相手の話していることは何とか聞き取れても、英語が口をついて出てこない、スピーキングは苦手という人は多いのではないでしょうか。日常生活でネイティブスピーカーと話す機会が限られている、あるいはそのようなスピーキングの機会がまったくないという方でも実践できるトレーニング方法をご紹介します。
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一人でも実践できるスピーキング上達のポイントをご紹介します。
Contents
1. 話題、場面ごとにスピーキングで使える英語表現を増やそう
例えば相手に何かお願いする時でも、内容によっても、相手によっても英語表現は異なります。Can you give me a hand?「ちょっと手伝って」と気軽にお願いする場面もあれば、By any chance, could you cover for me on the meeting tomorrow?「可能であれば、明日の会議代わりに出てもらえないかな」と控えめにお願いすることもあるでしょう。
大切なのは、話題やどんな相手とどんな状況で話しているかを想定して、スピーキングに必要な英語表現を頭に入れていくことです。
1-1. 映画の活用方法
日常会話を中心に、英語表現を学びたいときは、映画を活用するのがおすすめです。映画は必ず字幕が表示されているものを活用しましょう。映画を使ったCD付きの教材もありますし、英字新聞の中で映画を紹介していることもあります。映画がいいのは、その表現が使われる場面がわかりやすいからです。例えば、こんな場面はいかがでしょうか。
The Japan Times alpha 2018年10月12日号p.10-11
映画「Norman: The Moderate Rise and Tragic Fall of a New York Fixer 嘘はフィクサーのはじまり」より抜粋、引用
Norman: We’ll take them. I don’t want you walking out of here empty-handed. (中略)
ノーマン:これをいただきます。手ぶらで返すわけにはいきませんからね。
「手ぶらで」という表現は意外と英語では浮かばないなあと思いました。よく、パーティーのホストから、Just bring yourself!「手ぶらでいいよ」と声をかけられることがありますが、それ以外の場面では「手ぶら」というニュアンスをどう伝えたらいいのかは考えたことがありませんでした。調べてみるとI don’t want to go empty-handed.「(土産などを持たずに)手ぶらでは行きたくない」というように使われています。
The Japan Times alpha 2018年8月31日、9月7日号p.10-11
映画「Please Stand By 500ページの夢の束」より抜粋、引用
Audrey: You look nice.
オードリー:ステキな服ね。
Wendy: Thank you.
ウェンディ:ありがと。
Audrey: I like your outfit. It’s so purple. So I heard you got a job. Do you like it?
オードリー:きれいな紫。ね、あなた、仕事見つかったんですってね。どう、仕事は、気に入って?
この会話には、相手の服装をほめるときの英語表現が二つ含まれています。
まず、冒頭のYou look nice.、そして、I like your outfit. It’s so purple.という英語表現。「きれいな紫」と言いたいときにぴったりな英語表現はなかなか浮かばないものです。シンプルな英語表現であるIt’s so purple.は、初めて知ってどこか新鮮でした。
このように、映画を題材にすると生きたスピーキングの英語表現を発見できます。
1-2. 対話形式の教材のおすすめ
対話形式の教材をおすすめする理由は、長文を読んでいるだけでは頭に入りにくい英語表現も自分で話している設定にすることで、次の章で紹介するように音読しやすくなるからです。CDや音声ダウンロード機能が付いていて、英語の発音を確認できる教材を活用しましょう。
中学校や高校のときに使用した教科書には、その年代向けのシーンや話題が多く取り入れられています。しかし、社会人になったら教科書に使われていたものと同じ話題やシーンは想定しにくくなっているはずです。対話形式の教材の中には、ビジネスシーンを想定したものや年齢問わず使える日常生活を想定したものがありますので、社会人でも抵抗なく声に出せますよ。
A: Hi, Yuki. Let’s get out of here and grab something to eat. It’s already one thirty.
B: Yeah. I feel like pizza!
(日本語)
A: ユキ、そろそろ外に出て何か食べに行かない?もう1時半だよ。
B: そうだね。ピザ食べたい!
忙しくてランチタイムを過ぎてしまった二人の会話を想定しています。
上の例のようにこんな場面なら自分の日常にもありそう!と思える話題や場面を多く取り入れた英語教材を見つけるのがスピーキング上達のコツです。
1-3. 試験問題の長文も勉強に最適
特にTOEICや英検などの試験を受ける予定がなくても活用してほしいのが、
これらの対策本。TOEICでは、ビジネスシーンの対話を想定した問題(特に対話を想定して、問いかけに対して適切な応答内容を選ぶ問題など)から英語表現を学ぶことができますし、英検の二次試験対策はテーマに沿ったスピーキングの題材が紹介されていますので、自分だったらどう答えるか試してみるのもおすすめです。
問題集の解答や解答例を確認して、知らない英語表現があった場合は意味を辞典で確認するようにしましょう。そして、その表現を口に出すという流れを繰り返すといいですよ。
2. 音声をよく聞いて、音読とロールプレイで英語表現を定着させよう
音読とロールプレイはスピーキングの英語表現を定着させるのにぴったりな方法です。
ロールプレイとは、対話の中で登場人物AとBがいたら、Aを読む人とBを読む人に分かれて、対話するような状況を作ること。特に1で紹介したような映画や対話形式の教材を活用する場合は、音読やロールプレイがやりやすくなります。中には、一人での勉強にも対応できるよう、自分が音読した後、もう一方の登場人物の発話の音声を流してくれるようなスピーキングの英語教材もあります。
まずは、しっかり英語の音声を聞くこと。わからない英語表現や発音は音読を始める前に確認しましょう。その後音読を繰り返し、ロールプレイをします。その際、自分の声を録音することもおすすめです。正しく音読できているつもりでも自分の声を聞いたら、ネイティブスピーカーの発音からはかけ離れていたということもよくあります。
3. アプリをスピーキングの練習に活用しよう
ネイティブスピーカーと話す機会が限られている人に、1、2で紹介した勉強法とあわせて活用してほしいのがアプリです。英会話教室などに通う時間が確保できない人でも空いた時間を有効活用できますし、比較的低価格、あるいは無料で実際の英語の会話をイメージしたスピーキングのトレーニングができます。
インターネットで「app for English speaking」で検索すると、無料のものを含め、スピーキングに活用できるアプリが紹介されています。ありがたいことに、アプリに登場するキャラクターと実際に会話をしているような感覚を持って話せるようなものや、音声を認識してフィードバックをもらえるものなどもあるのです。ぜひ活用してみてください。
4. まとめ~トレーニングで上達~
スピーキング上達のコツは、場面や話題に応じた英語表現を多くインプットして、対話形式の音読やロールプレイをとおして繰り返し口に出すことです。
場面や話題に応じたスピーキングの英語表現をインプットするには、映画や対話形式の教材、試験対策問題がおすすめです。大切なのは、自分が想像しやすい場面にできるだけたくさん触れて、それぞれの場面で使われている英語表現を確認することです。
実際の英語の会話をイメージやすい状況をたくさん取り入れるために、アプリもおすすめです。ぜひスピーキング学習に取り入れてみてください。