英語に対するコンプレックスを増長させる要因のひとつにあげられるのが、「発音が通じなかった」体験。
海外旅行をしていて、カフェでうまくオーダーが伝わらなかった、といったちょっとした経験が英語そのものに対しての恐怖感のタネになってしまうということもあります。
「英語独特の発音ってどうすれば身につくんだろう……」
そんな疑問を解消するために、英語教材を約20年間制作してきたメディアビーコン編集部が、伝わる英語を身につけるための発音について知っておきたいポイントや学習方法についてご紹介していきます。
Contents
1. 日本語と英語の違い
日本で活躍する外国人の話す日本語には独特なクセがあることもありますよね。それと同じく、日本人が話す英語にも独特なクセがあると言われています。
これは言語間にある「音」の違いからくるものです。
ここでは、日本語と英語の根本的な違いについて確認してみましょう。
1-1. 日本語にはない英語の音を知る
日本人にとって英語の発音を身につけにくいのは、英語には日本語には存在しない「音」があるから。
例えば、「L」と「R」の音。日本語の「ラ行」は、ヘボン式ローマ字の表記では「R」が使われていますが、英語の「R」の発音とは異なる発音方法が使われます。
それ以外にも、「th」「si」といったスペリングを含む単語、例えば「think」や「sink」は単語帳のカタカナ表記では双方「シンク」となりますが、実際の発音は全く異なるもの。
英語っぽく発音するのではなく、まず日本語にはない英語の音を意識的に学ぶことが重要なステップなのです。
1-2. 日本人アクセントの理由
巷で「日本人アクセント」と認識されてしまう理由には次のようなポイントが挙げられます。
1. 語末の母音が強すぎる
2. 抑揚がない
3. 巻き舌により音がこもる
これらのポイントが、いわゆるカタカナ英語ともいわれる伝わりづらい発音の原因になっているのです。
問題は、単語ごとの「発音」ではなく、文章全体を意識した「発声+発音」だということを理解しないと、日本人アクセントからの脱却は見込めません。
日本語と英語の単語それぞれの音の違いがわかれば、あとは練習あるのみ。決して難しいことではないのです。
2. 英語発音の基本が学べる「フォニックス」の世界
日本語には存在しない音を含む英語発音を、日本人が学ぶ方法は?
近年日本でも注目されるようになったのが「フォニックス」という発音学習メソッドです。この「フォニックス」を使えば、英語発音の基本が楽しく簡単に学ぶことができます。
ここでは、「フォニックス」の世界をご紹介します。
2-1. フォニックスって何?
まず「フォニックス(Phonics)」そのものについて確認してみましょう。
これは、英語のスペリングと発音との間の規則性を明示して、正しい読み方の学習に役立てる音声学習法です。
英語圏の子供が母国語である英語の読み方を学ぶ手法としても活用されていることからもわかるように、とてもシンプルで習得しやすい、ということで外国人の英語発音学習にも大きな効果を発揮しています。
アルファベットの組み合わせによってどのような発音になるのかを理解することができ、文字と音をリンクさせて英語発音を学ぶことができる、メリットだらけのメソッド、それが「フォニックス」です。
2-2. フォニックスの始め方
最近では、フォニックスに関する本やオンラインコンテンツも多く手に入りますが、やみくもに教材に飛びつくのはベストとはいえません。
フォニックスの第一歩は、それぞれの音を知る、ということ。
アルファベットそれぞれの音をとにかく聞いてまねる、の繰り返しから始めましょう。
音の組み合わせを単語ごとやフレーズごとに学ぶことを薦めているものもありますが、本来のフォニックスのメソッドでも、まず一音一音に時間を割いています。
「A」だけでもいろいろな音をもっている、そんな基本知識から始めることが大切です。
2-3. フォニックス学習に最適!おすすめ教材
フォニックスへの注目が高まり、教材の種類も豊富になってきました。
日本語の発音と英語の発音の双方を熟知している日本人のフォニックスのプロが監修したものは、理解しやすい解説でオススメです。
その中でも、最初の一冊としてご紹介したいのが、こちら。
『CD付き正しい発音が身につく!書いて覚えるはじめてのフォニックス』(ナツメ社)
引用:https://www.natsume.co.jp/books/e/9024
日本人に合った方法で、フォニックスの基礎を解説されていて、「身につける」ことを重視した構成でとても学びやすいですよ。
3. 英語発音練習のコツ
英語発音に関する知識を定着させるには、実際に自分の口から発することが最も重要なこと。
スクールや教室に通わなくても、独学でも上達を実感するためのトレーニング方法のコツがあります。
ここでは、英語発音練習のコツをまとめて確認してみましょう。
3-1. 腹式呼吸を意識して「ゆっくりはっきり」
第二言語習得法や英語音声学で強調されている重要なポイントが、正しい発音には正しい発声が必要だということ。
日本語は胸式呼吸(息を吸うと胸がふくらむ)で問題なく発音できますが、英語の発音には腹式呼吸(息を吸うとお腹がふくらむ)を意識的に行います。
しっかり息を吐き出すことをイメージしながら、「ゆっくりはっきり」英語テキストにあるフレーズや例文を読み上げましょう。
3-2. お気に入りのセリフをモノマネ
英語発音を上達させるには、シャドーイングが効果的だといわれています。このシャドーイングは、簡単にいうと「モノマネ」のこと。
聞こえてきた英語の音声を、追いかけるようにして自分で発話していくのが、シャドーイングのやり方です。
教材などにあるフレーズの読み方を、音声を聞きながらモノマネするのも効果的ですが、さらに効果的なのが映画やドラマといった動画の活用です。
動画で是非チェックしたいのが、セリフを発している時の表情。
英語の発音には舌や唇の動きを意識することが大切なので、お気に入りのセリフがどのような表情で話されているかを含めてモノマネすることで、発声のコツを体得することができます。
お気に入りのセリフをモノマネして、俳優気分を楽しんでみてください。
3-3. 自分の発音をしっかり確認
発音練習で絶対に欠かせないのが、自分の発音を聞く、という作業。
実際に耳からインプットしたものを、口からアウトプット、それを再度インプットすることで、アウトプット方法の修正をすることができます。
英語発音に特化した講座やレッスンであれば、講師がフィードバックしてくれるので、その場で修正できますが、独学ではこのフィードバックが欠けてしまいますよね。
そこで、スマホの録音機能などを利用して、自分の発音をしっかり確認して、お手本となるネイティブの発音と比較してやり直し、というテスト作業を丁寧に行いましょう。
4. 美しい発音を手に入れるための厳選のおすすめ本・アプリ
ここでは、独学での英語発音練習に役立つ人気ランキングでも常連の教材をご紹介します。毎日のトレーニングに役立ててみてください。
4-1. 『英語喉 50のメソッド』(三修社)
引用:https://www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384054620/
どうすればネイティブの英語発音ができるようになるのか、という仕組みをイギリス名門オックスフォード大学教授でもある英語教育研究科の著者が徹底解説しています。
巻末には発音練習問題もあり、上達度合いを確認しながら学習できる、というのもおすすめポイント。
著者のホームページでは無料オンライン講座も公開されており、英語発音だけではなく英語学習全般で活用できます。
4-2. 発音博士(アプリ)
引用:https://apps.apple.com/jp/app/%E7%99%BA%E9%9F%B3%E5%8D%9A%E5%A3%AB/id885771578
自分の発音の録音を聞き直しながら、練習ができて、かつ基本的な語彙力アップにも活用できる優良アプリです。
単語やフレーズの翻訳をチェックしつつ、正しい発音と自分の発音を細かく比較しながら練習することができます。
4-3. 英語発音矯正(アプリ)
引用:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.english2japan&hl=ja
日本人が苦手な発音に特化しているアプリです。
解説動画が充実しているだけではなく、リスニング練習問題があるので、正しい発音を学ぶと同時に、リスニング力アップも期待できます。
苦手な音を意識することで、正しい音に対する感度が上がるので、日本人の発音のクセを踏まえて作成されているアプリは取り入れておきたいですね。
5. まとめ
海外旅行で現地の人とのコミュニケーションを楽しむためにも、ビジネスシーンでの交渉をスムーズに進めるためにも、クリアでわかりやすい「伝わる」英語の発音は重要。
フォニックスなどで英語の音を学ぶことで、英単語の意味をウェブ検索したときや、辞書で調べたときに、発音記号まで意識的にチェックする姿勢を身につけることができますよ。
特別な学校通学やセミナー参加をしなくても、日頃の英語学習にプラスαのポイントを加えることで、独学でも正しい英語発音を学ぶことができます!
英語発音に自信をもって、英語でのコミュニケーションを楽しみましょう。