英語力を上達させるには、自分のレベルにあった学習プランが不可欠です。でも、TOEICなどの資格に比べると、レベル別の対策に関する記事や本は少ないですよね?
日本の英語教育では昔から語彙や文法をメインにしたリーディングとライティング、日本で一番知名度の高い英語の資格であるTOEICではリーディングとリスニングを測るだけなので、意外と4つの技能をバランス良く伸ばす勉強法はあまり見聞きすることがなく、「読み書きだけじゃなく4技能をバランス良く伸ばすなんて夢のまた夢……」なんて思う人も多いのではないでしょうか?
実際に英語を使うときには、相手の話を聞くリスニング力、相手に伝えるスピーキング力、文書などを読むリーディング力、人に伝えるためにメールや文章を書くライティング力、どの技能も欠かすことができず、バランス良くその4技能を上達していくためにも、自分のレベルに合った学習法をとることが重要です。
そこで今回は、英語教材の制作を約20年行ってきたメディアビーコン編集部が、学習者のレベル別に、4技能をバランス良く伸ばす勉強法をご紹介していきます!
Contents
1. 英語は自分に合った勉強法じゃないと意味がない
まず大切なのが、「今、自分はどの地点にいるのか?」「次のステップへ進むために必要なことは何か?」を常に意識することです。
「今の自分のレベルを認めたくない、向き合うのが怖い……」となってしまうと、正しい勉強法を自ら遠ざけていることになります。誰でも初めは初心者です。まずは自分のレベルを知ることで自分の課題がよく見え、最も効果的な方法で英語を身につけられるようになります。
1-1. 【簡単にチェック!】英語レベル早見表
現在のレベルをチェックするために使用してほしいのがこの比較表です。皆さんにもおなじみの英語資格のスコアを測定基準としているので、それを基準に自分のレベルをチェックしてみてください。
レベル | 英語力の目安 | 資格/検定スコアの目安 |
初級(Beginner) |
・中学・高校で学んだ基本的な内容を忘れている ・資格・試験もあまり受けたことがない ・会話はまったく話せない |
実用英語検定(英検)5~3級 TOEIC ~400点程度 IELTS ~4.0程度 |
中級(Intermediate) |
・高校卒業までの英語はある程度理解できる(センター試験レベルが目安) ・TOEICなどの試験を一度は受けたことがある ・話す・書くといったことにはまだ自信がない |
実用英語検定(英検)準2~2級 TOEIC 400~750点程度 TOEFL IBT 40~70程度 IELTS 4.0~6.0程度 |
上級(Advanced) |
・仕事で英語を頻繁に使用している(メールや取引) ・英語でネイティブとも意思疎通が行える ・TOEICなどでは安定して高得点(800点~)がとれる |
実用英語検定(英検)準1~1級 TOEIC 750~990点程度 TOEFL IBT 75~程度 IELTS 6.5~程度 |
※あくまでも目安として参考にしてください。
いかがですか? 自分のレベルもわかり、なんとなく自分の目指すべき次のステップが見えてきたと思います。それでは早速、レベル別の勉強法を詳しくみていきましょう!
2. 【Level1】初級~Beginner~【可能性は無限大!】
英語初心者の人に多いのが、次のように考えてしまうパターンです。「自分の英語はまだまだ下手くそ」「基本的な単語も忘れてしまった」
しかし、見方を変えればそれだけ将来の伸びしろがあるということなのです! むしろ学習のクセなどがついていないのは良いことで、「まるで赤ちゃんが言葉を覚えるように」英語を学ぶことも可能なのです。とても伸びしろのある初級者は、無理なく基本的なところを押さえるといいでしょう。
2-1. Reading: 中学~高校までの英語をおさらいしよう
まずは中学・高校で習った英語をひと通りおさらいしましょう。教科書などがある人はそれを使用しても良いですし、心機一転、新しい参考書に取り組むのもやる気が出ますよ! 以下、ステップ別のおすすめ参考書です。
① 中学英語基礎『中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。』(学研プラス)
引用:https://hon.gakken.jp/book/1130339300
② 中学英語発展『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル-シリーズ』(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7007026/
③ 高校英語基礎『高校 英文法を ひとつひとつわかりやすく。』(学研プラス)
引用:https://gakken-ep.jp/extra/gakkou-saiyo/high_referencebook/1130399400.html
④ 高校英語発展『総合英語 Evergreen』(いいずな書店)
引用:https://www.iizuna-shoten.com/book/sub_english/overall-english-evergreen/
【初心者のリーディング】
・まずは教科書や参考書で基礎をしっかり固める
・イラストや図説つきでわかりやすいものを選ぶ
中学・高校で習った内容なので、記憶にうっすら残っている部分も多いでしょう。文法も単語も基本的な部分なので、当時わからないまま進んだ箇所は特に念入りに、わからない部分を残さないように学習しましょう。
2-2. Listening:まずは英語を好きになる!洋楽を聴いてみよう
リスニング力を伸ばすといっても、いきなり映画やニュースを英語で聞くのは無理があります。そこでおすすめなのが、「洋楽を聴いてみる」という方法です。
おすすめ手順は以下の通りです。
① YouTubeで【洋楽 人気】と検索。有名な曲を聴く。
② 気になった曲は歌詞を検索し、知らない単語を調べる。(辞書はWeblioがおすすめ!)
③ 意味が理解できた上でもう一度聴いてみる。
「なんとなくカッコいいから」という理由だけで洋楽を聴くより、意味を理解しながら原曲を聴くとまったく違って聴こえてきます。これは英語学習者の特権です。
また、Spotifyというアプリは洋楽が豊富な上、好きな曲でPlaylistが作成できます。更に、自分の好みに基づいた新しい曲も提案してくれるのでおすすめです。
【初心者のリスニング】
・YouTubeで人気の洋楽をチェック(バラードがおすすめ)
・気になる曲は歌詞を確認! 和訳&単語も調べてみよう
・Spotifyで自分だけのPlaylistを!
2-3. Speaking: 全然話せないし緊張しちゃう……こんな方法はいかが?
初心者最大の難関がスピーキングです。話せるようになりたい気持ちはあっても、いざ街角で外国人に声をかけられたら固まってしまう……なんて人もいるのではないでしょうか?
まずは独り言で練習
「独り言なんて効果あるの?」と思うかもしれませんが、これがとっても使えます! ただし、毎日続けることが条件です。トピックが思いつかない人は、「今日1日の自分の行動」から始めてみてください。歯を磨く、服を着替える、仕事を終える……英語だと案外難しくてビックリしますよ! 恥ずかしがらずに思いついたものから口に出してみましょう。
わからなかった表現はネットで調べ、簡単なイラストなどを添えてメモしておくと良いですよ。Webサイトでは公開型の質問サイトDMM英会話 なんてuKnow?がおすすめです。
英会話スクールに通ってみる
英会話スクールは、入会時にレベル診断のテストを実施することがほとんどなので、いきなり上級クラスに入れられてしまうことはありません。また、「他の人に英語を聞かれるのが恥ずかしい」という方には個人レッスンがおすすめです! その際、講師は日本人を選択すると学習の悩みなども相談しやすいですよ。
【初心者のスピーキング】
・独り言を習慣に!わからない表現はDMM英会話で調べる
・英会話スクールを検討 (個人レッスンもおすすめ!)
2-4. Writing: 日記を英語でつけ始めてみよう
まずは英語で日記をつけることから始めてみましょう。内容はスピーキングと同じように、「今日何があったか」など簡単で短い文を意識してください。その際、教科書や参考書で学んだ文法を使えたらバッチリです!
【初心者のライティング】
・スピーキングとセットで相乗効果を狙う
・インプットをアウトプットに変える練習 (学んだことを生かす力)
これが習慣化していると、次の中級レベルへ上がったときの学習がグッと楽になりますよ! 日記をつけるのに役立つ本も紹介しておきます。
①『新・英語で日記を書いてみる 英語力が確実にUPする』(学研教育出版)
引用:https://hon.gakken.jp/book/1130376000
②『Q&A Diary 英語で3行日記』(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7016055/
3. 【Level2】中級~Intermediate~【ここが頑張り時】
次に、多くの人が該当するであろう中級者です。ここから上級者への道のりで時間がかかり、あきめてしまう人も多いレベルといえます。実際、初級の頃と比べると中級は停滞期といわれています。
では、どうしたらこの時期を乗り越えられるでしょうか?
3-1. Reading: 資格対策にも効果抜群!カッコよく洋書にチャレンジ
基礎的単語と文法が身についたら、思い切って洋書に手を出してみましょう! 「えっ!?まだ早すぎない?」と思うかもしれませんが、中級は適切なレベルの洋書であればどんどん読み進めていけるレベルです。中級者におすすめの洋書はこちらです。
・まず絵本から!絵もかわいくて読みやすい『The Frog and Toad Collection』(Arnold Lobel 著)
・少し慣れてきた人に。一度は読みたい名作『The Little Prince』(Antoine de Saint-Exupéry 著)
・厚めの一冊にチャレンジ!映画化もされた人気作『Wonder』(R J Palacio 著)
ここで意識してほしいのが、
【中級者のリーディング】
・多読をこころがける(自分の興味に合った本を出来るだけ多く読む)
・声に出して繰り返し読む(音読は発音の上達にも役立ちます)
この2点です。読書好きの人は国語が得意なように、同じカテゴリーの英語もまた、どれだけ多くの文章に触れるかが上達のカギとなります。小難しい本を選ぶ必要はないので、わからない単語や表現が少なく「これなら最後まで楽しく読める!」と思う1冊を選びましょう。
3-2. Listening: 一般教養も深まります!ニュースを英語で理解する
中級者は、そろそろ英語ニュースにチャレンジして良いレベルです。ニュースは専門用語も多いので、初めは難しく感じるでしょう。しかし、ここで基礎的なリスニング力を培っておけば、上級に上がる際の大きな手助けとなります。
【中級者のリスニング】
おすすめニュースサイト① 世界へ発信!ニュースで英語術
引用:https://www.nhk.or.jp/snsenglish/news/
・NHK運営のニュースサイト
・同名のラジオ番組に基づいた時事問題や世界情勢を英語で聞くことが可能
・音声速度の調節機能や、原稿の英文・和文ともに掲載
おすすめニュースサイト②「NHK WORLD-JAPAN」
引用:https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/
・こちらもNHKが運営するサイト
・日本在住の外国人向けサイトなので難易度は上記のものよりやや高め
・完全な原稿は提供されていないが、その分オリジナル番組などのコンテンツは充実
海外のメディアに挑戦したい方にはCNNやBBCもおすすめですが、ネイティブのスピードで内容も海外の時事問題ということでヒアリング難易度がグッと上がるのでご注意ください!
3-3. Speaking: そろそろ実践してみない?ネイティブと話してみよう
英語を勉強しているからには、やっぱりネイティブと話がしてみたいもの。中級者であれば、日常会話くらいのコミュニケーションはとれるはずです! ネイティブと知り合うには、以下のような方法があります。
オンライン英会話
中級者であれば、日本人講師でなくネイティブの方を選びましょう。サイトによってはフィリピンなどの東南アジア圏の講師も多いですが、レッスンの質にはまったく問題ありません。むしろ、「色々な英語に慣れる」ためにも、より多国籍の講師と話してみることをおすすめします!
チャット仲間を作る
最近では、お互いの母国語を教えあう友達探しのサイトやアプリが急増しています。これなら、お互いに切磋琢磨できてやる気もアップします。有名なものではHello Talkなどがあります。ただし、中には出会い目的の人もいるので注意してください。「あくまでも学習のため」と意思表示をしてくれる友達を見つけましょう。
【中級者のスピーキング】
・ネイティブ講師とオンライン英会話
・外国のチャット仲間を作ってみる!
オンライン英会話は講師が今日学ぶフレーズや何を話すかをなど会話をリードしてくれますが、チャットはそうではありません。チャットを始める前に今日話そうと思う話題や内容を頭の中でまとめ、会話中にスッと口から出てこなかった単語やフレーズなどを覚えておいて、後で確認するとより学習の質が上がります。
また、オンライン英会話やチャットはネットの口コミやランキングを参考に評価の高い場所を選ぶと、質の高い講師やチャットフレンズに出会えると思います!
3-4. Writing: 長い文章も書けるように複雑な文を書いてみよう
初級者さんには短くて簡単な文をおすすめしましたが、中級になったら少し書き方に変化を加えましょう。
具体的には、長文を意識して、なおかつ英語で聞いたニュースに対する意見などを書いてみることです。このように、リスニングで学んだことをライティングでアウトプットするようにしてください。これにより、ニュースの専門的な語彙にも徐々に対応できるようになってきます!
【中級者のライティング】
・より長い文への意識づけ
・自分の意見を反映した文章づくりを心がける
・リスニングとの相乗効果を狙う
4. 【Level3】上級~Advanced~【憧れの到達点】
いよいよ上級です。すべての英語学習者が目標とするレベルでしょう。この段階になると何をトレーニングすればいいのか逆にわからなくなりがちですが、上級といえどもまだまだ学べることはたくさんあります。「英語を楽しむ」初心を忘れず、更に高みを目指しましょう!
4-1. Reading: 英語は世界を広げてくれます。洋書の専門書を読み解く
上級になったら、ビジネス書や科学雑誌を英語で読んでみましょう。ここで初めて、「学ぶ目的」だった英語が「学びを提供する媒体」として機能します。おすすめの洋書は以下の通りです!
【上級者のリーディング】
・TIME (幅広いジャンルを扱う老舗雑誌。難易度高めに取り組みたい人に!)
・The Economist (政治経済にフォーカスした一冊)
・National Geographic (写真美でも魅せる!自然科学や文化に特化し、日本語版も出版)
4-2. Listening: 洋画や海外番組を字幕なしで見てみる
映画やテレビを英語で見るのは誰もが憧れることでしょう。今回は、一例として映画を取り上げてみます。具体的なステップとしては、
【上級者のリスニング】
① ディズニー映画 →日常で使える表現がいっぱい!スラングなどがないのも◎
② 幅広い層をターゲットにした作品 →家族ものなど。英語が綺麗で速さも充分!
③ 若者をターゲットにした作品 →かなり上級向け。今どきの表現をマスターできる!
以上の順番で耳を慣れさせるといいでしょう。また、「少しは字幕が欲しい……」という人は
・1回目:日本語/英語字幕なしで見る
・2回目:日本語/英語字幕ありで見る
と2ステップに分けてみてください。初めから字幕をつけてしまうとどうしても目で追ってしまうので、この方法がおすすめです。
4-3. Speaking: 憧れの難関資格にチャレンジしてみる
上級になればもう取れない資格はない……そんなことはありません! 上級者でも中々取得できない資格はたくさんあります。特に、スピーキングが試験に組み込まれている以下のものがおすすめです。
・TOEFL IBT 100点以上
・IELTS 7.5以上
・全国通訳案内士試験
特に、TOEFL IBT 100点やIELTS7.5以上は英語を第2外国語として勉強する限り、目指して損のない資格です。これらは世界的にも認知度の高い資格ですので、留学や外資系への転職を考える際の大きな武器になります。
語学学習の道に終わりはありません。いつまでも慢心することなく、自身の英語をブラッシュアップしていってください!
【上級者のスピーキング】
4-4. Writing: SNSからでもOK! 自分の意見を英語で発信してみる
中級では、ニュースを聴いてそれに対する自分の意見をまとめる方法を紹介しました。でも、そろそろ「自分の意見を英語で誰かに聞いてもらいたい」と思いませんか?
上級者になったら、自分の意見を世界へ向けて英語で発信したり、コメントしたりしてみましょう。これにはTwitterやInstagramといったSNSが非常に役立ちます。また、国外の有名人や公式アカウントのフォローも忘れずに! 本場でネイティブが使う表現を学ぶのに最適です。
【上級者のライティング】
・SNSを使った情報発信を英語で行う
・海外の著名人をフォローし、本場の表現も吸収
・慣れてきたら、他の人の投稿へコメントを残そう
5. まとめ
英語の4技能を磨くためのレベル別学習法をご紹介しましたが、いかがでしたか?
言語は読み書きだけでなく、スピーキングやリスニングも含めた4技能を磨くことで初めて本当の意味での習得となります。ひと口に英語の学習といっても、自分のレベルによって課題も変わり、学習法も多種多様だとわかっていただけたと思います。
英語4技能すべてを学ぶのはハードルが高いとあきらめなくとも大丈夫です。独学でできるところは独学で、英会話スクールや英語講座、オンライン英会話など、必要な箇所で必要な方法をとって学習すれば、必ず4技能を伸ばすことはできます。
まずは、この記事を参考にご自身のレベルを見極め、ぜひ今後の英語の学習計画を立てる際の参考にしてください。今日おすすめした教材の中には無料でできるものも多くあるので、ぜひ試してみて自分に合う学習法を見つけてくださいね!