英語の力を伸ばしたいと思っている人の中には、TOEICで800点取る!とか、英語でプレゼンテーションできるようになりたい!とか、具体的な目標を持っている人もいるかもしれませんね。もちろん学習教材や表現集を活用すれば効果的に学習できるようになっていますが、教材の問題を解いたり、表現集の例文を目で追ったりするだけでは、なかなか表現が定着しないものです。
どのような教材を使っても、英語の表現を定着させる、つまり自分で書いたり話したりできるようにするためには自分で繰り返し練習することが不可欠です。英語のネイティブスピーカーの友人がいたら、実際に会話の中で表現を使うことで定着させることができますが、そういう人ばかりではないでしょう。ここでは自分一人でも実践できる練習法をご紹介したいと思います。
Contents
1. 身につく英語の練習法その1「発音や読み方に注意して耳と口を動かそう」
一人で勉強していると声に出すことをためらいがちです。しかし、教材の問題を解いたり、本を読んだり映画を観たりした段階では、まだそこで使われていた表現は定着しているとは言えません。もっと耳と口を動かして、表現を定着させましょう。
1-1. リスニング、リピーティング、シャドーイングの順に練習
映画は会話表現の練習にぴったりです。やみくもに音読をしていても、自己流の発音、速さになってしまいがちですが、映画であれば実際の会話の表現はもちろん、テンポ、微妙なイントネーションまでわかります。ただ、音声だけでは聞き取れない場合もあるので、練習の際には必ず話している内容が字幕や解説などに記載されているものを活用してください。
また、「English shadowing materials」で検索して出てくる動画の中にもよいものがあります。教材であればCD付きや音声ダウンロードが可能など、何らかのかたちで音声が提供されているものを活用してください。そして、次の順で練習してください。
① まずはしっかり聞いて、発音やわからない単語、表現は意味を確認しておく
② 1フレーズごとに音声を止めて、リピートする
③ シャドーイングする
シャドーイングとは、流れている音声にかぶせるようにして、ほぼ同じ速さで読み上げることです。シャドーイングは実際に話されているスピードで読まなくてはならないので、シャドーイングの前に1フレーズごとのリピーティングを確実に行ってからシャドーイングの練習に入ってください。そうでないと、実際の速さについていくのが精いっぱいになり、長続きしません。
1-2. 音声付きの英字新聞、ニュースが読めるアプリやサイトを活用する
最近は、英語の記事に音声がついているものがあります。さらに学習者向けの英語の記事には記事のレベル表示がされているものがあるので、練習の際は易しいレベルから試してみてください。新聞記事の場合、使われているのは会話表現ではありませんが、練習の手順は(1)と同じです。新聞は読むもの、と思いがちですが、耳と口を動かすことで、表現が定着しやすくなります。
2. 定着させる英語の練習法その2「英文を練習帳に書いて手と口を動かそう」
1で紹介したシャドーイングまでやり終えたら、定着はずいぶん進んだと言っていいでしょう。でも、意味がわからず調べた単語や表現は、すでに知っている表現に比べて忘れやすいのです。それに、単語は漢字と一緒で、覚えたつもりでもaとe、rとlなど微妙に間違えてしまうことが多いです。漢字も点がいるか、いらないかなど、迷ったことがありませんか。スマートフォンやパソコンが普及している今は、手で書く機会が減ってしまい、ますます綴りを覚えにくくなっています。
そこで、おすすめしたいのは、声に出しながら表現を繰り返し書く練習をすること。1でシャドーイングまでやっていれば、発音は定着しているので、この段階では書く速さにあわせてゆっくり発音して構いません。
ポイントは、ノートにわからない単語、表現だけ書くのではなくて、その単語、表現が使われていた一文丸ごと書き出すこと。そして、その一文を声に出しながら書くのです。わからない表現を含む一文を書き出したノートとそれを繰り返し書くノートは分けるのもいいですよ。後者は、らくがき帳でも構わないのですが、前者は後になって見ることも多いです。
3. ある程度の長さの英文を毎日読もう
何事も毎日続けるのは簡単なことではありません。しかし、毎日一定量の英文にふれるとだんだん脳が慣れてきて、長い英文も辛くなくなります。本当は、毎日読む英文(本や英字新聞、インターネット上の記事なんでも構いません)について、1や2を取り入れてほしいのですが、それができなくても量を脳に取り入れることを重視してください。
練習を続けていると、日々シャドーイングしたり書き出したりしている表現が英文の中に出てくることもあります。ある程度の英文を毎日読むことは、「日本語から英語へ」という変換を使わずに、「英語の表現を英語のまま」取り入れる練習になります。
4. 英文で考える癖をつけよう
日本語で考えたものを英語に訳す、という感覚でいると、なかなか表現が口をついて出てくるようにはならないものです。普段から何気ないつぶやき、一言を英語でどう言うか考えるような癖をつけましょう。難しく考えなくても、普段言いそうなことで構いません。例えばこんな表現は、英語でどう言うでしょうか。
(1) 最近、寝不足なんだ
(2) ちょっと太ったなあ。絶対痩せないと!
(3) ちょっとお茶しない?
普段何気なく言っているこれらの表現は、英語では意外と出てこないものです。これも英語で考える癖をつけて、つど調べるといいですよ。今はこのような日常の一コマにまつわる英語表現を集めたサイトや本もあります。簡単な一言でも言えそうで言えない英語表現は実はたくさんあります。ちなみに、上記の英語表現は、こんな風に言ってみてはいかがでしょうか。
(1) I haven’t been getting much sleep lately.
(2) I’ve put on a bit of weight. I must go on a diet!
(3) Would you like to grab a cup of coffee?
5. まとめ
英語の表現を定着させ、自由に使えるようになるには、じっと目で教材や新聞、本や映画を追っているだけはいけません。耳と口、手と口を動かして、実際に使われている英語にふれながら声に出して、手で書いて覚えていく練習が必要です。
一人だとつい英文を目で追ってわかった気になりがちですが、練習で声に出したり手で書いたりすることで、発音やスペリングが実はちゃんとわかっていなかったことにも気づくはずです。もし練習でわからない表現や単語があったときは、単語や表現単独で書き出さないで、使われている一文丸ごと書き出すようにしましょう。後で振り返ったときに、使い方まで一目でわかります。
そして、英語の表現を定着させるために続けてほしいのが、一定量の英文を毎日読むことです。英語の記事でも本でも構いません。一定の量に毎日ふれることで、日本語から英語へ変換して理解するのではなく、英語の表現をそのまま取り入れるトレーニングができます。英字新聞を購読しなくても、アプリやインターネット上のサイトを活用して毎日ひとつ記事を読むような習慣にするといいですね。
また、「日本語を英語に訳す」感覚ではなく、英語で考える癖をつけるのもおすすめです。日常のささいなことを英語でどう表現するか紹介するサイトや本もあります。ぜひ活用して英語の表現を自在に使えるように練習してください。