「たくさん英語を聞いているのに、なかなかリスニング力が上がらない」「TOEICでリスニングパートが伸びない」などリスニングに苦手意識を持っていませんか?
もしかすると、あなたのリスニング力が伸びない原因は、その学習法にあるかもしれません。
一言で「リスニング力がない」といっても、その度合いは人それぞれ。あなたが今どの段階にいて、何が原因で伸び悩んでいるのかを知ることによって、より確実にリスニング力アップを目指すことができます。
そこで今回は、多数の英語教材制作を手掛けてきたメディアビーコン編集部が、リスニング力の向上がなぜできないのか、その伸びない原因と、原因に合わせた勉強法を4つご紹介します。
Contents
1. 「なぜ聞き取れないのか」原因に合わせて学習法を変える
まずは「なぜあなたが英語を聞き取れないのか」ということを、じっくり考えてみましょう。
ここでは、考えられる4つの原因についてお話しますので、あなたの状況に当てはまる原因を探してみてください。
1-1. 原因① 単語・文法の知識不足
「全く、もしくはほとんど聞き取れない」かつ「英文を見ても意味がわからない、すぐに理解できない」のであれば、そもそもの単語力と文法力が足りないことが考えられます。
【2.①知っている単語・文法を増やす】の章で、効率よく学習するための、学習範囲の決め方をご紹介します。
1-2. 原因② 読めばわかるが聞き取れない、音の認識不足
「英文を見ればわかるのに、リスニングとなると聞き取れない」ということはありませんか? これは、日本人の英語学習者に多い原因の一つ。言葉と音の認識がずれていることによって起こる現象です。
この原因に当てはまるのであれば、【3.②英語の音を知り、練習する】の章で紹介している学習法を試してみてください。
1-3. 原因③ 聞き取れるが意味の理解が追い付かない、処理スピード不足
「英語は聞き取れるが、意味がスッと頭に入ってこない」「聞き取れた英語の意味を考えているうちに次の話に移ってしまい、内容がわからなくなる」と感じているのであれば、理解するまでの時間がかかりすぎていることが「リスニングができない」と感じる原因でしょう。
この状態にある方にとって効果的な学習法が「音読トレーニング」。【4.③英語の処理能力を高める】の章へと読み進んでください。
1-4. 原因④ 聞き取りも理解もできるが、集中力が続かない英語体力不足
「聞き取りも理解もできるけれど、英語を聞く時間が長くなればなるほど集中力が切れてしまい、結果聞き取れなくなってくる」という方は、英語に対する体力不足が原因です。
【5.④英語をたくさん聞くことで耳を慣らす】の章で英語体力の作り方をご紹介いたします。
2. ①知っている単語・文法を増やす
原因①に当てはまった方は、まずは単語力と文法力を強化する必要があります。
知識は多ければ多いに越したことはありませんが、漠然と「単語力」と「文法力」を高めるといっても、果てがないのも事実。そこで、ここではリスニング力を伸ばすための学習を少しでも効率よく進めていくために、適切な学習範囲の決め方をご紹介します。
2-1. 基礎の基礎を学ぶなら中学英語を復習する
もしあなたが英語初心者だと感じているのであれば、まずは中学生の時に学んだ英語を復習しましょう。
実は、日常会話のほとんどが中学英語でカバーできるというように言われています。つまり、それくらい基礎を学ぶ上で中学英語が大切だということ。
また、これから教材を買うのであれば、できるだけ音声のついているものを選びましょう。原因②以降でお話しますが、リスニング力を鍛える上で、音と文字のつながりを学ぶことは必須。そのために音源が必要なのです。
2-2. 専門分野を絞って学習すると効率的
「すでに基礎は身に付いている」ということであれば、あなたがどの場面で英語を使いたいのか、今一度考えてみてください。
「海外旅行」が目的なら、中学英語マスター、ステップアップしたいなら高校生が習う英語を勉強すると良いでしょう。「ビジネスで」ということなら、ビジネス場面で使われる表現や単語を学習することが必要。「電話対応」「商談」「プレゼンテーション」など、場面を細分化することができれば、より学習の範囲が絞られて効率は上がると思います。
また「TOEICのスコアアップが目標」であれば、TOEIC対策用の書籍を利用することで、的を絞った学習ができます。
このように、あなたが伸ばしたい英語の分野によって、学ぶべき単語や表現は変わってきます。目的に合わせた適切な学習範囲を決めることは、リスニング力だけにとどまらず、あなたが求める英語力習得への近道となります。
3. ②英語の音を知り、練習する
語学の世界ではよく「人は自分の話せる言葉しか聞き取れない」ということが言われています。
「英語」といっても、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語など、さまざまな種類があり、発音の仕方も異なるので正確な数字ではありませんが、母音の数だけを比べても、日本語が5種類なのに対し、英語は20種類ほどと大きな差があります。故に、日本語を母語とする人が英語を聞き取ることができないのは、ある種当たり前のことなのです。
だからといって、悲観的になる必要はありません。「話せる言葉しか聞き取れない」ということは、「話せる言葉であれば聞き取れる」ということでもあります。
ここでは、「英文を見ればわかるのに、リスニングとなると聞き取れない」と悩む人が習得すべき「英語の音」に関してお話していきます。
3-1. 上達の鍵は発音!聞こえてきた音をそのまま真似てみよう
「話せる言葉であれば聞き取れる」という理論でいけば、発音を鍛えることは、リスニング力を上達させる上で非常に重要だということが言えます。
その発音を鍛えるコツは、「聞こえてきた音をそのまま真似る」ことです。
例えば「apple」。日本語の発音だと「アップル」ですが、英語の音を敢えてカタカナ表記するのであれば「アポ―」に近い音で発音をします。厳密に言えば、この「ア」の音は「ア」と「エ」の間のような音になるのですが、英語のプロを目指すのでもない限り、そこまでこだわる必要はありません。
「ア」の音の違いを聞き取れない、発音できなくても、「アップル」を「アポ―」と言えるだけで、断然聞き取りやすさは上がります。音に加えて、アクセントも発音力を上げる上で大切な要素。繰り返し声に出して特訓することで習得しましょう。
もしあなたがもう一段ステップアップした発音を目指したいのであれば、英語の音を発音する時の舌の動きや息の使い方を学び、練習することで、よりネイティブに近い音が出せるようになると思います。
ヒアリングとスピーキングは、違う能力のようでいて実は密接に関わっています。耳で聞いたままを口に出す。それにより両方の力が上達していきますよ。
3-2. 英語の音のルールを知る
英語は、母音と子音の組み合わせによって同じアルファベットでも音がいくつにも変化します。この英語の発音ルールを「フォニックス」と言います。ネイティブスピーカーは学校に通い始める前に、このフォニックスを徹底的に学ぶくらい英語の正しい発音には欠かせないものです。
また、センテンスの中では前後の単語の並びにより音が変化したり、消えてなくなったり、つながったりするものもあります。音のルールを習得するためには、声に出して練習して身に付けていくことが一番ですが、そういった音が存在するという知識があるだけでも、音の認識のズレは減らせると思います。
もしルールをしっかりと学びたいのであれば、フォニックスに関する本はたくさん販売されているので、一度テキストを探してみてはいかがでしょうか。
3-3. 英語の音にだけ集中して声出し練習をする
声出し練習をする上で最も大切なのは、とにかく「音に集中する」こと。間違った発音で覚えないために、必ず音源を使ってください。
練習方法はいたって簡単。CDの音声に合わせて、声に出して英文を読み上げましょう(これをオーバーラッピングと言います。)英語のスクリプトを見ながらでいいですが、読むことに重きを置くのではなく、あくまでも聞くことに集中して練習してください。
発声する際は、イントネーションや強弱、アクセントにも意識を向けましょう。また、特に発音が難しい単語があれば、その部分を繰り返し練習することも大切です。
4. ③英語の処理能力を高める
「英語を聞き取ることはできる」レベルにまで達したのであれば、次にすべきは「英語の処理スピードを高める」ことです。
今あなたが「聞き取れるのに、理解が追い付かない」と感じているのは、英語で聞こえてきたものを日本語に変換して理解しようとしているから。
このプロセスを無くして、英語を英語のまま理解できるようになれば、あなたのリスニング力は飛躍的に上がると考えられます。そこで、ここでは英語の処理能力を高める「音読トレーニング」をご紹介します。
4-1. まずは音に集中!その後に意味を確認する
英語の音声と、音源の英語スクリプト、日本語訳がある教材を用意してください。
まずは、英語スクリプトを見ずに音声を聞きます。この時点では、仮にスッと意味が理解できなかったり、わからない単語や表現が出てきたりしても、意味を推測しようとしないことが大切。とにかく音に意識を向けてください。
1度音源を聞いたら、今度はスクリプトに目を通しながらもう一度聞き、わからない単語や発話が難しい箇所をチェックし、あとで確認できるようメモしておきましょう。その後は、できる方はスクリプトを見ないで音声を追いかけて発声するシャドーウィング、それが難しければスクリプトを見ながらでもいいので、音源に合わせて声に出す練習を繰り返しましょう。
余裕のある方は、音源を聞いてディクテーションをしてみるのもいいでしょう。ディクテーションをすることで、聞き取れない単語が何なのか、その音はどう発音されているのかを細かくチェックすることができます。
そして、スクリプトを見ながら発声練習をした方は、最終的にはシャドーウィングができる状態まで練習してくださいね。
4-2. 意味が頭に入ったらひたすら声に出して練習する
スムーズに英文を読み上げることができるようになったら、ここでようやく日本語訳の確認です。
文章の意味を頭の中に入れましょう。意味が頭の中に入った状態で、さらに音源を使った声出し練習を繰り返します。この時は、スクリプトを見ずにシャドーウィングできることが理想です。
日本語を思い浮かべることなく、意味がわかる状態で読めていることを実感できれば、英語脳が作れているということになります。このトレーニングは英会話力やリーディングのスキルアップにも役立つので、大変おすすめです。
5. ④英語をたくさん聞くことで耳を慣らす
「聞き取れるし、理解もできる」ようになったのであれば、あとは聞く量を増やし、長時間の英語にも根気負けすることなく、聞き続けられる英語体力を作るのみです。
ただ、聞く量を増やした時に陥りがちなのが、「聞き流しの状態」になってしまうこと。せっかく英語を聞く時間は作れているのに、聞き流しになっているのでは勿体ないですよね。
ここでは、そうならないためのヒントと活用すべきツールについてお話します。
5-1. レベルと興味に合ったものを選ぶ
聞き流しにならないために大切なのが、「何を聞くか」ということ。日本語であっても、自分の興味のないものや、専門用語ばかりが続くような難しい話であれば、聞いていても頭に入ってこないですよね。
そこで選ぶべきが、背伸びしすぎないレベルのもの。あまりに簡単なものを選ぶのはおすすめしませんが、少なくとも聞いていて7割以上は理解できるものが良いでしょう。わからない単語や表現が出てきたら、一旦は聞き流し、聞き終わった後に意味を調べてもう一度聞き直すのがおすすめです。
それに加えて、自分の興味のあるものや専門分野のものを選びましょう。好きなこと、今後に役立つ内容であれば、聞き流すことなく聞けるはずです。
5-2. 生の英語が聞けるツールを活用する
教材だと、プロの講師がわかりやすく発音してくれているものが多くあります。トレーニングの際にはそういった音声も必要ですが、その英語に慣れすぎてしまうと、実際の会話や生の英語に触れた時に大きなギャップを感じてしまいます。ある程度速いスピードでも聞き取りができるようになったのであれば、ぜひ生の英語が聞けるツールを活用してください。
例えば、YouTubeやPodcast、アプリなど。Podcastであればラジオ感覚で聞けますし、動画やアプリは視覚情報も入ってより理解しやすく、楽しみながら英語が聞けると思います。どれも多種多様なコンテンツが配信されているので、きっとあなたの興味に合ったものが見つかるでしょう。
また、映画が好きなら映画で勉強でもいいですが、難しすぎないものを選んだり、ディズニーなど子供向けの映画を選んだりなど、理解しやすいものを選ぶのがポイント。
もっと専門的でニュースや時事問題を聞けるものが希望であれば、Ted TalkやNHK Worldニュース、CNNニュースなどが人気です。どれも無料で利用することはできますが、内容のレベルはかなり高いので、上級者の方におすすめです。
5-3. 聞き取れない部分が多いなら①②③の練習法に戻ろう
リスニングにおいて、すべてを一言一句聞き取れるようになる必要はありません。ただ、さまざまな英語を聞く中で「聞き取れない」と感じる部分が多くなってきたのであれば、もう一度①②③の学習法に戻ってみましょう。
この工程を繰り返すことで、確実にあなたのリスニングレベルは上がっていくと思います。
6. 実際の会話で聞き取れなかったら聞き返せばいい
日本の英語教育では、主にアメリカ英語を学びます。しかし、実際にはイギリス英語、オーストラリア英語、インド英語など、さまざまな訛りの英語が存在します。また、第二言語を英語とする人々で、癖の強い英語を話す人もいるでしょう。そうすると、簡単な英語でも「聞き取れない」という状況は生まれます。
でも、それはあなたのリスニング力が足りないからではありません。聞き取れなかったら、聞き返せばいい。聞き返すことは、決して恥ずかしいことではありません。コミュニケーションにおいては、聞き返せる力こそ、必要なスキルかもしれませんね。
7. 最後に
リスニング力が伸びない原因に合わせた学習法をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
語学スクールや留学などしなくとも独学でネイティブの発音を聞き取れるようになることは可能です。ただ、語学は1日や2日で身に付くものではないので、焦らず根気よく、継続的に学習することが必要です。
そして、原因に合わせて学習法を変えることと同時に、どのレベルの教材を選ぶかということも非常に重要。
そのためには、まずあなたの英語レベルを正確に把握することが必要です。アルクやNHKなど、無料で英語力診断テストを受けられるサイトがあるので、おおまかなレベルを把握するためにも一度活用してみてはいかがでしょうか。