「大学受験に向けて英語の勉強を始めたけど、結局何から手を付ければいいのかわからない」
「とりあえず単語と文法をやっているけど偏差値が全然伸びない」
こんな風に、効果的な勉強法を知らない大学受験生はたくさんいらっしゃいます。
そんな悩みを抱えている人でも、実は英語の基本性質さえ理解して、それに基づいた学習をすることで、面白いほど簡単に成績は上がっていきます。
この記事では、20年間英語学習教材制作を多数手がけてきた弊社が、英語学習の基本方針から具体的な勉強方法まで、大学受験英語の基礎の基礎を徹底解説します。
まずは、大学受験英語の本質を見抜くことから始めていきましょう。
Contents
1. 大学受験英語の本質を見抜く
英語力というのは一般的に4つの技能で構成されています。
①リスニング
②リーディング
③スピーキング
④ライティング
この4つのうち、大学受験の英語で最も重視されているものは何でしょうか?
答えはリーディングです。現在のセンター試験の英語の配点を見ても、筆記が200点満点なのに対してリスニングが50点満点ということから、リーディングを重視していることが読み取れますね。
ただ、2020年度の大学入試制度改革を期に、リーディングに偏重した入試制度から、4技能をバランスよく評価しようという流れに、大学受験英語の動向は大きく変化してきています。 2020年度から新たに始まるセンター試験の後継である大学入学共通テストではリーディング、リスニング各100点の200点満点に配点が変更となることが正式に決まっています。
しかし、リーディングがもっとも重要なスキルであるという事は依然として変わりません。
なぜかというと、リーディングを除いた3技能全ての基礎力を担うのはリーディング力だからです。
これはある意味当然のことを言っています。読めない英語は、聞き取れませんし、話せませんし、書くこともできませんよね。リーディングができるかできないかが、英語力全体を測る際の指標となります。「センター試験がなくなり、大学入試改革で、リーディングの点数配分が少なくなったから、長文読解の勉強量は少なくしても良い」というのは全くの誤解なので注意しましょう。
以上のことからわかることは、英語の受験勉強を始めたばかりの学習者の方は、基礎の基礎からみっちりとリーディングの練習をしていくことで、英語力全体を大きく伸ばすことができるということです。
※「小学生のころから英会話スクールでネイティブとマンツーマンでみっちりスピーキングを鍛えてきました!」というような人はすでに語順に慣れているため、リーディング以外の技能の訓練を進めるべきですが、そういう人でもない限り、普通の純日本人で中学生以上の人が英語力を伸ばすためには、まずはリーディングからです。
2. リーディング力を軸とした大学受験英語の対策方法
ここまではリーディングの重要性について語ってきましたが、ここからはどういう手順で学習を進めていけばよいかを解説していきます。
リーディング力を構成する2大要素が何かご存じでしょうか。
リーディング力=文法力×単語力
※厳密には構文把握の力や背景知識の有無などもリーディング力に大きく影響しますが、最たるものとして文法力と単語力を取り上げています
これが意味するところは、英文というのは文法というルールに則って単語が並び変わっているだけであるという事です。
つまり、リーディング力を構成する2大要素を鑑みるに、英語学習の基本ステップは下記の3ステップにまとめられます。
①文法の習得→②単語の習得→③長文読解の練習
もちろん、このステップに従わなくても英語を習得される方は多くいらっしゃいますが、純日本人が学校教育の中で、最も効率よく英語力を上げていく方法はこのステップに従う事です。 文法と単語の勉強を省略していきなり長文が読めるなんてことはあり得ないと考えてください。数学で例えるならば、四則演算ができないのに因数分解が得意になることはないという事です。
それではこのステップに沿った学習法を早速見ていきましょう。
3. 文法勉強法&おすすめ文法書・問題集
リーディング力=文法力×単語力
ということを先ほど述べましたね。ただ、「長文なんて単語の意味さえ分かれば読める」そう思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
この例文を見てみましょう。
A friend who I believed would help me didn’t come out.
上の文章は全て中学校英語で習うレベルの簡単な単語で構成されていますね。ただ、正確に読み解くには、それなりの文法知識が必要です。
関係代名詞whoの後ろに主語→動詞1→動詞2と続いています。この形を見たときに動詞1と動詞2のあいだの主語が先行詞(a friend)として前に来ているんだなと判断できなくてはなりません。a friendからmeまでが大きな主語で、述語動詞(文に一つだけのメインの動詞)がdidn’t come outです。
全体を通して訳すと、「私を助けてくれるだろうと(私が)信じていた友人は、現れなかった。」という意味になります。
この例文を通して、伝えたいことは、単語だけを知っていても、文法がわからなければ、単語の意味をなんとなく勘でつなぎ合わせただけの日本語訳になってしまうということです。
つまり、単語の知識だけでは英語は読めるようになりません。また、大学受験の英語においては、英文和訳の問題などは必ず何らかの文法知識の有無を問うています。単語の意味だけを知っていても解ける問題はまず出題されません。
ここまで言われると、文法の勉強の必要性もそろそろ実感してくるのではないでしょうか。
それでは、どうやって文法を勉強していけばよいのかを、ここからは見ていきます。 おすすめは文法書で一通り必要な文法事項を確認したのちに、文法問題集で知識のアウトプットをすることです。
おすすめの文法本
『1億人の英文法』(東進ブックス)
引用:http://www.toshin.com/books/archives/2013/03/post_210.html
一般的に文法書は学習者が勉強に行き詰ったときに立ち返る、文法の辞書的な位置づけにあると考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、この本は、ある程度のボリューム(大学受験に対応するためのセンター試験基礎レベル)を網羅しながらも、説明に難解な用語を使用することなく、学習者のためにかみ砕いた説明と例文を使用しています。これは、「英語を話すための英文法書」と言うコンセプトで制作されていることが理由です。英語を読んだり話したりする際に使える文法事項のみを解説しており、読み物として、頭から最後まで一気に読み進めることができます。
これを読むと、日本語と英語の言語としての意識の持ち方の違いが明確になるため、英語が非常に読みやすくなります。この本を一読したら、文法問題集をたくさん解くことでスムーズに知識を頭の中で整理することができるでしょう。
おすすめの文法問題集
『英文法レベル別問題集』(東進ブックス)
引用:http://www.toshin.com/books/archives/2007/03/post_81.html
『全解説実力判定英文法ファイナル問題集』(桐原書店)
引用:https://www.kirihara.co.jp/product/detail/770005/
上記2つの問題集は非常に丁寧な解答解説があり、無理なく多くの問題を練習することに適した参考書です。「英文法レベル別問題集」は6段階にレベル分けされており、中学レベルからセンター試験レベル、難関国立大学の2次試験まで対策できるほど幅広く展開されています。レベル別文法問題集で文法項目別に基本問題を解いた後は、試験対策として、文法事項がランダムで出題されている、「全解説実力判定英文法ファイナル問題集」で実力チェックしてみましょう。
4. 英単語勉強法&おすすめ単語帳
次は単語の勉強法について解説していきます。
単語の勉強法について、まず皆さんに共有しておきたいことは「単語は1度で暗記しようとしない」という事です。
熟語の暗記についても同様です。
学校の単語テストの際に、「数十個の単語を直前に詰め込んで覚えたけど、翌日にはもうほとんど覚えていない」なんて経験をしたことはないでしょうか。
詰め込みで覚えたものは、長期記憶としては非常に定着しにくいです。何十回も英単語を書き取ってその場では覚えていても、数時間後、下手すれば数十分後には忘れてしまいます。
このような学習を続けている方は、大きく学習時間を損しているかもしれません。「その場の単語テストだけができればよい」というのが本来の目的ではありませんよね。「単語テストを通して単語を長期記憶として定着させて、英語を得意科目にして、入試合格につなげる」そして「本物の単語力、英語力を獲得して将来に活かす」これが本来の目的です。
ではいかにして、単語を長期記憶にとどめるのでしょうか。
英単語帳は最低6周、目標10周
6周という数字を聞いて「そんなにできるわけがない!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう思った方はまだ、「単語を1度で覚えようとする」という意識をまだ捨てきれていないのかもしれません。
単語帳の取り組み方の基本は、「まずは適当に1周分読んでみる」ことからスタートします。1周に対するハードルをなるべく下げて考えてみましょう。そう考えると6周はそんなにきつい数字ではなく感じてくるかと思います。
私の学習経験から断言できることは、全力で単語集を1,2周するよりも、適当になんとなく単語集を10周したほうが効果的だという事です。
これには2つ理由があります。
①適当にやったほうが精神的に楽である
適当に流しながら勉強するほうが、苦しみながら勉強するよりも精神的に楽ですよね。そのほうが英語の勉強への意欲も長続きします 。私は他の科目の勉強の息抜きに単語を良く勉強していました。
②英語の処理には瞬発力が必要である
単語集を何周もしようと思ったら、1つの単語に何分もかけていられませんよね。1つの単語に割いていい時間は目安として10秒程度です。このくらいの速度感で単語を思い出せるように訓練する必要があります。 英語を読むのに瞬発力を鍛えることは必須です。
例えば、リスニング音声中に出てきた単語は、瞬時に意味を思い出せなければ、しばらくして意味が分かったとしても手遅れですよね。
単語集を何周も回していくという発想で学習を進めると、瞬時に思い出せる単語を増やしていく必要が出てきます。この考えの下、学習をすることによって、英単語の意味を瞬時に想起できる瞬発力が身につきます。これが、単語集を何周も回していく最大のメリットになります。
具体的な単語集の使い方
1周目
1周目は基本的に現状知っている単語と知らない単語の仕分け作業だけです。知っている単語(意味が瞬時に思い浮かぶ単語)はもう十分に定着しているので、今後見直す必要はありません。このような単語はマーカーをつけたり、サインペンで塗りつぶしたりするなどして削除していきましょう。
※知っている単語(意味が瞬時に思い浮かぶ単語)の基準は、dogを見て「犬」とすぐに思い付くくらいのレベルです。このくらい瞬時に意味が思い浮かぶほど、単語に習熟している状態であれば削除しても問題ありません。
2周目
2周目は例文などにも目を通し、見たことも聞いたこともないというレベルの単語を無くしていく作業です。2周目でもまだ覚えようという意識を持つ必要はありません。
3周目
3周目も2周目と同じように再度見たことも聞いたこともない単語がないか確認する程度の感覚で進めていきます。
4周目
4周目からようやく赤シートなどを使って、意味を隠しながら学習を進めていきます。思い出そうとする過程で人間は記憶を定着させていくため、赤シートで意味を隠す勉強は非常に重要です。この際の注意点としてもやはり、1単語10秒以内で進めていくようにしましょう。
5周目以降
5周目以降は4周目にしたことをひたすら繰り返していきます。
※2周目以降は音声を聞きながらの学習も意識しましょう 。これはただ単にリスニング対策としても、もちろん役立ちますが、音声を聞きながらの学習の方が、暗記効率が高まるからです
これが単語勉強法の一連の流れですが、いかがでしょうか。意味を隠しながらの学習を始める前に、すでに3周も単語集を回していれば、4周目の時点では覚えている単語もかなり増えだしていると思いませんか。これを10周分もやれば、苦しい思いもせずに単語を覚えられると感じるはずです。
最後にアドバイスとして、6~10周する上でのポイントは「ダラダラやらない」という事をお伝えしておきます。理想は2か月、長くても半年以内に6~10周を進めてください。このペースでやらなければ、覚えた単語も新しい単語を覚えている最中にどんどん忘れていってしまい、「気が付いたら何も覚えていない」みたいな状況になりかねません。
また、6~10周単語集を回してある程度単語が定着したとしても、月に1度か2度は単語集を1周回して復習する機会を作ると更に記憶が強固になりますよ。
※ここで紹介した単語勉強法はあくまで一例です。自分にあった勉強法を模索してみましょう。
単語学習に一工夫加えてみる
ここまでは単語の具体的な勉強法を解説してきましたが、ただでさえ単調な作業になりがちな英単語の暗記。これを6~10周しなさいと言われても、どこかで飽きてきてしまいそうですよね。ここからは、そういったときの対処方法を紹介していきます。
①単語の意味を表す絵を、単語帳に書き込んでみる
視覚情報が加わると、途端に記憶に定着しやすくなります。また、絵を描いたという過程を関連付けて、単語の意味を覚えられることもあります。絵が苦手な方は単語をgoogle画像検索で調べてみると絵を描くときのヒントになりますよ。
②オリジナル例文を作ってみる
既存の単語集に出ている例文って、内容が堅くて高校生にはわかりにくかったりしますよね。そんな時はオリジナル例文を作ってみると記憶が定着しやすくなります。
例えば、reject「~を拒否する」という単語を覚えたいとします。
「なんで僕はこんなに女の子に振られるの?」
のように自分なりに覚えやすい例文を考えてみましょう。内容はなんでも構いません。どんなにくだらない例文でもいいので覚えやすさを最重視した文を作ってみましょう。
また、例文はあくまで単語の意味を覚えるためのものなので、「文法的に間違っていないか、不自然な言い回しになっていないか」はあまり考え過ぎる必要はありません。
この勉強習慣があると、気づいたころには英作文力もついているのでおすすめです。
③スキマ時間は(必ず)音声学習
1日の中で毎日決まったルーティンワークがあると思います。その中に単語の勉強の時間を組み込めると、格段に単語の定着スピードは上がります。
例えば、学校に行くまでの電車の中で単語を聞く、お風呂に入っているときは単語を聞く、寝る前の5分は単語を聞くなど、毎日の生活の中で必ず単語を聞くタイミングを作るようにしましょう。
勉強の習慣化は英語上達の定石です。
それではここからは私のおすすめの単語帳を紹介していきます。
おすすめの単語帳
『ターゲット1900』(旺文社)
引用:https://www.obunsha.co.jp/product/detail/033917
構成がシンプルで、サイズも持ちやすく、アプリで音声を聞けることから、非常に使いやすい1冊となっております。実際に過去の入試ででた文章を例文として使用しており、入試にでないようなレベルの単語はほとんど含まれていません。受験英単語帳の鉄板です。
『ドラゴンイングリッシュ』(講談社)
引用:http://bookclub.kodansha.co.jp/title?code=1000009259
他に類を見ない豊富な解説を、全ての単語に対して掲載しています。総掲載数1000単語とそこまで多くはありませんが、1冊分定着させたときには1000単語以上の豊富な単語知識が身についているでしょう。
5. 長文読解対策の方法&おすすめ問題集
さて、単語と文法の勉強をある程度すすめたら、いよいよ長文読解演習です。
※文法の勉強が完璧になるまで長文には挑戦しないという方がたまにいらっしゃいます。大学受験英語の文法問題には、長文にはでない、文法問題専用の知識もたくさん含まれています。長文を読むのに必要な基礎文法と、そうではない文法問題専用の難解な文法事項があることを認識して、早めのうちに長文問題に取り組みましょう。
教材は学校の教科書や志望大学の過去問などでも構いませんが、できるだけ音声付きのものが望ましいです。特に受験勉強を始めたばかりの方は、音声を使った学習は必須だと考えましょう。
それでは、具体的な学習ステップ3つを解説していきます。
step1.まずは問題を解いてみる
まずは自分の力で問題を解いてみることから始めましょう。自力で解くことで現状の自分がわかることとわからないこと、できることとできないことを仕分けしていく。これが勉強の基本中の基本です。
step2.精読して理解度を100%にする
問題を解き終えたら答え合わせをして終わりではありません。本文の理解度を100%にすることを目標に英文を読み解いていきます。
その際に行うのが精読です。精読とはそれぞれの英文に対して文の要素(SVOCM)を確定させながら読み進めていくことです。違う言い方をすると、構文を取りながら読み進めるということです。これを行う事で、文の中での主語述語の関係、修飾被修飾の関係を明確化し、理解度を限りなく100%に近づけることができます。
※S→名詞 V→動詞・助動詞+動詞 O→名詞 C→名詞・形容詞 M→副詞
step3.音声を聞きながら音読をする
精読をし終えたら、最後は音読をします。
音読は1つの長文に対して最低10回、目標は20回です。
なぜ理解度を上げきった文章を、何度も読み直す必要があるのでしょうか?
理由は1つ。語順の違いに慣れるためです。
どんなに理解度を高めた英文でも、同じボリュームの日本語の文章を読む時間と比べると、英語を読む方が多く時間がかかってしまいますよね。この現象の理由は日本語と英語の語順の違いにあります。
我々はすでに日本語の語順に慣れすぎているため、どうしても英文を1度読んだだけでは意味が頭の中に入ってきにくくなっています。この違いを認識して、英語の語順のままで英文の意味をすらすら取れるようにならなければいけません。
そして、ここで有用なトレーニングが音読なのです。
音読の効果とは?
音読は声を出しながら英語を読み上げるため、返り読み(文章を読んでいる最中に目線を前後に動かすこと)がしにくくなります。こうすることで、語順のまま意味を取らざるを得なくなります。また、音声を聞きながら音読をすると、更に返り読み防止の効果が促進され、効果的な学習ができます。英文を早く読む力もつき、リスニング対策にも非常に効果を発揮するため、英語の受験対策を始めたばかりの方には、必須の学習法です。
また「センター模試が時間がなくて解き終わらない!」という人ほど音読による学習を徹底して行う事をおすすめします。センター試験は国公立2次試験や、私立大入試と比較して、一般的に英文の難易度は低めに設定されていますが、文量が多いとされています。大量の英文を高速で読み解く力を身につけるには、音読が最も効果的な対策方法になります。
センター試験で時間が足りなくなる人に最も多いパターンは、センター英語を時間内に解き終わるだけの英語の瞬発力が欠けているというパターンです。「読んだ瞬間に意味が思いつく、英語の語順のままで本文を読み取れる」この状態になることができれば、センター試験英語で時間が足りなくなることはまずありません。
センター英語に苦手意識がある人は音読を何度も繰り返すことを意識しながら、学校の授業で扱った英文なども音読をするようにしましょう。必ず、時間が足りなくなることはなくなります。
音読によって1つ1つの英文をマスターしていくことによって英語力はみるみる上昇していきますよ。
※長文を音読する際に、「覚える」という意識は必要ありません。「覚える」ことを目標にしても脳がパンクするだけです。理想は何十回も音読して自然に英語を覚えていることです。
最後に、具体的に私のおすすめ教材を紹介していきます。
おすすめの長文読解教材
『英語長文レベル別問題集』(東進ブックス)
引用:http://www.toshin.com/books/archives/2007/09/3.html
『英語長文大学入試ハイパートレーニング』(桐原書店)
引用:https://www.kirihara.co.jp/product/detail/272110/
この2つの教材は全文構造解説と音声CDがついています。精読をするという点と音読学習をする点で、まさに上で紹介した学習法にうってつけの教材です。センター試験対策として、基礎レベルのものを早く読むトレーニングもできますし、国公立2次対策として、複雑で、知識レベルも高い長文をじっくり読み込む必要がある問題も含まれています。学校の実力試験など、範囲の指定が無い試験の対策にも使用することができます。
【注意点】多読は実力が上がってから
長文読解について注意しておきたいことは、多読(英語の小説などを大量に読み込む事)を初心者のうちに始めることは、時間と学習効果を考えたときに、非常に効率が悪い学習方法であるという事です。100回のセンター模試を解くよりも、20回のセンター模試を5回解いたほうが確実に英語力は向上します。
多読は、理解ができない英文をそのままに放置してしまう可能性が非常に高いです。多読をするよりも、1つの文章を、何度も読み込んで理解度を上げたほうが、はるかに英語は定着しやすくなります。
6. 【時間のある高1高2生向け】モチベーションを保ちながら勉強する方法
ここまでは受験生に向けた、本格的な大学受験英語の勉強方法を解説してきましたが、ここからはまだ比較的時間に余裕があるであろう、高校1年生、2年生がうまく英語の勉強と関わっていく方法を紹介します。
高校1年生、2年生の段階で、モチベーションを保ちながら英語を勉強する方法を見つけられると、非常に強みになります。イヤイヤ勉強するよりも、自分で進んで英語の勉強に取り組むほうが、記憶にも定着しやすくなりますし、普段の勉強だけでは得られない単語や文法の知識が身につきます。また、好きな英語コンテンツを見つけてしまえば、英文に触れる量と時間を圧倒的に増やすことができます。
英語を1つの受験に必要な科目としてではなく、言語として勉強をするようになると、もっともっと英語の勉強は楽しくなりますよ。
それでは、おすすめの方法を以下で紹介していきます。
おすすめの勉強方法
①お気に入りの英語学習動画をYouTubeで視聴する
オンライン上ではさまざまな無料英語学習コンテンツが飛び交っています。そしてYouTubeもいまや立派な勉強方法の一つです。無料で大量の英語コンテンツを視聴可能なのですから、これを利用しない手はありません。英語の勉強方法から、日常英会話表現、はたまたアメリカの野球の情報まで、様々なキーワードで検索してみてお気に入りの英語勉強動画を見つけましょう。
ネイティブの生の英語を聞くことに慣れると、センター試験リスニングのような、ナレーターによるきれいな発音のリスニング音声が、非常に聞きやすくなります。YouTubeで生の英語に耳を慣らすのも今や効果的な学習法になっています。
※その際もただの聞き流しにならないように注意しましょう。可能であれば、英語字幕を見ながら、何度も音声に合わせて、英語を音読することがベストです。英語動画に日本語翻訳、日本語動画に英語翻訳がついている動画も多数あります。慣れないうちは字幕機能を上手に利用しましょう。
②NHK高校講座の英語をチェックする
こちらもNHK高校講座のホームページから無料で視聴することができます。芸能人の出演による飽きさせない演出と、丁寧な英語や文法の解説が魅力です。難しすぎて続かないという、英語動画コンテンツにありがちな不安要素は一切ありません。
英語の勉強の息抜きに見てみるといいですよ。
7. 大学受験対策で一生使える英語力を手に入れる
ここまで大学受験英語の勉強法を解説しましたが、いかがでしたか。
最後まで読んでいただけた方はお気づきかもしれませんが、英語の勉強に本当に必要なのは、地道な努力です。大学入試制度改革により、大学受験英語は大きな変容を遂げようとしています。4技能を評価する民間試験が入試の合否に活用されることが決まった今、現代の受験英語に必要なことは本物の英語力です。そういう意味ではもはや、受験英語(受験のために勉強する英語)は存在しないのかもしれません。
単語&文法&音読を徹底して、基礎の基礎をしっかり固めれば、リーディング力はぐんぐん上昇し、これがリスニング、ライティング、スピーキング力向上のための素地となります。こうなってしまえば発音も会話文問題も英作文も怖いものなしです。
グローバル化と叫ばれるこの時代に、英語ができることは、どこに行ってもあなたの非常に強い武器になります。日本語でしか話せない人と、英語で世界中の人とコミュニケーションを取れる人では、入手できる情報量が大きく変わります。大学に入学すれば、外国人留学生もたくさんいます。その時に、英語で友達をたくさん作ることもできます。社会人になって仕事を始めてからも、英語ができることはあなたの評価を大きく上げます。あなたの人生の選択肢は大きく広がるでしょう。
英語の本質を見つめて、正攻法で英語の実力をアップさせて、志望大学合格を目指しましょう。