世界全体でグローバル化が進み、業種・職種を問わず英語でのコミュニケーションが求められる場面が増えてきました。
ビジネス英語においては、プレゼンテーションや会議など様々な場面を想定できますが、避けて通れない重要な場面が最初の挨拶、自己紹介といえるでしょう。
その後のビジネス上の関係性を円滑に進めるためにも、最初の自己紹介でどのような印象を残すかは重要なポイントになります。
そこで今回は、ビジネス英語の基本でもある自己紹介で好印象を与えるためのポイント、そしてビジネス英語の学習に役立つ教材をご紹介します。
1. 好印象を残すには?
自己紹介のフレーズはいろいろ存在しますが、果たしてそれを丸暗記すれば、自然でスマートな自己紹介ができるのでしょうか。
そんなことはありません。対面のコミュニケーションでは、何を伝えるかと同じように、どのように伝えるかも重要となります。
フレーズの学習の前に、好印象を残す自己紹介とはどのようなものかを確認してみましょう。
1-1. はっきりと落ち着いた口調
外国語で初対面の人に挨拶するということもあり、いつもより早口になったり、声が小さくなったりすることはよくあります。
緊張してしまうのは仕方ないですが、これでは相手も聞き取りにくくなってしまいます。
たとえ正確な英語表現を使っていたとしても、相手に伝わっていなければ意味がありませんよね。まずは、「伝える」ことをしっかり意識し、分かりやすい話し方を目指しましょう。
また、日本では、ネイティブらしい発音にこだわる人も多いですが、英語と一言でいっても、世界中に様々なアクセントがあり、そうした様々な国の訛った英語が共用語となっています。ですから、あまり「正しい」発音にこだわりすぎず、「伝わればそれでいい」と割り切るのをおすすめします。
それよりも、ビジネス上での信頼関係をこれから築くことを前提に、自信をもってはっきりと、落ち着いた口調を心がけるのが最大のポイントです。
1-2. アイコンタクトと表情
日本では、相手と視線を合わせるのが苦手という人も多く、プレゼンなどでも原稿から視線を外せないという人もいるかもしれません。
ところが英語圏では、ビジネスマナーとしても、日常のコミュニケーションの基本としても、アイコンタクトは重要とされていますから、それに慣れる必要があります。
特に自己紹介は、個人としてではなく、所属する会社を最初にアピールする場です。ここでも、自信を感じられる表情と、相手とのアイコンタクトが、英語でのコミュニケーション力と並んで重要な要素であることを覚えておきましょう。
2. ビジネス英語における自己紹介のポイント
ここからは、実際の自己紹介の英語表現のポイントを確認しておきましょう。
フレーズをただ丸暗記して使うのではなく、そのフレーズの意味する内容を、「伝える」という気持ちが大切です。
2-1. 「自己紹介前のひと言」でよりスマートに
突然「私は〜です」と名前を名乗るのは、ビジネス上の自己紹介では唐突感が否めません。
複数人が挨拶する場面で、「簡単に自己紹介を」という前提があるのであれば問題ありませんが、基本的に次のようなひと言を添えてから名乗るようにしましょう。
「最初の挨拶(Hi, Helloなど)」→「感謝のひと言+前置き」→「自己紹介」と、会話の流れをイメージして覚えておくことをおすすめします。
2-2. 相手によって使い分ける定番フレーズ
ビジネスシーンでの自己紹介で伝えるべきことは何でしょうか。
1. 名前
2. 会社・所属部署・役職
主に上記2つのポイントは必須といえるでしょう。まずそれぞれの定番フレーズを覚えることをおすすめします。
・名前
「My name is〜」は「拙者は〜」くらい堅苦しい表現だと説明する人もいますが、実際はフォーマルなシーンでは多用されており、丁寧な自己紹介をしたいときにはぴったりなフレーズです。
次のような使い分けをするとよいでしょう。
【特にフォーマル・目上の人に対して】
My name is (名前).
【通常のビジネスシーン】
I am (名前).
また、日本人の名前は海外の人には発音しづらい場合も多いので、簡単なニックネームのようなものを用意して「Please call me 〜(〜と呼んでください)」と付け加えるとよりスマートです。
・会社/部署/役職会社や部署など
こちらについては、名前とセットで伝えるのがシンプルです。
I’m (名前)from (会社名). I’m in (部署名)department.
(会社名)の(名前)です。(部署名)に所属しています。
役職を自ら自己紹介で名乗ることはあまり多くはないかもしれませんが、自身の担当については次のような表現で説明するといいでしょう。
基本情報は重要だからこそ、シンプルに端的に伝えることを心がけるのがポイントです。
どれも定番で使いやすいフレーズなので、日頃から声に出して練習することで、実際のシーンで落ち着いて自己紹介することができます。
2-3.「+α」でアピールする
ビジネスシーンでの自己紹介は、基本情報を単調に述べるだけでは、本来の自己紹介の目的を果たすことができません。
今後の関係性を円滑にするのが本来の目的のはずですよね。
そのためにも、「+α」のプロフィールを付け加えることで、好印象を残す工夫が必要です。
・出身大学/高校:I graduated from (学校).
・趣味:I’m into(趣味). / I’m a big fan of (趣味).
このような個人的なプロフィールを入れることで、アイスブレイクといわれる「場を和ます」効果もあり、フランクなコミュニケーションのきっかけにもなります。
ただし、家族構成や年齢については、繊細なトピックととらえる人も多いので、ビジネスシーンでは相当親しくない限り避けることをおすすめします。
相手との仕事上における関係性を円滑にするという目的を意識して、自分をアピールできるトピックを事前に用意しておくといいでしょう。
3. 別れ際の挨拶までが自己紹介
初対面の挨拶から始まり、お互いのプロフィールを確認し合う、これが自己紹介の主な目的です。
そして、より好印象を残すコツは、自己紹介そのものよりも、別れ際の挨拶にあるといっても過言ではありません。
ここでは、自己紹介の印象を決定付ける別れ際の挨拶のポイントについて確認しておきましょう。
3-1. 次の機会を意識したフレーズ
別れ際のフレーズとして、まず大切にしたいのが「次につながる」言葉です。この出会いを今後のビジネス展開につなげるためにも、今後のコンタクトが取りやすくなるようなフレーズが効果的です。
例として、次のようなものがあります。
I look forward to working with you.(これからご一緒に仕事をできるのが楽しみです)
Please give my best regards to your team.(チームの皆さんによろしくお伝えください)
この人と一緒に仕事がしたい、と思ってもらえるような印象を残すためには、このようなちょっとしたひと言が重要です。ぜひ使えるように覚えておきましょう。
3-2. 感謝の気持ちは万国共通の礼儀
自己紹介だけではなく、コミュニケーションの基本ともいえるのが、感謝の気持ちを伝えるひと言です。
英語には感謝を伝えるフレーズが多くあるので、日頃から様々な表現を身につけてレパートリーを増やしておくと、いざというときに役立ちます。
例としては、
It was great to talk with you.(お話できて良かったです)
Thank you for your time today.(今日はお時間ありがとうございました)
などです。
「It was great to talk with you.」の「great」部分を「wonderful」や「good」など「良い」を意味する単語に置き換えることもできます。手軽に言い回しの幅が広がりますね。
感謝のひと言は、ビジネスでも日常でも、意識的に口に出すような姿勢が重要ともいえます。
3-3. 自己紹介のパターンを用意しておこう
いざ初対面で外国人を目の前にすると、用意していた自己紹介フレーズが全く出てこなくなるということもあるかもしれません。
ある程度の「慣れ」でしか緊張感は払拭できないものなので、普段から、ちょっとしたスピーチという感覚で、「自分の自己紹介パターン」をいくつか用意して練習しておくことをおすすめします。
文面ばかりを丸暗記すると、単調で説明的に聞こえてしまう可能性もあるので、必ず声に出して、「どのように相手に聞こえるか」をチェックすることも意識しましょう。
4. ビジネス英語で役立つフレーズが学べるおすすめ教材
ビジネス英語として自己紹介フレーズを重点的にご紹介してきましたが、最近ではビジネスシーンに特化した様々な英語表現を解説した書籍が出版されています。
ここでは、日々の英語勉強で使いやすい人気の書籍を厳選してご紹介します。
『【文庫】とにかく通じる英語』(草思社)
引用:http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2303.html
ビジネスシーンで頻出する何気ないフレーズを、「シンプルに」「通じる」というポイントにこだわって見事にまとめた教材です。
ネイティヴにどのように伝わるのか、という感覚面の注意点も解説されているので、ビジネス英語を勉強する上で、必ず読んでおきたい1冊といえます。
『キクタン英会話【オフィス編】』(アルク)
引用:https://ec.alc.co.jp/book/7014056/
出社からアフター5までオフィスシーンに特化したフレーズが、リアルな会話を例文として解説されているので、初心者でも安心して学べる教材としておすすめです。
付属のCDを活用すると、「フレーズを学び、会話例文で学び、ロールプレイで体得する」という3ステップによって仕事で使える基本フレーズが習得できます。日々の英語勉強のリズム作りに役立つでしょう。
『英会話フレーズ大特訓 ビジネス編』(Jリサーチ出版)
引用:https://www.jresearch.co.jp/book/b282462.html
ビジネス英語教材ランキングでも上位の常連でもある本書は、TOEIC対策も兼ねているという特徴があります。
ビジネスシーンでよく使われるフレーズに加えて、TOEIC頻出フレーズもまとめられているので、TOEICの長文読解の対策としても活用することができます。
「話す」ためのポイント解説など、ビジネスシーンにおける英語でのコミュニケーションに役立つ基本をしっかり学べるという点でもおすすめの1冊です。
まとめ
ビジネスにおける英語でのコミュニケーションには、日常英会話とは異なる表現方法や語彙が求められるので、学習方法にコツが必要です。
とはいえ、メールの書き方のマナーを、繰り返し書いて定形化して習得するように、自己紹介についてもポイントをおさえて事前に練習しておけば、あなた自身を最大限にアピールすることができます。
人間関係は第一印象が大事です。自己紹介を成功させられれば、今後より良い関係を築いていくうえできっと役立つはずです。