英語を勉強している方なら一度はTOEIC Listening & Reading Test(以下「TOEIC)を受験したことがありますよね。
リスニングはリーディングや文法問題と比べて対策しにくく、問題集を解いたりリスニング対策の教材を使ったりして勉強していても、なかなか得点が伸びないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、英単語は知っているのに、英語で話しかけられてもイマイチ聞き取れないという方もいらっしゃると思います。
ここでは、まだ実践していないという方にはぜひ取り入れていただきたい、リスニング力を伸ばすためのコツをご紹介します。
Contents
1. TOEICや英会話でも重要なリスニング~表現を学習するときの音の認識とその表現を使うシチュエーションの理解~
この記事を読んでくださっている方の多くが、中学生以来、1つの単語に対して1つの日本語の意味を暗記してきたのではないでしょうか。
例えば「run=走る」「put=置く」というように。もちろん間違いではないのですが、実際にこれらの単語が単独で使われることは、めったにありませんよね。
実際には、Why don’t you run over the presentation one more time before the meeting starts?「ミーティングが始まる前にもう一度プレゼンのリハーサルをしようか」というようにいろいろな単語と結びついて使われ、この場合、runとoverがくっついて「ラノバー」のように聞こえるでしょう。まず、これを聞き取れるかが第一のハードルです。
さらに「run=走る」と覚えていたら「リハーサルする」という意味は浮かばないので、単語の持つコアの意味はもちろん、使われるシチュエーションを理解した上で状況に応じて柔軟に発想できるかが第二のハードルになります。
このように、「1単語に対して1つの日本語の意味」という学習法から脱して、正しい音で単語や表現を認識し、実際によく使われる状況を把握することがリスニング力アップの鍵となります。
2. 発音と教材
2-1. コツその1 :聞き流しのみではダメ 正しい英語の発音を聞いて、正しい音で声に出す練習が効果的
リスニング上達のためには、ひたすら英語を聴いていればいいというわけではありません。多くの単語や表現が理解できていない状態で音声を聞いても、残念ながらその音は何の情報にもなりません。
地味に思われるかもしれませんが、必ず音声を文字化したテキストとセットで学習するということを忘れないでください。そして、正しく音を認識しているかどうかは、自分でどれだけネイティブスピーカーの発音に近い音を再現できるかにとてもよく表れます。
次に紹介するような方法で、自分でもネイティブスピーカーの発音に近い音を声に出せるようにトレーニングしてみてください。
2-2. 教材、スクール、ラジオ講座など、選ぶポイントは正しい音を声に出しながら表現を定着させる工夫
リスニングの教材は実にたくさんあります。英会話スクールなどでもTOEICのリスニングに特化した講座が行われています。どれを活用するにしても必ず押さえてほしいのは、リスニングの問題を解いて解説して終わりではなく、正しい発音を確認し声に出す機会を豊富に設けているか、声に出しやすい工夫がなされているかです。
そして、次のような手順で練習することをおすすめします。珍しい手法ではありませんが、基本となるので押さえておくといいですよ。
(1) テキスト(文字情報)を読んだ時に、細かく見ればわからない表現があるものの概要は理解できる程度のレベルの教材を用意する。
(2) テキストを見ないで音声を聞いて、どこまで理解できているかチェック。問題がある場合は解く。問題がない場合は内容についてどこまで説明できるか確認する。
(3) テキストを見て、内容のわからなかった箇所をチェック。英単語や表現の意味がわからなかった場合は、発音と意味、使われているシチュエーションとあわせて覚える。英単語や表現は知っていたけれど聞き取れなかった箇所をマーク。
(4) 英単語や表現は知っていたけれど聞き取れなかった箇所を重点的に聞く。
(5) 1文ずつ音声を止めてリピートする。滞りなく音声に近い音で発音できるまで繰り返す。
(6) 音声は止めず、音声の上にかぶせるようにして最初から音読する。遅れずについていけるまで繰り返す。
(7) 1文ずつ音声を止めて、テキストを見ないで聞こえてくる音を英文で書きとる。書けない箇所はカタカナで書いておき、その後テキストを確認し書けるようにする。
この手順で、リスニングだけでなくスピーキングやライティングの力もかなりつくようになります。この手法をコンパクトにまとめた教材がおすすめです。ラジオ講座の英会話の講座の多くが、15分程度に凝縮して(2)~(6)の内容をカバーしているのでおすすめです。
3. シチュエーションの理解
3-1. コツその2:単語や表現が使われるシチュエーションをセットで理解する
正しい音の認識と同様に重要なのは、単語や表現が使われるシチュエーションを理解すること。表現の意味だけ覚えていても、どのような状況で使われるかを理解していないと実際にせっかく覚えた表現が登場しても聞き取れなくなりがちです。
単語や表現を単体で覚えるのではなく、前後の会話のやりとりや状況をセットで記憶することで、いざその表現が使われていた時に聞き取りやすくなります。教材であれば、対話形式になっているものを活用すると前後の会話の流れからシチュエーションと表現をセットで覚えやすくなるのでおすすめです。
さらに、教材以外では、次にご紹介するように字幕付きの映画や動画は、使い方次第でシチュエーションと表現をセットで定着させるのにとても適した教材になります。
3-2. 映画、DVD、YouTubeなどの動画はシチュエーションを理解するのにぴったり
映画の場合はDVDで英語の字幕表示ができるもの、動画の場合は字幕がテキスト化されているものを活用するのがおすすめです。初心者には少し難しいこともありますので、映画を素材にした教材もおすすめです。例えば、Not really.という表現。日本語で「それほどでもない」と暗記したところで、どのように使うのかピンとこないのではないでしょうか。
映画や動画のよいところは、会話の流れから「この表現をこういう状況で使うんだ」というのがわかりやすいこと。また、登場人物の上下関係や階級などで言葉遣いが変わることにも気づくでしょう。
4. まとめ 正しい発音ができるようになるとリスニング力は伸びる!英会話も怖くない!
これまで紹介したように、リスニング力アップのコツは、「1単語に対して1つの日本語の意味」という学習法から脱して、正しい音で単語や表現を認識し、実際によく使われる状況を把握することです。
そのためには正しい音を聞いて、自分で声に出す機会を多く学習に取り入れること、教材だけでなく、映画や動画も活用しながら表現や単語が使われる状況もセットで覚えることをおすすめします。
まだ実践していなかったという方はこの機会に学習の1つに取り入れてみてくださいね。