「英語が全然聞き取れない! リスニングってどうやって勉強をしたらいいの?」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
今回は、リスニング初心者の方に向けて、約20年間英語教材制作に携わってきたメディアビーコン編集部が、リスニングの基礎的な勉強法について徹底解説していきます。
Contents
1. リスニングができるようになるには
まずあなたに知っておいていただきたいのは、リスニングができるというのは、「音が正確に聞き取れて、その意味が瞬時に理解できる状態のこと」を指しているということです。
リスニングには2つの関門があると考えられます。
1つ目が、「音を正確に聞き取る」という関門です。英語の音を正確に聞き取れない状態(なんといってるのかわからない状態)では当然ですが、リスニングができる状態とは言えません。
2つ目が、「瞬時に意味を理解する」という関門です。1つ1つの音を正確に聞き取れても、それを英文法のルールに則って、正確に意味を把握することができなければ、これもリスニングができる状態とは言えません。
では、聞き慣れない英語を意味のある音として認識、処理するにはどうしたらいいのでしょうか。大切なポイントは2つです。
②音と意味とを繋ぐ知識を身に付けること
まずは、英語の音を正確に聞き取ることができる耳を鍛える。そして、聞こえてくる英語の音声を正確に理解できる脳の思考回路を養成する。
このことを意識することがリスニングの大前提となります。
この大前提を意識した上で、以下では初心者の方に取り組んでいただきたい勉強法についてご紹介していきます。
2. 初心者が陥る「ディクテーション」と「シャドーイング」の落とし穴
「ディクテーション」と「シャドーイング」という勉強法について聞いたことがあるでしょうか?
「ディクテーション」と「シャドーイング」は、非常に効果的なリスニング勉強法です。しかし、初心者の方がこの勉強法を試す時は注意が必要です。
以下では、その理由について解説していきます。
2-1. ディクテーションとは
ディクテーションとは、「聞こえてきた音声をそのまま書き取る」学習法のことを指しています。
この学習法のメリットは、細かい部分まで正確に聞き取れていない音を特定することができるようになることです。
音の連結や消失によって音声変化をしている部分については、聞き流しているだけではなかなか築きませんが、それらを書き取ることで、変化のや消失のルールに慣れることができます。
また、書く作業をすることで、ライティング力の向上にも繋げることができるのもメリットだと言えるでしょう。
2-2. ディクテーションの落とし穴
ディクテーションを初心者の方におすすめしない理由は、ディクテーションというトレーニングは負荷の高いトレーニングといえるからです。
英語の書き取りをするためには、ある程度綴りを知らなければいけませんし、書き取るために、何度も何度も同じ音声を繰り返し聞く必要があるため、ストレスがたまりやすいです。
また、一つの文章で聞き取れない単語が2~3語であれば問題ありませんが、文のほとんどが聞き取れないのであれば、それもまたディクテーションができる段階にあるとは言えないでしょう。
つまり、ある程度のリスニング力とライティング力が身に付いてはじめて、ディクテーションによる学習効果が期待できると言えるのです。
2-3. シャドーイングとは
シャドーイングとは、「聞こえてきた音声を後から追うように口に出す」学習法のことを指しています。
シャドーイングは、リスニング力が向上するだけでなく、スピーキング力やリーディング力の向上にも繋がると言われています。また、シャドーイングにより英語の処理スピードが上がることで、最終的には英語の語順のまま英語を理解できるようになるので、英語学習者には適切な段階でぜひ取り入れてもらいたい学習法です。
2-4. シャドーイングの落とし穴
英語をナチュラルな速度で理解するための、思考回路がまだ形成されていない初心者の方はシャドーイングを行うと、ただ音を真似して口に出すだけに陥りがちで、本来のシャドーイングの成果を発揮することができません。
シャドーイングは、意味を理解しながら練習することではじめてその効果が発揮されます。英語をほとんど理解できていない状態でシャドーイングをしても、それはただ音を追いかけて声に出しているだけにす過ぎず、英語の処理速度を上げることにはつながりません。
英語学習には、継続することが何よりも大切。はじめから難しい方法を試して挫折してしまうくらいであれば、継続できる形で学習をスタートする方が合理的だと言えます。あなたのレベルを客観的に判断し、あなたにとってベストなリスニング上達法を見つけましょう。
3. はじめにやるべき英語リスニング勉強法
前置きが長くなりましたが、ここからは、英語初心者がはじめにやるべきリスニング勉強法についてお話していきます。
3-1. 中学英語で基礎を身に付ける
リスニング力だけでなく、英語力の上達には単語や文法の基礎学習は欠かすことのできない要素です。英語学習初心者の方は、まず基礎学習から始めましょう。
たまに「文法は学ばなくてもいい」という方がいますが、文法は、ネイティブスピーカーの英語の使い方に関するルールをまとめたものです。それを学んでパターンに当てはめて使う練習をしていく方が、効率が良いのは明白です。
また、吸収力の高い幼少期であれば感覚的に学んでいくこともできますが、大人が感覚的に学ぶには相当の時間がかかりますし、限界もあります。逆に、大人には日本語と照らし合わせて単語を意識的に学習する、文法を論理的に理解できる能力があるのですから、その能力をフル活用して学習しない手はありません。
さて、ところでここでいう基礎英語とは、中学生のうちに習う学習範囲のことを指しています。中学英語さえ押さえれば、日常会話は問題なく理解できるようになるでしょう。
基礎が身に付いているのか分からないという方は、英検3級の問題を解いてみてください。英検3級は、中学卒業レベルの英語力を測ることができます。実際に受験会場に足を運ばなくても、英検の公式サイトで筆記試験の過去問を無料でダウンロードすることができるので、一度問題を解いてみてはいかがでしょうか。
3-2. 単語・文法の知識と音を同時に学ぶ
英語の基礎学習をする上で一番気を付けたいのは、教科書とのにらめっこ学習をしないということ。
初めに述べたように、リスニング力を上げるには、英文を声に出して練習し、英語のリズムや日本語にない音を習得することが非常に重要です。
単語や文法だけ先に覚えて後から音を知るのではなく、単語や文法の学習をする過程で音も聞き、声に出して練習していきましょう。その方が圧倒的に効率よく英語のスキルが身に付きます。
そのため、英語の基礎学習を始めるにあたって教材を揃える際は、必ず音声が付いているテキストを選ぶようにしてください。
また、ここからは発音の重要性と英語の音のルールについて、もう少し詳しくお話していきます。
3-2-1. 発音の重要性
語学の世界では、「人は自分の話せる言葉しか聞き取れない」ということがよく言われています。このことから分かるのは、自分が正しい発音で話せるようになれば、言葉を聞き取ることができるようになるということ。だからこそ、発音を鍛えることは、リスニング力を伸ばす上で重要なのです。
発音を鍛えるコツは、「聞こえてきた音声をそのまま真似る」こと。特にカタカナ英語は日本語発音になりがちですが、とにかく聞こえてきたままに発声練習をしてください。
3-2-2. 英語の音のルールを知る
英語は、母音と子音の組み合わせによって音が変化する言語。また、文章の中でも、単語の組み合わせにより、音が消えたり変化したり、繋がったりする現象(リンキング)が起こります。
英語を声に出して練習することで、こういった音のルールを自然に習得していけるのが一番ですが、まずは英語独特のルールがあることを知っておくことも大切。それだけで発音のしやすさ、聞き取りやすさは上がるでしょう。
3-3. オーバーラッピングで繰り返し練習
初心者の方にとってシャドーイングが難しいことは先に述べましたが、それでもリスニング力を上げるには、ある程度長さのある文章を声に出して練習する必要があります。
そこでおすすめなのが、オーバーラッピングという学習法です。以下では、この学習法について詳しくお話いたします。
3-3-1. オーバーラッピングとは
オーバーラッピングとは、「スクリプト(原稿)を見ながら、音声と同時に声を出す」学習法のことを指しています。
この学習法を取り入れることで、読解スピードを向上させるのと同時に、英語のリズムや音のルールを知ることができます。
ディクテーションやシャドーイングと違って、音声のスクリプトを見ながらの練習で構いません。そのため、脳にかかる負荷がグッと減るので、初心者の方でも長続きさせやすい学習法です。
3-3-2. オーバーラッピングの練習法
オーバーラッピングの練習方法は、次の通りです。
①まずは英文を見ないで聞く
②英文を見て、どれくらい聞き取れたか確認。音声をもう一度聞き、音の繋がりや発音しづらいところをチェックする
※この際に、日本語訳を確認して、文章の意味を100%理解する
③英文を見ながら、音声に合わせて発話する(スムーズに言えるようになるまでこれを繰り返す)
※この際に、意味を100%理解した状態で発話することが重要
④もし余裕があるようであれば、そのままシャドーイングにトライしてみましょう。何度もオーバーラッピングで練習した文章であれば、そこまで苦戦することなくできるようになっています。
3-3-3. 教材選びの注意点
オーバーラッピングをするためには、「英語音声」「音声のスクリプト」「スクリプトの日本語訳」が揃っている教材が必要です。
内容やスピードは、自分の英語力レベルより若干簡単なものを選ぶようにしましょう。一般的に、人は話せるスピードより聞けるスピードの方が速いですから、ちょっと簡単に感じる程度のものの方が、オーバーラッピング練習をするには丁度良いと思います。
また、文章の長さも重要です。短すぎず長すぎず、集中力が続く程度の文章量が理想。イメージとしては、2~3段落分くらいの英文で完結している程度のものにしましょう。英会話のダイアローグのようなものもおすすめです。
4. 洋画・洋楽・ニュース等を使ったリスニング学習で気を付けること
リスニング力を鍛えるために、英語で映画を観たり音楽を聞いたり、英語でニュースが聞けるアプリを活用する人は多いのではないでしょうか。
もちろん、生の英語をたくさん聞くことは非常に大切です。映画や音楽等であれば、自分の好きな分野で英語に触れることができるので、モチベーション維持にも繋がりますよね。
しかし、そういったものを活用した勉強においては、気を付けたい点があります。最後に、ここではそのことについてお話をしていきます。
4-1. 「聞き流し」になっていないか
多聴で最も気を付けたいのは、聞き流しになっていないかということ。せっかくたくさん英語を聞く時間を作っても、意識がそこに向いていないのでは意味を成しません。
また、自分の英語力よりレベルが高すぎるものを活用することも、おすすめではありません。聞いていてもほとんど意味が理解できないのでは、雑音を聞いているのと変わりないからです。
趣味や楽しみで聴く分には全く問題ありませんが、リスニングの勉強として活用しようと思っているのであれば、まだネイティブスピードの英語を聞き取れないうちは、自分のレベルに合ったテキストを使う方が無難でしょう。
4-2. 洋画の聞き取りはTOEICリスニング満点取るよりも難しい
ある程度英語が聞き取れるようになったことで、洋画や洋楽も聞き取れるのではないかと思いトライしてみたものの、「思ったより全然聞き取れなかった」と感じたことはありませんか。
実は、洋画や洋楽をちゃんと聞き取れるようになるのは、TOEICリスニングパートで満点を取るよりも険しい道のりなのです。
その理由は主に二つ。1つは、スラングが多く使われていること。作品によっては、普段は使わないような用語や専門用語がたくさん出てくることもあります。もう1つは、人によって話し方に癖があるので、聞き慣れているCD音声よりも聞き取りづらいことにあります。
一方で、TOEIC等の資格試験で流れる英語音声は、プロのナレーターによってはっきりとした口調で話されていることがほとんど。また、スラングも滅多に出てくることはありません。
ゆえに、例え洋画や洋楽を思ったより聞き取ることができなくても、自分のリスニング力が伸びていないのだと落ち込まないでください。むしろ「このセリフは聞き取れた」「この単語は分かる」等、聞き取れた部分にフォーカスをして、英語学習を続ける上での糧にしましょう。
5. 最後に
今回は、英語学習初心者がはじめにやるべき英語リスニング勉強法をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
リスニング力を上げることは、結果的にスピーキングやリーディング力の向上に活きてくる側面もあります。つまり、リスニング対策をすることは、一石二鳥どころか、一石三鳥にもなり得る効率の良い学習法なのです。
はじめは中々結果が出なくてもどかしい思いをすることもあるかと思いますが、英語力は徐々に上がるものではなく、ある時一気に溢れ出すもの。忍耐強く学習できれば、必ずいつか上達を実感できると信じて頑張ってください。