼ることなく、イラストを用いたイメージで文の型を理解できるようになります。表現のニュアンスや、ネイティブスピーカーがどういう状況でその文法を使うのかがイメージしやすく、非常にわかりやすいです。
声に出すトレーニングが中心ですが、声に出しながら書いてみるといった学習もしやすい内容で、ライティングにも役立ちます。連載記事も英語学習のモチベーションを高めてくれます。
音声はラジオだけでなく、インターネットでもNHKゴガクのHPから1週間いつでも聞くことができます。また、有料で音声をダウンロードすることもできます。
3-2. フレーズ・単語が身に付く意外な学習コンテンツ
キクタン英会話【初級編】(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7014047/
単語の勉強はしているのに、英会話で相手の言っていることが聞き取れないといった悩みを抱えている方は、単語単体では知っているけど、使いこなせていない、ということが多いです。
人気のキクタンシリーズから出たこの教材は、一般的な英会話で使うフレーズを厳選。一部難しい単語も含まれますが、「よく使う」ことに焦点を絞って紹介されているので身に付けて損はありません。これまで単語をフレーズごとではなく単体で覚えてきたという方にはおすすめしたい教材です。
同じシリーズの『キクタン英会話【基礎編】』では、中学英語で学ぶ単語1000語に絞ってその中からよく使うフレーズ160を集めています。まずは中学レベルの語彙を固めたいという方には基礎編をおすすめします。
Basic English for Beginners(アプリ・無料)
引用:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.talkenglish.beginner&hl=en_US
英語のアプリですが、英単語の意味をイメージで覚えられるようにできているのが特徴。単語の意味を日本語で覚えるのではなく、イメージをインプットするという学習法です。
似たような方法で単語を覚えられる市販の教材もありますが、このアプリなら無料。ゲーム感覚で画面を見ながら単語のイメージをインプットできます。
また、ちょっとしたストーリーを動画で見て、使われている単語やフレーズのチェック、理解度チェックができるようになっています。すべて英語ですので最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れてきたらこちらの機能もお試しください。
まとめ
中学校までの英文法から文の「型」をもう一度学び直し、フレーズをできるだけたくさん身に付けることで、初心者でも無理なく日常英会話ができるようになります。
ご紹介した教材のように、対話形式で実際の会話をイメージしやすいテキストを用いながら、文の型を身に付けましょう。そして、そこに覚えたフレーズなどを当てはめて話せるようにしていきましょう。
また、フレーズ学習にはアプリも便利で、日本語の訳に頼らず、意味をイラストや動画でイメージを掴めるものもおすすめです。
日常英会話の基礎は初心者でも気軽に学習ができますので頑張りましょう。