「毎週英会話レッスンを受けているけど、一向に話せるようにならなくて挫折した!」
「TOEICの参考書を買ってみたけど、難しくてやる気が起きずそのまま放置している!」
英語ができるようになりたいと思い立ったものの、中途半端に学習を止めてしまった。こういった事態に陥っている英語初心者の方は、意外と多くいらっしゃいます。
どれだけ評判や口コミがいい英会話レッスンや教材を利用したとしても、週1、2回の授業だけで英語が話せるようになるほど、英語の習得は楽な道ではありません。
英語力の定着に必須なのは、毎日の継続的な勉強です。日本語ネイティブの私たちには、すでに日本語の言語感覚が染み付いていて、初心者の方ほど英語を受け入れにくい思考回路が形成されています。初心者の方は、まずはこの英語が受け入れにくい状態を抜け出す必要があります。それを打破するためには毎日英語に触れることは必須です。
初心者の方でも英語学習を継続させるキーワードは3つだけ。
①基礎の完成
②目的意識
③覚悟
初心者の方ほど基礎を完成させる前に、難しいテキストや多読に手を出しがちです。まずは基礎の完成をして初心者脱却をめざしましょう。そうすればあとは「目的意識」と「覚悟」をもって学習をすすめる。大事なことはこれだけです。
この記事では、20年間、学習者に寄り添って多数の英語教材制作を手掛けてきた弊社だからこそわかる、初心者でも続けられる学習法を伝授いたします。
Contents
1. 勉強が続かない初心者の3パターン
英語初心者の方が学習を継続できない理由は一体何なのでしょうか?
理由はまさに、英語学習を継続させる3つのキーワード「基礎の完成」「目的意識」「覚悟」の中にあります。
1-1. 基礎が完成していない
基礎が完成していないという事は、英文の意味をスムーズに理解する土台ができていないという事です。当たり前ですが、理解できない文章を読んでも楽しくないですよね。仮に日本語の本だとしても、理解できない専門用語が大量に出てくる専門書を読んでも楽しくありません。
英語もそれと同じです。しっかり英語を理解ができるレベルになるまでは、楽しい事はあまりありません。基礎ができる前に、楽しそうな洋画や洋楽、オンライン英会話などに果敢に挑戦して、長続きしない人は非常にたくさんいます。リスニングができないのに、急にスピーキングができるようにはなりません。
まずは基礎文法と最低限の語彙力(単語量&熟語力)を完成させることが最重要です。そしてそこから多くの英文を聞いたり読んだりして、英語の語順やリズムに慣れていくトレーニングをしていきましょう。
※基礎の文法の完成とそのトレーニング方法については見出し2で解説していきます。
1-2. 目的意識が明確ではない
そもそも、あなたはなぜ英語を勉強するのでしょうか?
多くの人はきっちり自分の答えを説明できるかと思いますが、たまに曖昧な答えしか出せない人がいます。
「なんとなく必要だと思うから。」「英語くらいできないと恥ずかしいから。」というような曖昧な理由ではなかなか英語は上達しません。
「海外旅行で観光するのに困らないくらいの英語力が欲しい。」「仕事で昇進のためにTOEIC800点が必要だ。」「アメリカ留学に行くから英会話の練習が必要だ。」など人によって理由は様々ですが、勉強をする明確な理由や具体的な目標を考えるようにしましょう。
目標を立てる前に何をしようか考えても、あまり効率の良い学習計画は立てられません。
目標から逆算して今何をすべきかを考えるようにしましょう。
1-3. 覚悟を持っていない
純日本人が、一般的な中、高、大学の教育を受ける中で英語を勉強している時間は何時間といわれているかご存じでしょうか。
実は学校教育だけで英語を1000時間勉強していると言われています。
しかし、考えてみましょう。普通の学校教育だけで英語が定着したという人間がどれだけいるでしょうか。1000時間勉強しても多くの日本人が英語を運用できない現状がここにあります。
ここまでで私が何を言いたいかというと、それなりに覚悟を持って多くの時間を英語に割かなければ英語は身につかないという事です。対価を支払わずして英語は習得できません。
※これだけを聞いて英語をあきらめる必要は全くありません。少しずつでもコツコツやれば徐々に英語は上達していきます。学習の総量が一定のラインを超えた瞬間に、急に英語ペラペラになったり、洋画や英語ニュースを聞き取り放題になったりはしません。上達を楽しみながら勉強することが学習を継続させるコツです。
2. 英語の読み方の基礎を学ぶ
学習を継続させていくためには、まずは基礎を身につけることから始めていきましょう。
2-1. 基礎文法と基礎単語は必要不可欠
英語力を構成する2大要素が英文法と英単語です。
そのほかにも発音や構文解釈など様々な要素がありますが、基礎の基礎を身につける段階では英単語と英文法が最重要です。
なぜ英文法と英単語が重要なのかというと、英文は文法というルールに従って英単語を並び替えているだけだからです。つまり文法と単語さえ知っていれば、単純に意味を取ることだけであればすぐにできてしまうのです。
英文法は英語のルールです。例え話ですが、ルールを全く知らないままサッカーをしても、おそらくファウルを連発してしまうでしょう。ルールを知ってその範囲内でプレーをしなければ試合になりませんよね。(ただ、ルールだけ知っていてもサッカーはできませんよね。練習がもちろん必要です。)
私たちはすでに日本語のルールに慣れきってしまっています。まずは英語のルールを理解する必要があります。これをして初めて会話に参加できるレベルになるのです。
基礎力が不安な方はまずは中学レベルの単語と英文法を簡単に振り返りできる書籍から始めてみるようにしましょう。中学レベルが完成すれば基本的な日常会話はおおむねクリアできます。
※中学レベルの完成とは、中学レベルの英文を読んで一瞬にして意味を理解することができる状態のことをここでは指します。I play soccer.という文の意味を理解するスピードは、日本語の文章を読んだ時と、ほとんど変わらないのではないでしょうか。この瞬時に意味を理解できるという状態が、全ての中学英語の英文に対しても当てはまるようになったとき、「中学レベルが完成した。」といえます。そして中学レベルがクリアできたら、 どんどん高校レベルの文法と単語も習得していきましょう。
しかし、どうしても文法や単語の勉強は苦痛だという方は、長文などを読み進めながら、わからない文法事項を適宜調べて勉強を進めていっても問題はありません。ただし、最低限中学レベルの英文法と英単語は押さえるようにしましょう。
2-2. 英語の読みかたを知る
ただ、前述したようにルール(文法)を把握しただけでは英語はできません。
この例文を見てみましょう。
中学3年レベルの文法を学習した方なら、何の問題もなく意味を取ることができるはずです。itは形式主語で、usはto不定詞の意味上の主語、to不定詞が真主語になるから、「私にとって英語を話すことは簡単である」という意味ですね。
ただ、想像してみてください。
あなたはアメリカ人やイギリス人などのネイティブスピーカーと集まって、英語で会話をしています。そんな時に、形式主語だ、真主語だ、なんて考えている暇はありません。会話はどんどん次に進んでしまいます。これでは、本当に使える英語力とは言えません。文法知識を習得したら、使える英語力を身につけるために、確固としたトレーニングがここからは必要になってきます。
英語と日本語は語順が異なる言語です。日本語はSOV(主語+目的語+動詞)、英語はSVO(主語+動詞+目的語)が基本です。「私は映画を見ました」はI a movie watchedではなくI watched a movie.ですね。
この語順の違いが、英語が苦手な日本人が多いことの最大の理由です。日本人が英語を読むときに、仮に語順が同じであれば、単語の意味さえ日本語に変換できれば理解できます。しかし実際は語順が異なるため、単語の意味を変換してさらに並び替えるという手間が発生してしまいます。
このひと手間が英語の理解速度を遅め、ネイティブスピーカーの話を聞いても情報の処理が全く追いつかなくなる原因です。
これを解決するための方法はただ1つ。「日本語を介さず英語を理解できるようになる」という事です。
「英語を聞く→日本語で考える→理解する」ではなく「英語を聞く→理解する」というプロセスを徹底的に意識しながら英語を読むようにしましょう。
2-3. 具体的なトレーニング方法
ここからは、どのようにして英語を英語で理解できるようになるのかのトレーニング方法を解説していきますが、その前に下準備をしていただく必要があります。
下準備
①教材を用意する(CD付き、音声データ付きが望ましい)
【高1、高2生向け】学校の教科書
特別な教材や本を使う必要はありません。学校の教科書は何年もかけて改良され続け、良質な英文が大量に揃っています。学校の教科書に登場する長文だけで、十分に基礎的な英語を読むスキルは養成できます。(音声CDが聞けるのであればぜひ聞いてください)
【大学受験生向け】『英語長文レベル別問題集』(東進ブックス)
引用:http://www.toshin.com/books/archives/2007/09/3.html
音声CDと全文構造解説付きで1人でも非常に学習しやすい参考書です。
【TOEIC学習者向け】『TOEIC公式問題集5』(国際ビジネスコミュニケーション協会)
引用:http://www.toshin.com/books/archives/2007/09/3.html
公式問題集5からリスニングだけでなくリーディングの音声も聞くことができるようになりました。音声を使った読解のトレーニングにもってこいです。
②英文を自分の力だけで読んで(聞いて)みる
③わからなかった単語や文構造をチェックする(英文の理解度を90%以上まで上げる)
ここまで下準備ができたら、あとはひたすら練習です。
練習方法としてお勧めするのがオーバーラッピングとシャドーイングです。
2-4. オーバーラッピング
オーバーラッピングとは英文スクリプトを見ながら、音声と同時に英文を読み上げるトレーニング方法です。音声を聞きながらそれに合わせて音読するイメージです。
※漠然と読み上げるのではなく、必ず意味を理解しながら読み上げるようにしてください。また、自分の声で音声が聞こえなくならないようにしてください。音声を聞きながら学習することで、リスニングや発音のトレーニングも同時に行うことができます。
オーバーラッピングの有用な点としてはネイティブスピーカーと同じ速度、リズム感で英語を読むことができることです。返り読みすることなく英文を理解する必要があるため、英語の語順に慣れていくのに非常に効果を発揮します。
また、音声に口がついていかない場合や、声が出せない環境で勉強している場合は、頭の中で読み上げるだけでも効果があるので、ぜひやってみましょう。
行う回数の目安としては、初心者の方は、10回以上はオーバーラッピングを繰り返したほうが良いでしょう。意味を理解しながらネイティブスピーカーと同じ速度で完璧に読み上げられるように訓練しましょう。音声に完全に口が追い付くようになればOKです。
2-5. シャドーイング
オーバーラッピングにある程度慣れたら、次はシャドーイングに挑戦してみましょう。
シャドーイングとは英文を見ずに、音声に少し遅れてついていきながら、英文を発話するトレーニングです。オーバーラッピングとの違いは英文を見ないことと、音声よりも少し遅れて発話することです。
シャドーイングは英文を見ずに、聞いた音を口で再現していくトレーニングです。聞き取りのスキルが重視されるため、リスニング力の強化に大きな効果を発揮します。
また、耳で聞いてわかる文章は、目で読んでもすぐに理解できますよね。シャドーイングはリスニング力の強化とともに、リーディングのスピードを速めるのに非常に効果的な学習法です。
シャドーイングも目安として10回は行いましょう。英文を目視せずにスラスラ口から英語が出てくるレベルになるまでには、少なくてもオーバーラッピングとシャドーイング合わせて20回程度は読み上げる必要があります。
同じ文章を20回読み上げるというのは、確かに地道な作業ですが、決して無理な回数ではありません。日本にいながら外国語をストレスなく読みこなしていくためには、これくらいの努力はどうしても必要になってきます
※「覚える」という意識で読み上げる必要はありません。大量の英語をすべて覚えようとしていては、脳がパンクしてしまいます。理想は、大量の英語を読み上げる中で、いつの間にか覚えていたという状態です。
2-6. 2つのトレーニングで英語の語順感覚をつかもう
2つのトレーニングに共通して言えることは、音声と同時、または少し遅れて発話するため、英語を理解するための処理速度を、ネイティブスピーカーの発話速度と同じレベルまで引き上げる必要があるという事です。(いちいち日本語の意味を考えていたら、音声だけがどんどん進んでいってしまいますよね。)
このトレーニングを積むことによって、語順の違いに慣れて英語の言語感覚を体の中に染み込ませていきましょう。
3. 留学不要、英会話スクール不要のスピーキングトレーニング法
ここまで述べてきたことをしっかりやれば大量の英語に触れることになるはずです。そうなれば英語初心者なんて言われることはもうありません。そしてみなさんにもう1つ伝えたいことは、英語4技能のレベルをバランスよく上げるために必要なことは「大量のインプットと少量のアウトプット」だということです。
3-1. 大量のインプットと少量のアウトプット
初心者の方の急務の課題はリーディングの強化なのですが、これを押さえたうえで、アウトプット(英語で言いたいことを言う)の練習をすることで、あなたの英語力は加速度的に上昇していきます
※アウトプットはここでは「あなたの言いたいことを英語で表現する」という行為を指します。文法学習、単語暗記、音読はここではインプットの位置づけです。
シャドーイングやオーバーラッピングを10回、20回以上繰り返すと、あなたの頭の中には大量の英語が渦巻いているはずです。アウトプットは、この頭の中で雑多に渦巻いている英文を、適切な形で頭から取り出すトレーニングです。そしてこのトレーニングによってあなたのスピーキング力、ライティング力は飛躍的に向上していきます。
今回は、留学や英会話スクールに頼らないで明日から1人でもできるスピーキングのトレーニング方法をご紹介します。
3-2. おすすめのトレーニング方法
英語で独り言を言ってみる
とにかく英語初心者の方におすすめなのは、英語で独り言を言う習慣をつけることです。これだけで充分に英会話対策として成立してしまいます。そのくらいパワーのある英会話練習法です。
この方法の良いところは、独り言なので間違えても何も恥ずかしくないということです。英語を間違えたり、言いたい表現が思うように言えない恥ずかしさから、英会話を嫌う学習者の方は非常に多くいらっしゃいます。そんな方にもピッタリの方法が英語で独り言を言う事です。通勤中、ごはんをたべながら、お風呂に入りながら等、どんな状況でもいいので、英語で物事を考える習慣をつけてみましょう。
独り言のいい方は4つ。
①自分の状況を英語で考える
②自分の気持ちを英語で考える
③他人や周りの状況を英語で考える
④この後自分は何をするのか英語で考える
考えている最中に今まで何十回も読んできた英語が脳みその中でどんどん浮かんできて、様々な教材をインプットしてきた成果が実感できるはずです。これを考える習慣をつけるだけで、英語をアウトプットする機会が格段に増え、スピーキング力、ライティング力はぐんぐん上がっていきますよ。
※言いたい表現で思いつかないものがあれば、インターネットで適切な言い回しを探すなど、どんどん自分の表現のレパートリーを増やす工夫をして見ましょう。それに伴って語彙力も上昇していきます。
英作文をしてみる
次におすすめの英会話練習法は英作文をすることです。英作文といっても、大学受験の入試問題のような、難解な構文や語彙の知識を試される文章の英作文をしなければいけない、ということではありません。中学レベルの文法知識で作れる文章を、日本語を見ながらどんどん英語に変換していくトレーニングを行いましょう。
おすすめの英作文本は 『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(ベレ出版)です。
引用:https://www.beret.co.jp/books/detail/249
英会話のトレーニング本として、長年愛され続けているのがこの瞬間英作文シリーズです。中3レベルの簡単な英語を、日本語を見てどんどんアウトプットするトレーニングを繰り返します。どんどんアウトプットして、脳内にある英語を適切に取り出すための、瞬発力を鍛えましょう。
4. 英語の勉強は習慣化が命
基礎力を身につけるトレーニングの方法がわかったら、あとはそれを毎日続けていくだけです。「目的意識」と「覚悟」を持って毎日英語の勉強を続けましょう。
と言われても、英語の勉強に嫌気がさすこともあるかもしれませんね。
ここからは、そんなときにおすすめの対処法をいくつかご紹介します。
4-1. TOEICや英検などの資格試験を利用して自分のレベルを知ろう
自分のレベルを知ることで、どんな勉強が必要か客観的に知ることができます。
特にTOEICは合格不合格ではなく10~990点満点でスコアが出るので、細かく自分の実力知れます。試験回数も年10回と多く、試験でスコアを取ることをモチベーションに英語学習を楽しみながら行う方も多くいます。
4-2. 興味のある分野を英語で学ぶ
興味のある分野の英語を読むことで、英語に触れる量を増やしていくという方法もあります。興味がある事ならあまり苦痛を感じずに英語を勉強できるという人も多いのではないでしょうか。
私のおすすめはWikipediaの英語版を利用することです。無料で利用できるうえに、日本の芸能や文化歴史について、意外に細かなことまで英語で紹介されていて、なかなかおもしろいですよ。
他にも洋画や洋ドラマを見て勉強したいという人も多いのではないでしょうか。学習のモチベーションを上げるために、映画やドラマは非常に効果的ではありますが、1点だけ注意点があります。
それは、「できるだけ英語字幕を付けて見る」という事です。洋画や、ドラマを英語学習として視聴するのであれば、必ず英語を正確に聞き取れているか確認する必要があります。また、わからない単語は放置せずに辞書で引くなどの地道な努力を続けるようにしましょう。ただ見ているだけでは英語力は伸びません。
字幕なしで映画やドラマを見れる人は相当な上級者です。初心者のうちは、必ず英語字幕ありで、聞き取れているのかを確認しながら、映画やドラマを見るようにしましょう。また、1度だけでなく何度も見て英語をなるべく体に染み込ませる意識で見てみましょう。
4-3. 様々な英語に触れてみる
「TOEICの勉強をしている人はTOEICの参考書でしか勉強してはいけない」「英会話の勉強をするのに英字新聞を読んでも無駄」の様なことは一切ありません。
効率だけを重視するのであれば話は別かもしれませんが、それではおそらく勉強に飽きてしまいます。楽しくなければ継続して学習を続けられませんよね。様々な書籍やメディアで英語に触れて英語の面白さに触れるようにしましょう。
5. 【まとめ】初心者でも挫折しない方法は「基礎」「目的意識」「覚悟」
ここまで、初心者の方が英語力の基礎を完成させるための方法を解説してきましたが、いかがでしたか?基本的な英語の勉強方針が理解できたらあとは「目的意識」と「覚悟」を持って突き進むだけです。
また、最終的には、オンラインの英会話スクールに申し込んだり、留学に行ってみることもおすすめします。自分の英語力の向上ぶりに驚くことでしょう。
この記事を読んだみなさんが、英語を長く続けて、良い人生を歩んでいくことを願っています。