日本語と英語は、文法や品詞の種類など様々な面で性質が大きく異なる言語ですが、「語順の違い」もその一つといえるでしょう。
私たちは日本語のネイティブですから、英文を書いたり話したりする際にもうっかり日本語の語順でアウトプットしてしまいがち。
しかしそれでは全く別の意味に受け取られてしまいます。
また、英語を読んだり聞いたりする際も、語順が分かっていないと支障が出てしまいます。
英語を上達させるうえで、英語の語順をしっかり自分の中に定着させておくことは必須なのです。
この記事では、まず英語の語順の特徴を詳しく確認し、それから正しい語順を身に付けるメリットや、そのためのコツやトレーニング法をご紹介します。
正しい語順を身に付けて、効率よく英語学習を進めていきましょう。
Contents
1. 英語と日本語の語順の違い
英語の語順の大きな特徴は、基本的に「主語→動詞(→目的語)」という順番で文が作られることです。
日本語では「私は英語を勉強する」でも「英語を私は勉強する」でも同じ意味ですが、英語では”I study English.”の語順にしかなりません。
もし”English study me.”としてしまうと、「英語が私を勉強する」というおかしな意味になってしまいます。
日本語では、「『は』は直前の語が主語であることを表し、『を』は対象を表す」というように助詞(「は」や「を」などのこと)を使って関係性を示します。
これに対して、英語では「最初に来た名詞が主語」、「動詞の後ろがその動詞の対象(目的語)」というように、単語の並び方、つまり語順によって関係性を示します。
このように、英語は語順によって内容が決まる言語で、語順を間違えると意味が全く逆になってしまうこともあります。だからこそ、英語学習は語順が大事というわけです。
1.1 一番大切な違い:動詞の位置
とはいえ、語順と聞いてもなんだか難しい印象を受けてしまうかもしれません。
中学高校で習ったSVOCなどの「五文型」は英語の語順のパターンを分類したものですが、英語への苦手意識を持つ人が増える原因にもなってしまっています。
もう少し簡単に考えて、まずは一番大切な「動詞の位置」を押さえるようにしましょう。
語順の基本は「主語→動詞」。その後ろにさらに、動詞の目的語が来たり、主語や目的語の状態を説明する言葉(補語)が来たり…といろいろなパターンがありますが、根底にある「主語→動詞」の流れは変わりません。
日本語では語順が自由とはいえ、「主語→目的語→動詞」となることが比較的多く、英語とは異なりますね。
「英語では動詞が目的語より先!」という1点だけでも覚えておけば、正しい語順を身に付けるための第一歩として十分です。
1.2 英語を前から順に理解していくことが大事
さて、英語のネイティブは、どのような感覚で英文を理解しているのでしょうか。
少し難しめですが、I was reading a novel when my mother came home.(母が家に帰ってきたとき、私は小説を読んでいた)という例文を見てみましょう。
まず、I was readingの時点で、「何かを読んでいる私」をイメージし、続くa novelでそれが「小説」だと分かります。
次にwhenが来ると、「そのときに何かが起きたんだな」と身構えます。そしてmy motherで母親の姿のイメージが出てきて、came home.で「帰ってきたんだな」と納得して一文が終わります。
英文の左から右へと読み進めるにしたがって、頭の中のイメージが次々に変化していき、最終的に「読書中に母が帰ってきた」という一場面として完成することがお分かりいただけたでしょうか。
このようにイメージをリアルタイムに前から展開させていくのが英語であり、理解するときも前から順にイメージしていくことがポイントです。
1.3 日本語の語順だと理解に時間がかかる
ところが、日本の英語教育では、これを「母が家に帰ってきたとき、私は小説を読んでいた」といったん和訳してから理解しようとする読み方が一般的です。
情報が出てくる順番が逆になってしまっているので、一文の最後まで読まないと文章の要点(私が読書していたこと)がイメージできませんよね。また、単純に「英文を日本語に翻訳する」という作業にも時間がかかります。
英文を英語の語順のまま読もうとせず、日本語の語順に当てはめようとしているぶん、「英文を読んで理解し、イメージする」という一番大切な工程が遅れてしまうのです。
2. 正しい英語の語順を身に付けるメリット
ここまで「英語の語順」の特徴について説明してきましたが、正しい英語の語順が身に付いたら一体どんなメリットがあるのか、以下で詳しく確認しておきましょう。
2.1. 返り読みをしなくなり、素早く読める
先ほど見たような、英語を日本語の語順に直す読み方を返り読みといいます。
英語の語順のまま読んでいくことをマスターできれば、返り読みによる問題も解決して、素早く英文を読めるようになります。
中学生・高校生の人は、高校受験、大学受験では英語の読解力が重要になりますから、今のうちからコツをつかんでおきたいところです。
また就活や仕事でTOEICのスコアアップが必要な人も、英文を素早く読めることは、時間制限の厳しいリーディングセクションを攻略するために重要になります。
2.2. リスニングで長い文章に対応できる
語順通りに英文を理解できるようになれば、リスニングにももちろん役立ちます。
リーディングでは返り読みをしながら読んでも一応理解はできますが、リスニングでは音声は待ってくれません。
特に、先ほどのI was reading a novel when my mother came home.のような少し複雑な文章が読み上げられたときは、聞き取った英文から順にイメージを展開していけるかどうかがとても重要です。
一文の最後まで聞いてからじゃないと理解できないという状態では、一文が終わるころには初めの方に何を話していたか忘れてしまいます。
2.3. 英会話でも素早く文章を作れる
ここまでは英語をインプットするときのメリットでしたが、アウトプットにも、特に英語を話すときにかなり役立ちます。
英会話ではその場で素早く返事することが必要ですが、英語の語順が身についていると、アウトプットする際にもスピーディに英文を作れるようになります。
また、始めに確認したように、英語は語順で意味が決まる言語です。正しい語順で話すことで、自分の意思を正確に相手に伝えることができます。
3. おすすめのコツとトレーニング法
英語の語順の習得が英語力全般の向上に役立つことを理解していただけたでしょうか。
それでは、ここで英語の語順を身に付けるためのコツと、トレーニングの方法をご紹介します。
3.1. 英語を日本語ではなく、直接イメージで覚える
まずは、英文を和訳してから理解しようとするクセを治すことです。
そこで試してみてほしいのが、単語を覚える際に、具体的なイメージで覚えることです。
runやappleを「走る」や「リンゴ」といった日本語の意味で覚えるのではなく、「人や車が走っている映像」や「赤くて丸い果物」のイメージを頭の中に思い浮かべるようにします。
もちろん、philosophy(哲学)など、イメージしづらい抽象的な単語もたくさんありますから、できる範囲でかまいません。
少しずつ、日本語に直さなくても意味が分かる単語を増やしていきましょう。
単語から直接イメージを作れるようになれば、文章を読むときにも自然と直接イメージから理解できるようになるでしょう。
3.2. スラッシュリーディング
日本語の語順に影響されて返り読みをしていると、いつまでたっても英語の語順通りには理解できません。そこで、前から順に理解できるようになるトレーニング「スラッシュリーディング」がおすすめです。
スラッシュリーディングとは、下の例のように英文にスラッシュ( / )を入れて区切り、一区切りごとに前から意味を把握していくことで、語順通りに読める状態を目指す読み方です。英語の語順を身に付けるための方法として効果的なトレーニング法です。
I was reading / a novel / when / my mother / came home.
私は読んでいた/小説を/その時/母が/家に帰ってきた。
始めは前から訳していくことで順番に理解し、最終的には訳さずに英語のまま読んでいける状態を目指します。
ただし、「スラッシュをどこに入れるか?」を自分で決めるのは難しいので、独学でやる場合はスラッシュリーディング用に作られた専用の教材を使うのがおすすめです。
3.3. 多読・多聴
「英語力を伸ばすには、とにかく英文をたくさん読んで、たくさん聞くこと!」とよく言われています。ネイティブが母国語を使えるようになるのは、常にその言語を見聞きして育ってきたからなので、理にかなった考え方ですね。
英語から直接イメージすることや、スラッシュリーディングで前から読んでいくことに慣れてきたら、たくさん英文を読んでその技術を盤石なものにしていきましょう。さらに慣れてきたら多聴も始めて、リスニング力も伸ばします。
多読・多聴用の素材として、英語学習者向けに簡単な英文で書かれた小説や、その朗読音声がたくさん販売されています。
自分の好きなジャンルのものを使えば、楽しく学習を進められるのでおすすめです。
最近では、電子書籍版があったり、音声がダウンロード販売されていたりするので、スマホ1台あれば取り組めますよ。
まとめ
英語の語順は日本語とは異なるので、まずは英語特有の語順に慣れることが、英語学習の基本です。
そうすることによって、ネイティブと同じプロセスでスラスラと英語を理解できるようになります。
「英語の語順を身に付けるおすすめの教材はないの?」と気になっている方は、ぜひ英会話教材「バイリンガリズム」をお試しください。
スラッシュリーディングを使って英文を前から理解しつつ、音声を使った学習を重点的に行ってリスニング力も伸ばしていける教材で、英語の語順を身に付けるのにピッタリです。
日常生活でよく使う英語フレーズをたくさん学べて、とっさに使えるようになるので、英会話力もどんどん伸びます。
さらに『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』(学研教育出版)などで有名な山田暢彦(NOBU)先生による、わかりやすい解説動画付き。英語フレーズの解説や発音の注意点など、聞くとき・話すときのポイントも丁寧に学ぶことができます。
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