英語のリスニング力を向上させる学習法

「リーディングはある程度できるけれど、リスニングは苦手だ」、「ネイティブスピーカーの話している英語が1回で聞き取れない」と感じているあなたへ。

 

TOEIC(トイック)や大学入試センター試験(2021年度より大学入学共通テスト)などでは問題集を解くことである程度対策はできますが、スコアや成績が上がっても実際の会話ではリスニングやスピーキングに自信が持てない人も少なくありません。


日常会話あるいはビジネスで困らないリスニング力を身につけるには、「英語の音」に特化した学習が効果的。加えて、幅広い英語表現を使えることもリスニング力のアップにつながります。


英語が聞き取れない原因を解説しながら、リスニングが上達するおすすめの勉強法をご紹介します。

 

 


1. リスニングが苦手だと感じる理由

 リスニングが苦手だと感じる理由

 

TOEICなどの試験でも、旅行や日常の英会話でも構いません。リスニングが苦手だと感じてしまう理由、英語が聞き取れない理由を考えたことはありますか?


「英語の音に慣れていないから」、「話すスピードについていけないから」と考えがちですが、もう一歩踏み込んで英語が聞き取れないと感じる理由を整理するとリスニングが上達するコツがみえてきます。

 


1-1. 使いこなせる語彙や表現が少ない

英単語を覚えるとき、どのような方法で勉強していますか。そして、どのように「この単語は覚えた」と判断していますか。

 

英単語と日本語の意味1つをセットで、ペアのようにして暗記していませんか。中学生や高校生のときの単語テストのように、まず基本的な意味を覚えることは悪いことではありません。ただ、1つの英単語に対して日本語の意味がわかるようになったからといって「単語を覚えた」とは言えないのです。

 

言うまでもなく、リスニング問題や実際の英会話では、単語が組み合わさって文章として発言されます。このときに「本当に単語を覚えているのか」が問われます。個々の単語を単独で覚えるのではなく、どのような文脈で使われるのか、そしてどのような音なのかを知っていて、自分でも使える状態にある、そのような単語はいくつありますか。


リスニングで伸び悩んだときは、がむしゃらに英単語や表現を覚えるのではなく、今「覚えた」と思っている単語について、どのような文脈で使われる単語なのかを知っているかどうか、正しく発音できるかを再確認してみましょう。

 


1-2. 英語特有のリズムや音のつながりを意識できていない

英語が聞き取れないもう1つの原因は、英語特有のリズムや音のつながりを意識できていないこと。1-1で紹介したように個々の単語を正しく発音できることは大切ですが、実際に使われるときには、単語と単語のつながりによって音は変化します。


例えば、中学英語で習うthere isは、それ単体で発音を聞くと「ゼァイズ」のようになりますが、実際に使われる英文ではどうでしょうか。

 

英語:There is always a traffic jam on Yamanote street.

意味:山の手通りはいつも渋滞している。


there isはごく弱く短く発音され、はっきりと「ゼァイズ」という音にはなりません。

 

さらに、there isの性質上、文章の中で力点はalways以降に集中します。すると例文ではthere isは弱い音で発音され、かつalwaysの音とつながります。カタカナで表記するならば「ゼリズオーェズ」というようになります。


このように、英語には1つの文になったときのリズムや音のつながりがあります。個々の単語の発音を正しく認識すると同時にリズムや音のつながりといった英語の特徴を押さえておくのがリスニング上達のコツです。

 

 

2. 英語のリスニング力アップにつながる語彙や表現の覚え方

英語のリスニング力アップにつながる語彙や表現の覚え方

 

知っている単語や表現が多ければ多いほど、リスニングで聞き取れる情報は増えます。ただ先にお伝えしたように、1つの英単語と1つの日本語の意味をセットにして丸暗記するような学習法では、リスニング力アップにはつながりにくいです。


勉強法のポイントは、

 

①単語は会話表現とセットで音読して覚えること

②日常英会話の教材やアプリを併用して「音」を意識して勉強すること

 

早速、具体的な勉強法をご紹介していきます。

 


2-1. 会話表現を声に出す

単語帳や単語学習を目的とした本を使って勉強するなら、最も重視してほしいのは例文を声に出して練習をすること。例文が会話表現なら声に出しやすいので、教材を選ぶときには例文に会話表現が多いものを選ぶのがおすすめです。


例えば、irritatedは「イライラした、怒った」という意味ですが、この英単語と日本語の意味をじっと見つめていてもなかなか頭に入りません。では、こんな例文とセットで覚えてみてはいかがでしょうか。

 

英語:I’m becoming irritated.

意味:イライラしてきた!

 

誰でもイライラすることはありますよね。そんな状況を思い浮かべながら口に出してみてください。つい感情を込めて言ってしまいませんか? 自分が留学や駐在などで海外に行ったときに使うかもしれない可能性がある例文は口に出しやすく、覚えやすいです。


あなたが使っている単語帳や本で使われている例文が覚えにくいものなら、無理してその例文を音読する必要はありませんよ。辞書でその単語を引いて、使いやすそうな例文を選び単語帳に書き込みましょう。紙の辞書でなくても「英辞郎」などのWeb版の辞書を活用するのもおすすめです。


ポイントは「これ、言えたらおもしろそう」という感覚が持てるかどうか。「こんなこと絶対日常言うことはないだろうな」と思う例文はいくら練習しても身につきにくいですから、よく使いそうな会話表現とセットで単語や表現を覚えるのが一番です。

 


2-2. 日常英会話の教材とアプリを併用する

単語や表現を身につけるためのツールは、何も単語帳や単語学習に特化した本に限りません。日常英会話の教材や無料のアプリも表現の宝庫。しかも覚えやすい例文が多いです。


すでに紹介したように、単語は自分が使うだろうなと想像しやすい例文とセットでトレーニングすると定着しやすいため、日常英会話の教材から知らない単語をピックアップして、会話表現を音読しながら単語も覚えるという方法もあります。日常会話のテキストなら、前後の会話から状況が浮かびやすいのがポイント。

 

例えば、think overは「よく考える」「もう一度考える」「思い返す」などの意味がありますが、これらすべての日本語の意味を暗記するのは大変です。では、次の会話表現を見てみましょう。

 

Akemi: I mean, I have an offer from a network in Chicago.     

意味:実はね、シカゴのテレビ局からオファーがあって。


Paul: Really? What did you say?     

意味:すごい!何て返事したの。


Akemi: Well, I asked if I could have some time to think it over.   

意味:ちょっと考えさせてって言ったわ。


Paul: Uh-huh… Why?   

意味:そうなの?どうして?

 

上の例文は仕事のオファーをもらっていて受けるかどうか迷っている明美の発言にthink overが使われています。仕事のオファーなど大きな話でなくても、「ちょっと考えさせて」と言いたいときは日常よくあります。そんなときに使う表現としてこの例文ごと声に出して覚えてしまえば、使う状況もthink overの表現も同時に身につきます。


このような日常英会話の表現には声に出しやすい例文が多く、自分が使う可能性が高い表現が多いため、単語も身につきやすいです。ぜひ活用してみてください。

 

また、アプリも学習に活用できます。ここでおすすめの無料アプリを1つご紹介します。

 

 

 BBC Learning English

すべて英語のアプリですが、コンテンツごとにレベルや学習時間が表示されているほか、単語や表現の解説が充実しています。

 

 BBC Learning English

引用:https://play.google.com/store/apps/details?id=uk.co.bbc.learningenglish&hl=ja


1レッスンあたりたった2分ほどで初級者でも無理なく学習できます。紹介されている単語・表現を使ったダイアローグや例文が充実しているので、使う場面がわかりやすく、単語を覚えるトレーニングに最適です。このアプリはビジネス英語や文法もカバーしているので、単語や表現の幅を広げるだけでなく、英語学習全般に活用できるすぐれものです。

 

また、同じくBBCから出てる「BBC News」アプリも世界中のニュースを無料で読んだり、ニュース動画を観たりできるので、ヒアリング力を高めるのにおすすめですよ。

 

 


3. 英語特有の音に慣れるための学習法

 英語特有の音に慣れるための学習法

 

リスニングの上達に欠かせないのは英語特有の音に慣れること。具体的には話すときの標準的な速さと単語同士のつながりによる音の変化やイントネーションです。

 

ネイティブスピーカーの話す英語の発音を聞いたり、ネイティブスピーカーの発音に近い発音で話したりするためには、音に敏感な子供のうちに英語の音に慣れないと手遅れでは? と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。大人になってからでも学習に一工夫するだけで、耳が英語の音に慣れてきます。

 

 


3-1. オーバーラッピングで英語の速さに慣れる

ネイティブスピーカーの話す標準的な英語にどこまでついていけますか。ネイティブスピーカーの英語の先生が学校の教室内で学生に向かって話す速さや英会話スクールで受講生と話すときの速さは、ネイティブスピーカー同士で話すときの速さとは異なります。


では、国内で勉強するときどうすればネイティブスピーカーの話す標準的な速さの英語を聞き取れるようになるのでしょうか。


あなたが今使っている教材があればそれを使っていただいて構いません。ない場合は日常英会話がダイアローグ形式で学べるテキストがおすすめです。


NHKのラジオ講座なら、毎月1冊500円以内で購入可能。インターネットの「NHKごがく」のサイトから無料で1週間音声を聞くことができますし、別売りのCDを購入すればいつでも学習できるので、英語学習を始めたばかりの初心者でも始めやすい教材です。


まず、よく音声を聞くこと。忙しい方は、通勤、通学の時間の聞き流しでも十分です。音源はCDでもダウンロード形式でも構いませんので必ず入手しましょう。その後は音声のあとに続いて、リピーティングを繰り返してください。


さらに、音声の速さに慣れるために音声にかぶせるようにして音読するオーバーラッピングを繰り返しましょう。これをすることにより、ネイティブスピーカーのスピーキングの速さを体感しながら習得できます。自分で再現できることは聞き取れることにつながります。

 

続いて、音声を聞きながら聞こえてくる英文を書き取るディクテーションを行いましょう。1文ずつ音声を止めながら書いていきましょう。ディクテーションをすることで、聞こえてくる音声と使われている単語をはっきり意識することができ、単語と音をセットにして身につけることができます。

 


3-2. 英語の音の特徴を意識する

英語の音の特徴を意識するには、教材の音声や映画など、多くの英語の音声を聞いて体得していくという方法もあるのですが、効率よく英語の音の特徴を学ぶなら、音声に特化した教材を活用するのが効果的です。


個人的に長年活用していた本が『英語のリスニングは発音力で決まる』(2004年 ジャパンタイムズ)で、英語の発音の特徴を体得できる例文が豊富に収められています。

 

『英語のリスニングは発音力で決まる』(2004年、ジャパンタイムズ)引用:https://bookclub.japantimes.co.jp/jp/book/b309342.html


この本の著者の鵜田豊先生による「英語発音 30音でマスターする英会話」のWebサイトでは、LとRの聞き分けや日本人が間違って認識しがちな発音を紹介。発音に特化したアプリや映画を活用したリスニングテストなども紹介されているので、ぜひ活用してみてください。

 


4. まとめ

まとめ

 

英語の聞き取りに苦手意識がある人やリスニングのスコアが伸び悩んでいる人向けに、独学でリスニング力を強化できる学習法をご紹介しました。

 

ポイントは「使える」語彙や表現を増やすこと、そして、英語の音に慣れること。

 

声に出して会話表現とセットで語彙を増やすトレーニングが効果的で、英語の音の特徴を捉えるには発音に特化した教材を活用するのがおすすめです。

 

ぜひ今後の学習に取り入れてみてくださいね。

  
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