英語学習者であれば1度は聞いたことがあるであろう「聞き流し」という勉強法が効果的かどうかの論議。「実際に効果はあるの?」と疑っている人も多いのではないでしょうか?
聞き流しはあるルールの元では効果のある学習法と言えます。そしてその効果は、大量の英語を耳に入れることで、英語の語順や英語特有の音のリンキング、アクセントやリズムに慣れることができるということです。
ただし、聞き流しが効果的であるかどうかは「基礎的な英語力が身についている」のであれば、という条件がつきます。
「でも、具体的に聞き流しといっても何をどのようにすれば良いのかわからない……」と思った方、約20年英語教材の制作を行ってきたメディアビーコン編集部が「聞き流し」に的を絞り、効果的に勉強する4つのコツと聞き流しにおすすめの教材やYouTube・Podcastのチャンネルをいくつかご紹介します。
「ただ聞き流す」だけでは効果がない理由についてはコチラもチェック↓
1. 「聞き流し」勉強法とは?
そもそも、「聞き流し」とはどんな勉強法なのでしょうか。「寝ながら聞き流すのがいい」「運動しながら聞き流そう」などと言われていますが、「聞き流し」を簡単に説明すると、「英語をただ聞き流すだけで身につける勉強法」のことを指します。普通は参考書などの教材を使って勉強するものですから、何だか本当に効果があるのか怪しい感じもしますよね?
1-1. 聞き流しで英語力は伸びるの?
結論から言うと、「聞き流し」は効果のある勉強法です。聞き流しの最大のメリットは、大量の英語を耳にすることで
・英語特有の音のリンキングに慣れることができるようになる
・英語のアクセントやリズムが身につくようになる
といったメリットがあります。ただし、「あるルールを守って実践する」ということが大前提になります。このルールを守らないと、全く意味のないものになります。
1-2. 聞き流しをするときのルール
このルールとは、「基礎的な英語力を先に身につける」というものです。理由は、聞き流しとはあくまでも基礎となる英語力がある場合にのみ有効だからです。ここで言う「基礎的な英語力がある/なし」の判断基準は、
・基礎となる英語力がある=聞き流す英文の言っていることが理解できる
・基礎となる英語力がない=そもそも何を言っているのかわからない
です。後者では聞き流しを行っても意味がありません。以上の理由から、聞き流しは基礎力のない初心者には向いていないと言えます。なので初心者さんは、まず基本の英語力を鍛えることから始めましょう!
また、なかには「赤ちゃんや子どもが言葉を覚えるように、英語のシャワーを浴びるだけでも意味がある」という主張もありますが、そもそも大人と子どもでは脳の発達度合いが異なるため、言語の習得の方法も異なり、この主張は的を射ていません。正しいルールを理解した上で、聞き流しを実践しましょう!
2. 聞き流しの前に「必要な英語力」を身につけよう
次に、「基礎的な英語力」を詳しく見ていきます。ポイントは大きく分けて以下の4つです。
①基本的な読解力(単語・文法・フレーズ)
②短文へのリスニング力
③日常的に英語に触れる力(英語のルーティン化)
④ある程度の英会話力(スピーキング力)
いかがでしょうか? 1つでも「自分にはこれが足りない!」という項目があった人は、まずそこから対策していきましょう。以下で項目ごとの詳細を見ていくので参考にしてください!
2-1. ①基礎的な単語と英文法を押さえる
まずは基本的な英語の読解力をつけることです。そのために必要なのが、
・単語力
・文法力
・英語の文章に対する理解力
この3つをバランス良く鍛えることです。目安としては、最低でもTOEICで700点前後のレベルが望ましいです。また、単語についてもスペルと意味だけ覚えて終わりにしてしまわず、「英単語の発音がわかるようになる= 聞き流しで出てきた時に聞き取れるようになる」ことを意識して、発音にも注意するようにしましょう。
おすすめなのはCDや音声ダウンロード機能の付いた教材を使うことです。以下に、基礎英語力+リスニング力がアップできる単語帳と教材を紹介します。
『キクタン シリーズ』(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/lp/series/kikutan/
キクタンシリーズは種類も豊富な上、CDやダウンロード音声付きで発音の勉強にバッチリです!他にも「初級編」「海外旅行編」がありますが、まずは「基礎編」から取り組んでみると良いでしょう。
英文を見て覚えるだけでなく、実際に声に出して音読すると発音の練習と同時にリスニング力もアップします。「声に出して英語を読む」という意識を持って勉強していきましょう!
『バイリンガリズム(Bilinguarhythm)』
バイリンガルの山田暢彦先生が監修して制作された大人向けの英会話教材が『バイリンガリズム』です。
『バイリンガリズム』はネイティブが使う「使える英会話」にフォーカスした教材です。例文には単語や文法の説明も付いているので、初心者でもつまづくことなく学習ができます。スローの音声も収録されたCDでしっかりリスニングのトレーニングもできるので、ネイティブが使うフレーズを思わず口ずさむことができるようなります。
さらに、山田暢彦先生のワンポイント解説動画が106本ついていますので、解説動画を見てからフレーズの音声をきくようにすれば、理解がより深まります。
基礎英語力+リスニング力を効果的に身につけたい人におすすめです。こちらのページから、バイリンガリズムの詳細と山田先生のワンポイント解説動画のサンプルを見ることができます。
2-2. ②短文のリスニングに慣れる
次に、リスニング力の強化です。聞き流しでは英語を長時間にわたり聞くことになるので、準備段階として短文のリスニング力はある程度必要となります。
目安としては、
・TOEICのリスニングパート(特にPart 3&4 )がある程度聞き取れる
・TOEICのリスニングパートで300後半~400点台がとれる
・英検であれば最低でも2級のリスニングは理解できる
この辺りをチェックしてみましょう。実際に試験を受けてみるのも良いですし、英検の過去問であれは公式サイト(https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/)で入手可能です。
2-3. ③洋楽に慣れ親しんで、英語を「ルーティン化」する
次に、英語を「ルーティン化」するという方法です。「試験や資格の前には勉強するけど、普段は英語に触れていない……」
こういう人は耳が英語に慣れておらず、聞き流しできるレベルには達していない可能性が高いです。また、
・長時間英語を聞いたことがない
・留学などで24時間英語漬けになったことがない
これらが当てはまる人は、「長時間の聞き流し=ストレス」になってしまう危険性があります。それほど、慣れない英語の聞き流しはストレスになることです。そんな人への対策法として、「洋楽に慣れ親しんでみる」というのはいかがでしょうか? いきなりニュースや資格用のリスニング教材を長く聞くよりも、楽しみながら英語に親しめておすすめです。
「洋楽なんて、何を聞いたら良いかわからない…」という人は、
・YouTubeで「洋楽 人気」と検索してみる
・比較的簡単な曲の多い歌手(One Directionなど)を聞いてみる
まずはこれらを試してみてください!
2-4. ④少しでも英会話力を鍛えておく
聞き流しを始める前に、自分のスピーキング力を鍛えておくことも重要です。一般的に「自分が発音できる音=聞き取れる音」だと言われており、裏を返せば「自分で発音できない単語は聞き取れない」ということになります。
ネイティブと話す機会がない人は、
・自分の声を携帯で録音して聞いてみる
・英語の音声を聞いてシャドーイングをくり返す
これらの練習を継続的に行い、より正確な発音を自分の口から出せるようにしましょう!
3. おすすめのYouTubeチャンネル
基礎的な英語力がついたら、さっそく聞き流しの実践に入っていきましょう! 聞き流し学習を映画で行う人もいると聞きますが、映画は長すぎるので上級者や短いものに慣れてからが良いでしょう。聞き流し学習で初心者におすすめな方法をここでは大きく分けて2つ紹介します。
・YouTubeなどの無料動画サイトを使用する
・Podcastなどのアプリを利用する
まずは聞き流しに適している、口コミでも人気の高いYouTubeチャンネルから見ていきましょう!
3-1. 【大人気】バイリンガール英会話 Bilingirl Chika
まず1つ目は、日本人YouTuberのChikaさんが運営する大人気チャンネルです。長い海外での滞在歴を生かし、日本語と英語をネイティブで操る彼女ならではの魅力がギュっと詰まったチャンネルです。
おすすめポイントは、
・日本語字幕や解説が付いているので、聞き流しの導入に◎
・完全なネイティブのチャンネルに比べて、スピードがゆっくり
・動画のジャンルも豊富で、飽きずにずっと楽しめる!
3-2. 【アメリカの人気番組】The Ellen Show
続いては、アメリカの人気テレビ番組「The Ellen Show」の公式YouTubeチャンネルです。司会者のEllenさんは大変人気があり、そのトーク力にぐいぐい引き込まれてしまいます。
おすすめポイントは、
・中~上級の人向け。本場のスピードに挑戦できる!
・海外の有名人がゲストに登場するので、トークの内容もとても豪華
・会話がメインなので、日常的でカジュアルなフレーズが学べる!
「スピードが少し速いな」という人は、初めは英語字幕を付けて試してください。慣れてきたら徐々に聞き流しに集中すると良いですよ!
3-3. 【専門的】Ted Talks
最後に、Ted Talksというチャンネルをご紹介します。名前だけは聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか? Ted Talksでは著名人や専門家が、色々なテーマを決めて演説を行います。
おすすめポイントは、
・専門的な知識が身につく!「ただ聞くだけじゃつまらない」という人に
・スピーカーの国籍もさまざまで、たくさんの英語アクセントに慣れることができる
・画面を見ずに聞いても理解できるものが多く、まさに「聞き流し」向け!
4. Podcastを活用しよう
YouTube以外にも、聞き流しに利用できる学習教材はたくさんあります。なかでも今回は、「聞く」ことに集中したい人にピッタリなPodcastを取り上げます!
4-1. 音声に集中したい人にはこれ!Podcastの特徴とメリット
YouTubeでも聞き流しは可能ですが、「どうせなら画面を見ずに音声に集中したい……」という人もいますよね? Podcastは動画がなく、iphoneやandroidなどスマホやタブレット、PCから聞ける音声のみの情報提供システムです。どちらかというと、ラジオに近いかもしれません。
Podcastを使用するおすすめポイントは、
・音声のみなので聞くことに集中でき、リスニング力の向上にはピッタリ
・気に入ったものは携帯にダウンロードしていつでも聞ける
・定期的に更新されるため、最新の素材(=生きた英語)を使って学習ができる
また、一旦ダウンロードしてしまえばインターネットに接続していない状態(=オフライン)でも聞けるので、「電波が悪くて再生されない……」という動画サイトによくあるお悩みとは無縁です!
4-2. 【中級向け】おすすめのPodcast
Luke’s English Podcast
引用:https://teacherluke.co.uk/
中級者さんにまずおすすめなのがこちら。イギリス出身で日本での滞在歴もあるLukeによるPodcastです。
おすすめポイントは、
・イギリスの本場英語!スピードも中級者さんにピッタリ
・日本を話題にしたエピソードもあり、興味が持てる
・ゲストを迎えたインタビュー式のものもあり、会話表現も学べる
All Ears English Podcast
引用:https://www.allearsenglish.com/episodes/
アメリカ出身の女性2人組によるPodcastです。英語学習者をターゲットとした内容で、スピードも速すぎないので中級者の人でも楽しめます。
おすすめポイントは、
・アメリカ英語に慣れたい人に!ネイティブが使う表現をたくさん学べる
・更新頻度が高いので、毎日スキマ時間に新しいエピソードが聞ける
・公式サイトでは、カテゴリ別にエピソードが探せる
4-3. 【上級者向け】おすすめのPodcast
This American Life
引用:https://www.thisamericanlife.org/
アメリカで絶大な人気を誇るPodcastの1つです。毎回テーマが決められており、それに対する意見やネイティブの生の声を聞くことができます。英語学習者ではなくネイティブが楽しむことを目的としているので、上級者向けといえるでしょう。
おすすめポイントは、
・完全上級者向け。英語学習者向けでは物足りない人に
・テーマが豊富で、色々な人の意見が聞ける
・1話の長さが1時間近くあるので、集中力の強化にもつながる
Freakonomics
引用:http://freakonomics.com/
こちらもアメリカのPodcastです。ネイティブも聞く番組なので、上級者でも速さは申し分ないでしょう。
おすすめポイントは、
・ネイティブが実際に聞いているPodcastに挑戦できる
・内容も政治経済など、実用的な知識が身につく
・公式サイトではスクリプトもチェックできる
5. まとめ
今回は、「聞き流し」を英語学習に取り入れるためのルールと実践方法についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
冒頭でもお話しましたが、「聞き流しは効果がある!」というのはうそではありません。聞き流しをすることで、英語の語順で話を理解できるようになったり、英語特有のアクセント、リズムに慣れたり、音のリンキングを習得できるなどさまざまな効果が期待できます。
ただし大切なのは、「基礎力を養った上で実践する」というルールを守ることです。ルールを守った上での聞き流し学習は、通勤中や空き時間などにも効率良く勉強ができ、英語の上達に役に立ちます。
皆さんもぜひ、今回ご紹介した方法を使って、「聞き流し」を英語学習に取り入れてみて下さいね!