ご存知の方も多いかもしれませんが、2020年から小学校3、4年生で外国語活動が、そして5、6年生では教科としての英語がスタートします。
とはいっても、すでに2018年度から移行期間として小学校3, 4年生で部分的に外国語教育が始まっていますし、低学年から外国語教育を行っている小学校も少なくありません。
小学生が学校で英語に触れる機会はかなり多くなっていると言えます。小学生のお子さんをお持ちのあなたも、改めて今の小学校英語の内容を知り、家でできる学習について考えてみませんか?
今回は特に親御さんにとっても子供にとっても馴染みのある「ドリル」タイプの教材について考えてみたいと思います。
Contents
1. 小学生が学ぶ英語とは
小学生の英語学習と聞くと歌やゲームを思い浮かべる人が多いと思います。確かに歌やゲームも多く取り入れられていますが、最近の小学校では、日常英会話の表現を聞いたり声に出す活動が多くなっています。
まずは、小学校英語で扱う内容を大まかに知ることから始めましょう。そのうえで、学校での学習に任せるのか、家でも学習してみるか考えていただければと思います。
1-1. 小学校3, 4年生で学ぶ英語
小学校3,4年生での外国語活動の目標は「コミュニケーション能力の素地」をつくること。授業時間は週に1時間です。
この「コミュニケーションの素地」とは、「相手に興味を持って話を聞こうとする」、「相手に言いたいことを伝えようとする」といった姿勢を指します。「話したことが相手に伝わって嬉しい」など、コミュニケーションの楽しさを感じることもその一つです。
3, 4年生では聞く、話す活動が中心で、友達に好きな色や食べ物を尋ねたり、友達からの問いかけに英語で簡単に答えたりといった活動が中心になります。
書き取りはほとんどありませんが、音声を聞いて、その内容を表すイラストを選ぶような活動もあります。
1-2. 小学校5, 6年生で学ぶ英語
小学校5, 6年生での英語の目標は「コミュニケーション能力の基礎」をつくること。授業時間は週に2時間です。
これまで行われていた外国語活動との大きな違いは、聞く・読む・話す・書くの4技能すべてについて、「慣れ親しむ」から「~できる」を目標に授業が行われるという点です。より知識・技能の定着に力点が置かれます。
例えば、友達や家族、町について会話や音声を聞いて理解したり、イラストや写真の情報も取り入れながらより多くの情報を得られるようになったりすることを目指します。
また、自分のことについても、これまで使ってきた表現を組み合わせて多めの情報をアウトプットできるようにしていきます。
6年生では、教科書で扱われたテーマについて、自分で調べて発表するといった活動もあり、より多くの新しい表現を使っていく活動が加わります。
また、アルファベットが書けることを目指すのが5年生。書く活動は多くはないものの、今まで中1で習っていたアルファベットが5年生に書けるようになることを考えると大きな変化です。
全体的な方向性として、中学では、文法や単語を学び、それから声に出して使ってみるという流れで学ぶことが多いですが、小学校英語では、まず英語を使ってみることが先。表現を使う中で英語の特徴や日本語との違いについて気付いていきます。
ちなみに、小学校5, 6年生で使用する英語の教科書の内容の一部や年間指導計画は、出版社のホームページで公開されていることがほとんどです。開隆堂、東京書籍、光村図書、啓林館などの出版社では教師向けに指導計画や教科書の活用法も公開しています。
お子さんが学校で使用している教科書の内容が気になる方は、出版社のホームページをチェックしてみてくださいね。
2. 英語のドリルをおすすめする理由
「聞き流すだけ」とか「イラストで覚える」といった新しいコンセプトの英語教材が次々と出てくる中、ドリルは少し古臭い勉強法に感じるかもしれません。しかし、繰り返し書いたり、声に出したりする学習は、語学の基本になります。
ドリルには以下でお伝えするようなメリットがあるので、子供の英語学習用の教材として優れています。
2-1. 繰り返すことで、英語の基礎が確実に定着する
神経科学的に、記憶は五感と結びつくと定着しやすくなるとされています。
つまり、目で見るだけで覚えようとするよりも、見たり書いたり音声を使ったり…といった要素を組み合わせたほうが効果的な学習になるということです。
しかし、手を動かして勉強する機会は意外と少ないものです。特に大人になって英語を学び直している人、英会話を始めた人は思い当たるところがあるかもしれません。
手を動かして繰り返し書いたり、何度も声に出すことは英語上達の基本で、繰り返すことで単語やフレーズ、文法、文型が定着しやすくなります。
子供たちは授業で英語を声に出しますが、同じ表現を繰り返す回数は限られてきますから、繰り返し書いたり話したりするドリルの役割は大きいと言えます。
2-2. 習慣化しやすく達成感が得られやすい
ドリルと言えば、思い浮かぶのが国語の漢字ドリルや算数の計算ドリル。ドリルには一定の型がありますよね。
漢字であれば、手本をなぞるところから始めて、何度か自分で書いてみる、その漢字を使った熟語などを学ぶ、といった型です。型に従って書いていくので、自分が取り組んだ結果が積み重なって達成感を得やすいのも特長です。
達成感があればまた学習を繰り返したくなるため、子供一人でも毎日続けやすい点がおすすめです。
3. おすすめのドリル教材と活用法
おすすめのドリルとその活用法をご紹介します。今は英語学習用のアプリも充実していますが、今回は手を動かすことを重視して紙媒体のドリルを選んでいます。
3-1. 小学生におすすめしたいドリル5選
小学生のフォニックス 1(mpi 松香フォニックス)
引用:https://www.mpi-j.co.jp/c/item/1639/
フォニックスとは、英語の文字と発音の関係性のこと。
フォニックスを知っておけば、初めて見る単語でもある程度正しく発音できますし、カタカナ英語の発音と実際の英単語の発音の違いを認識しやすくなったりもします。
この教材では、子供たちが思わず口ずさみたくなるリズムを使って、英語の発音と文字の関係があっという間に身に付きます。
子供でも楽しくフォニックスを学習できるコンテンツとして、このドリル以外には「あいうえおフォニックス」というWebサイトもおすすめです。日本人のつまずきやすい英語の母音や似た子音などが、かわいいイラストとともに紹介されています。
他にも日本語と英語の違いについておもしろいコラムが充実しているサイトなので、お子さんと一緒に楽しめると思います。
陰山英男の 反復練習 はじめての英会話(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7006108/
I like~、Can you~?といった、小学校で学ぶ基本的な英会話表現を使って、繰り返し声に出すトレーニングができるドリルです。
イラストが豊富で新しい表現のイメージを無理なくインプットできるのも特長。一文で終わらず、相手とのやりとりをイメージできる長めのダイアローグもあります。CD付きなので正しい発音もしっかり確認できます。
えいごで答える 小学生のQ&A日記ドリル(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7017032/
英語の質問に答える形式で、自分のことが英語で表せるようになるドリルです。
小学校低学年から英語に親しんできた今の小学生の多くは問題なく使えると思います。音声ダウンロードができて、単語の意味もすべてドリル中に書いてあります。
一日一つの質問が与えられ、それについて2~3行で自分の答えを書くことで、30日で一冊の日記として完成します。短い文とはいえ、ライティングの基礎も身に付くので、書くことを習慣づけるにはぴったりです。
What is your favorite food?のように、学校の授業で聞き覚えのある表現ばかりですので、基礎をしっかり身に付けるのにおすすめです。
ドラえもんはじめての英語ドリル 基本の英語表現(小学館)
引用:https://www.shogakukan.co.jp/books/09254105
挨拶、体調、好きなことや習い事など、子供たちにとって身近な表現を音声を聞きながら書くことで身に付けることができます。
子供たちに人気のドラえもんのキャラクターがいっぱいの誌面で、ページを開くのが楽しくなります。
英語にはカタカナで読み方が書いてありますが、これに頼りすぎると正しい発音が身に付かないのでその点は注意が必要です。
せっかく音声がついているので、リスニングに集中し、カタカナは読まないで音声の通りに真似してみるようにお子さんに心がけてもらいましょう。
小学英語 はじめての英単語 (早ね早おき朝5分ドリル)(学研プラス)
引用:https://gakken-ep.jp/extra/asa5/index.html#eng
毎朝5分の学習が習慣になる、Amazonで「小学校の英語」関連の本の売れ筋ランキング2位の教材です。アルファベットはもちろん、身近なものの単語をイメージを結び付けながら覚えられます。
まずは音声を聞いて、声に出して単語をなぞり、繰り返し書きます。前日に学んだことを復習できるようにもなっていて、自然と繰り返す回数が増えるような仕掛けがされています。一日学習するとシールを貼れるなど、子供が達成感を得られる工夫も。
3-2. ドリルを活用するうえで
小学校で英語を始めるときのレベルは子供によってさまざまです。
幼児英語を熱心にやっていたご家庭のお子さんならアルファベットやフォニックスの学習はすでに知っているはずですし、小学校低学年で歌やゲームで英語に初めて触れたというお子さんなら、文字として読んだり書いたりするのは少し難しく感じるでしょう。
とはいえ、幼稚園の頃から英語を習っていても、小学校で初めて英語にふれても、それが中学生以降の英語力の差を生むとは限りません。一部のお子さんがすでにアルファベットが書けるからと言って焦ることはありませんから、各家庭で自分たちのペースで学習を進めていきましょう。
大切なのは、今のレベルに合ったドリルで繰り返し声に出したり書いたりしていくことです。
「小学校英語」関連のドリルの中には、小学校で身に付けるにはちょっと難しいのでは? という内容が含まれていることもあります。そうしたドリルは英語が得意な子向けのものなので、苦手な子には無理に取り組ませないようにしましょう。
まとめ
反復練習が習慣化しやすいドリルは、家庭での学習に取り入れやすい教材です。学校で使っている教科書や教材を知りつつ、外国語活動や英語の授業で覚えた表現を自宅で繰り返し練習するためのツールとして、英語ドリルをお子さんに与えることを検討してみましょう。